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メモリやI/Oの帯域幅が2倍以上に拡張、Linux KVMも利用可能

IBM、POWER8搭載の「Power Systems Sクラス」サーバー発表

2014年04月28日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本IBMは4月24日、新世代プロセッサー「POWER8」を搭載したスケールアウトサーバー「IBM Power Systems Sクラス」5モデルを発表した。x86サーバー比で高いパフォーマンスを実現し、POWERアーキテクチャ技術のオープン化を進める「OpenPOWER Foundation」の活動成果も取り込まれている。

新しいPOWER8プロセッサーを搭載したIBM Power Systems Sクラスサーバー(写真は4U/2ソケットのPower S824)

 今回発表されたSクラスサーバーは、Linux専用機の「Power S812L」「同 S822L」と、「Power S822」「同 S814」「同 S824」。サイズは2U/4U、ソケット数は1/2で、1ソケットに2つのPOWER8チップを搭載する「デュアル・チップ・モジュール(DCM)」を採用している。1チップあたり6コアを搭載しているため、2ソケット機の場合は最大24コアとなる。

今回発表された製品ラインアップ。1/2ソケットのエントリーモデル

1ソケットに2つのチップを搭載したデュアル・チップ・モジュール(DCM)を採用。1チップあたり6コアを搭載

 今回Sタイプサーバーでは、メモリ帯域幅やI/O帯域幅が従来比で2倍以上に強化されるなど、ビッグデータ時代に対応した設計がなされている。発表では、Power Systems向けに最適化されたビッグデータ分析ソフトによるベンチマークでは、分析処理が同等のx86サーバー比で50倍も高速であったと明らかにされている。

x86(Xeon)とPOWERの比較。POWER8ではメモリ帯域幅を大幅に拡張した。キャッシュメモリも増強し、メモリモジュール上に「4次キャッシュ」が追加されている

 また、POWERアーキテクチャのオープン化を目指し、IBMやグーグル、エヌビディア、サムスン、カノニカル(Ubuntu)などが参加するOpenPOWER Foundationの活動成果も取り込まれている。たとえばPOWER8では、FPGAやASICといった外部アクセラレーターでの処理を効率化/高速化する「CAPI(Coherent Accelerator Processor Interface)」技術を備えているが、その実現にもOpenPOWER Foundationの果たした役割は大きいという。

 なお、Sクラスサーバーでは、IBMが従来から提供してきた独自仮想化基盤「PowerVM」に加えて、Linux標準の仮想化技術のPOWER版である「PowerKVM」も利用可能(Linux専用モデルのみ)。これにより、Linuxエンジニアが新たなスキルを習得することなく、POWERアーキテクチャを利用しやすくなっている。

IBM独自のPowerVMに加え、POWER対応Linux KVM「PowerKVM」も利用可能である

 またIBMでは、カノニカルとの協業によって、今回発表のSクラスサーバー、および将来のすべてのPOWER8システムにおいて、「Ubuntu Server」「Ubuntu OpenStack」、およびカノニカルのクラウドオーケストレーションツール「Juju」の最新リリースを提供すると発表している。

 IBM Power Systems Sクラスサーバーの製品価格は、現時点では明らかにされていない。出荷開始は6月10日より順次行う予定としている。

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