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新製品「DataPower X150z」でXMLとセキュリティの処理を高速化

オープンシステム「zEnterprise」でもワークロード最適化

2011年02月21日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2月17日、日本IBMはメインフレーム製品「zEnterprise」の戦略や新製品の説明会を開催した。同社のハードウェア系を扱うシステム製品部が昨今注力する「ワークロードの最適化」を実現するアプライアンスが登場した。

そろそろオープンシステムに入れてほしい

 発表会の冒頭、日本IBM 専務執行役員 システム製品事業 藪下真平氏は、POWER7やeX5、zEnterpriseマルチアーキテクチャ、仮想化ストレージなど、数多くの技術を投入した2010年のシステム製品事業を振り返り、「今年は技術を評価していただき、活用していただくフェーズ」と抱負を述べた。これを実現するため、業種や製品をまたいだソリューション提案のチームを新たに組織したほか、パートナービジネス専任のユニットを立ち上げたという。

日本IBM 専務執行役員 システム製品事業 藪下真平氏

 こうした製品を導入するユーザーの環境は、昨今ますます複雑化する一方だ。「1つのシステムごとにサーバーが用意され、最適化は部分的にとどまっている」(藪下氏)という状態。こうした複雑化したシステムやサーバーを統合するための製品として、ハイエンドサーバー「zEnterprise」が提供されている。オープンシステム、メインフレームを問わず物理的なシステムを統合し、運用管理も一元化するという。

複雑化するユーザーのIT環境

物理システムや運用管理を統合するzEnterprise

 藪下氏が強調したのは、オープンシステムとメインフレームの定義についてだ。「『メインフレーム』というとオープンでないというイメージがあるので、あえて『ハイエンドサーバー』という言い方をしている。しかし、System zがLinuxをサポートしてすでに10年経つ。そろそろzEnterpriseもオープンシステムの仲間入りをさせてほしい」(藪下氏)と語った。すでに日本のSystem zの顧客の約30%はLinuxで稼働させており、3100以上のアプリケーションがLinux on System zで利用可能になっているという。5.2GHzという動作周波数を実現したCPU能力を強みzEnterpriseは、海外ではハイエンドサーバーと認知されており、すでに「10年前のメインフレームではない」(藪下氏)という。

もはや10年前のメインフレームではない。高速なCPUで他社を凌駕する

XML&セキュリティを最適化するアプライアンス

 続いて日本IBM 大和研究所 技術理事である佐貫 俊幸氏が、IBM Systemsの方向性や新製品の役割を説明した。佐貫氏は、藪下氏の挙げたシステムの複雑さに加え、情報量の急激な増大、そして特性の異なるワークロードなどを課題として挙げた。「Java、XML、検索、分析など特性の異なるワークロードがあり、それぞれに最適な処理が必要になる」(佐貫氏)と、適材適所への製品採用が重要になると語った。

日本IBM 大和研究所 技術理事 佐貫 俊幸氏

 新製品のDataPower X150z(正式名称:IBM WebSphere DataPower Integration Appliance X150 for zEnterprise)は、セキュリティとXML処理を高速化するアプライアンス。zEnterprise 196「WebSphere Applicaition Serverのようなアプリケーションサーバーで暗号化などのセキュリティ処理を行なうと、トランザクションに時間がかかる」ということで、DataPowerを間に挟むことで処理にかかる時間を短くできるという。従来は外出しのアプライアンスだったが、zEnterpriseの中での統合管理が可能になるという。こうした特定のワークロードを高速化するアクセラレータのアプライアンスはいくつか候補があり、今後登場していく予定となっている。

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