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ウェアラブルの進化形「イヤラブル」の可能性

2014年05月22日 16時42分更新

文● Owen Thomas via ReadWrite

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未来のコンピューターはあなたに「ささやく」ようになるかもしれない。

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アップルは、Dr. Dreが設立したミュージック・アクセサリー・ブランド「Beats」の買収を検討していると報じられている。オーディオマニア達の間では、このBeatsのヘッドフォンをあれこれ叩くのが流行らしい。しかし、アップルの買収のポイントは同社のヘッドフォンの音質ではないだろう。私は、アップルは全く新しいカテゴリーのエレクトロニクスに乗り出そうとしているのだと考えている。それは「イヤラブル(Earable:耳に着けられる)」コンピューターとでも呼ぶべきものだ。

イヤラブルなコンピューター(以下イヤラブル)は、見た目としては既存のオーディオ・アクセサリー、イヤホンやヘッドフォンなどと変わらないだろう。デバイスの小型化とワイヤレス接続への明らかな傾向は、これらがまもなくスマートフォンから独立して、ニュースやエンターテイメントなどを直接我々に届けてくれるようになることを意味している。

イヤラブルの可能性

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イヤラブルはウェアラブルの進化形だ

他のウェアラブル・デバイスのように、イヤラブルも身体に装着ができる。私はそれらが、例えばスマートウォッチ(スマートウォッチは万人向けではない)よりも多くのマーケット・ポテンシャルを秘めていると思っている。また、Google Glassのような「フェイス(顔につける)・コンピューター」よりきっと一般受けするだろうとも思う。Google Glassは普段着用するには不恰好で恥ずかしいということが分かっており、結局、工場での組み立て作業などの限られた目的以外では社会的に受け入れられない、という残念な結果に終わるかもしれない。

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ヘッドフォンはどこにでもある。ほとんど誰でも、小型のイヤホンと何かしらのデバイスを使って音楽を聴いたり電話をかけたりしている。問題は、これらのデバイスはそれ以外に何ができるかという点だ。

最近アップルがEarPodsにフィットネス機能を加える可能性が噂されているが、これも現実味のある話だ。アップルのEarPodsには既にリモート用のチップが搭載されている。耳に装着するデバイスは、我々が現在スマートフォンに依存している多くのこと(例えば、警告を出す、通知を行うなど)を代行してくれるだろう。イヤラブルは、我々の皮膚から心拍数のような生体シグナルを拾い上げて、身体のコンディションを感知することもできるはずだ。

関連記事:アップルから「イヤホン型ウェアラブル端末」が登場する可能性

私はこれまでにもいくつか、一種のイヤラブルと言えるフィットネス関連のデバイスを見てきた。例えばPear Sportsは、リアルタイムの心拍数情報を提供するコントローラーが付いた独自のカスタム・イヤホンを開発しており、専用のアプリがスピーカーを通じてトレーニングの合図を供給する。

ヘッドフォンにSiriを内蔵?

Beatsのラインナップのなかで最も魅力的な製品はBeats Studioワイヤレス・ヘッドフォンだ。Bluetooth接続とノイズ・キャンセル用のデジタル・プロセッサーが付いていて、機能は非常に限られてはいるが、このヘッドセットは既にコンピューティング・デバイスであると言っても良い。

これにアップルのM7コプロセッサーを加えれば、ユーザーの歩行を追跡することもできる。さらに本格的なプロセッサーと音声コントロール用のSiriを加えれば、何か質問をして、その答えを得ることもできるだろう。現在、Bluetoothデバイスはスマートフォンとの接続が必須だが、ワイヤレス技術の進化は早く、すぐにスマート・ガジェット同士の通信も可能となるだろう。例えばエクササイズ中に、Bluetooth心拍数モニターが取得した自分の心音をイヤホンから聞くこともできるに違いない。その気になれば「Beats」ヘッドフォンで自分の「ビーツ(心音)」を聞くこともできるわけだ。

可能性は無限である。これが、アップルがBeatsに興味をもっているのは成長段階にある同社のストリーミング・ミュージック・サービスだけが理由ではない、と私が信じている根拠だ。アップルは長年にわたり、さまざまな形式の音の力に対して深い理解を示してきた。イヤラブルにフォーカスすることで、アップルは再び産業の常識そのものをひっくり返し、全く新しいカテゴリーのコンシューマー家電を作り出せるかもしれない。

Owen Thomas
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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