Excelで入力、クラウドで標準形式に変換/公開「オープンデータプラットフォーム」
「自治体オープンデータの課題はアプリ開発者」jig.jpが新サービス
2014年06月05日 06時00分更新
ソフトウェア開発会社のjig.jp(ジグジェーピー)は6月4日、各自治体がExcelフォームにデータを入力、アップロードするだけで国際標準形式(Linked-RDF)のオープンデータを公開できるサービス、「オープンデータプラットフォーム(略称:odp)」の提供を開始した。標準形式に統一されたデータ提供を支援することで、民間のアプリ/サービス開発を促し、行政におけるオープンデータ公開と活用を促進する狙い。
odpでは、所定のExcelフォームで入力されたデータをクラウド上で標準形式に変換、管理、公開するサイトを提供する。加えて、RDFのクエリ言語である「SPARQL(スパークル)」を使ってオープンデータを取得できる仕組みも提供することで、開発者によるアプリ/サービス開発を促し、オープンデータの活用を促進する。この基本パッケージの利用料金は年額150万円(税抜)。なお、自治体での実証実験を目的として、基本パッケージを3カ月間無料で提供するトライアル版の提供も予定されている。
さらにオプションとして、公開されているオープンデータをカタログ化したサイトや、Excelやcsv形式も含めたオープンデータ全般の公開と告知を行うサイトの提供も可能。このオプションパッケージは年額50万円で提供する。
なおデータ入力には、jig.jpから提供される所定のExcelフォームを使用するが、提供するフォームは自治体からの要望に応じて拡張していくとしている。
地方行政の危機感、オープンデータを通じて「市民を協働者に」
発表会には、jig.jp社長の福野泰介氏、福井県鯖江市市長の牧野百男氏、odpのサービス基盤を提供するアマゾン データ サービス ジャパン(AWS)の玉川憲氏、SAPジャパンの吉越輝信氏が出席した(「SAP HANA」は将来採用予定)。
odpは、jig.jpが2013年に担当した、鯖江市における総務省の「オープンデータ実証実験」のノウハウから生まれたシステムである。jig.jp社長の福野氏と鯖江市長の牧野氏は、行政のオープンデータ化を積極的に推進する「データシティ鯖江」の取り組みを紹介した。なお、jig.jpの本店は鯖江市にある。
“メガネの街”として知られる鯖江市(関連記事)では、2010年に制定された「鯖江市 市民主役条例」において、行政への参加と“協働”を市民に呼びかけるとともに、市民参加の基盤となる「市民と行政の情報共有」を条文に明記している。この具体的取り組みとしてオープンデータ化があり、現在は市の基本データから産業、観光、生活、災害対策など、40種類のデータがRDFやXML形式で公開されている。
牧野氏は、「行政サービスには(どこからどこまでという)限りがない。市民を『顧客、お客さん』ではなく『協働者』と位置づけなければ、これからの行政はやっていけない」と、リソースの限られる地方行政運営への危機感を語る。そのために鯖江市では、市民が公共の担い手となる市民協働の方針、若者や学生の声を行政に生かす姿勢、そしてIT化/オープンデータ化、という3本柱で先進的な“まちづくり”を進めているという。
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