「Mobile World Congress 2013」が今年もスペイン・バルセロナで2月25日から4日間開催された。収容力の問題から、今年は少し離れた会場に移しての開催となったが会期中7万2000人もの来場者があったとのこと。今年のハイライトの一部をまとめてみたい。
現実味を帯びた新しいスマホOS
Firefox OS、Tizenら
MWCはもともとオペレーター、端末ベンダー、ネットワークインフラのイベントだったが、モバイル業界の拡大とともに参加者も変化し、イベントの色合いも変化している。
今年のテーマの1つが新しいOSだろう。Mozilla「Firefox OS」、Tizen Association「Tizen」、Canonical「Ubuntu」、Jolla「Sailfish OS」が具体的な発売計画を発表し、いよいよ現実味を帯びてきた。詳細は別レポートを参照いただきたいが(関連記事)、予定通りであれば、端末は今年後半から来年第1四半期の間に4種類すべて出そろうことになりそうだ。
一方でAndroidのGoogleの会長、Eric Schmidt氏は例年行なっていた(といっても2011年と2012年の2回だが)夕方の基調講演をパス。今年はGoogleからは誰も基調講演のステージに立たなかった。代わりにMozillaはCEOと会長がそれぞれ1回ずつ、JollaのCEOも2回、Canonicalの創業者も2回ステージに立った。基調講演のスピーカーにビックネームがないとも言えたが、主役交代の兆しなのかもしれない。
MWCの主催者であるGSMAはオペレーター団体であり、オペレーターからはGoogleとAppleの支配を真っ向から忌諱する声も聞かれた。このあたりは、約2〜4年続いた“iPhoneショック”(土管化の恐怖)の頃とは違ってきたように見える。
メジャーどころの端末発表は少な目
毎年登場する華やかな端末という視点からは、今年はやや物足りなかった。HTCとLGは事前に端末を発表済みだし、ソニーモバイルは2ヵ月前のCESでフラッグシップを発表しており、日本ですでに発売までされている。
端末メーカー各社がフラッグシップを中心にポートフォリオを立てており、投入する機種数が減少していることもあるだろう。それでも、Huaweiの「Ascend P2」(関連記事)やZTEの5.7型ファブレット「Grand Memo」(関連記事)などの発表があり、NokiaもWindows Phone 8スマホ2機種や15ユーロのフィーチャーフォンなど合計4機種を発表した。単なるスマホとは言い切れないが、ASUSもタブレット+スマホ一体型の「PadPhone Infinity」(関連記事)を発表し、盛り上げに一役かった。
ブースではSamsungが巨大なブースを構え、王者の余裕を見せつけた。3〜4社分の面積を使って「GALAXY Note 8.0」などの端末はもちろん、ソリューションも披露していた。この広さは、全盛期のNokiaにもなかったように思う。同じ韓国勢のLGのブースも1〜2年前と比べ活気が戻ってきたように見えた。Huaweiはさらに洗練されたイメージを打ち出し、ソニーモバイルも、Sony Ericssonの緑の丸いロゴとは違い、がっちりと100%ソニーのイメージを打ち出していた。
日本勢ではNECカシオのNTTドコモ向け2画面スマホ「MEDIAS W」がグローバルモデルともに展示されていた。ブースがあったのがホールの隅だったにも関わらず、かなりの人混みを集めていた。
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