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KARAREMICHi iPhone REPORT 第6回

日本の個人・独立系iOSアプリ開発者【3】—xionchannel

2010年10月25日 20時00分更新

文● 倉西誠一(@kararemichi

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古き良きものを、形を変えて今に伝える

ーー以降、一般的な質問です。まず、iPhoneアプリを作ってみようと思われたきっかけをお聞かせください。

xion はじめにiPod touchを買ったときに、ルービックキューブの早解きにはまっていまして、これはスピードキュービングというスポーツなのですが、そのための練習用のタイマーがほしいと思ったのがきっかけです(「Cubing Timer -ルービックキューブ計測タイマー」(115円)というアプリでリリースしております)。当時はルービックキューブ用のタイマーアプリがなく、自分で作るしかなかったものですから。それに、最新のタッチデバイスで何かを作ってみたいという気持ちもありました。

Cubing Timer -ルービックキューブ計測タイマー
作者 xionchannel 価格115円
ファイル容量0.5MB カテゴリユーティリティ
対応デバイスiPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OSiOS 2.0以降

ーー他のプラットフォームとは違う、iPhoneアプリ開発の魅力をお聞かせください。逆に魅力ではなく、苦労される点もあれば、お聞かせください。

xion アプリを作る環境を用意するのが簡単であることが魅力です。開発者登録も年間約1万円なので非常に安価ですし。今は開発のための本もたくさん出ていますので簡単だと思います。あと、ハードを持ち歩けるので、開発中のものを人に見せてテストしてもらうのが非常にやりやすいです。よく友達にテストしてもらっています。

 逆に、アップルさんの審査を受けなければならない点は苦労すると思います。読まないといけない決まりごともたくさんありますし、明確に規定されていない事柄は審査員によって判断が異なることもあるようです。審査に要する時間も不定なのでその辺りも大変だと思います。

ーー現状のiPhone市場について感じられていることをお聞かせください。

xion 大きな会社が商売を行なうには個々のアプリの価格が安すぎるのが問題だろうと思います。個人ならまだいいのですが、ある程度の規模の会社がそれなりの投資をしてリリースしようとしたときに、回収が非常に難しいのではないでしょうか。とはいえ、ユーザーサイドに立つと安価でいろいろなアプリを使うことができるというのは非常に魅力的です。難しいところですね。最近開始されたiAdによって回収方法も変わってくると思いますので、良い方向に変化することを期待しています。

ーー現状のiPhoneユーザーについて、どのような層をイメージされていますか? また、それに合わせたタイトルをリリースしようとお考えですか?

xion 今までのゲームハードで遊んでいたユーザーとは違う感じがします。重厚長大なゲームよりも昔のファミコンのような1アイデアで成り立つようなものをカジュアルに楽しむ人が増えているんじゃないでしょうか。ゲームをクリアすることよりも、それで遊ぶことの方が目的であってほしいので、いいことなのだと思います。女性ユーザーも増えているようなので、何かかわいいものを出していければと思います。

ーーiPhone市場の今後は、どのようになるとお考えですか?

xion iOSという枠組みが広がっていくと思いますので、iPhoneに限らず新しいコンピューターの常識の1つになっていくのだと思います。アプリの価格は長く低迷すると思いますが、確実にパイは増えていくように思います。たとえば壁一面がiOSで動く端末になっているような場所があって、そこで複数の人間で操作するような世界とかになったら楽しそうですよね。

ーー今後のiPhoneアプリ開発、リリースに関するご予定をお聞かせください。

xion 現時点ではまだ何もない状態ですが、小粒ですが触って楽しいものを出したいなと思っています。「ElectroMaster」のユニバーサル版は近日リリースできると思いますよ。ご期待ください(すでにリリースされています!)。

ーー最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いいたします。

xion レトロなテイストが好きなんです。昔の洋館とか、昭和の自動車とか、実はロータスヨーロッパに乗っています。これもレトロ好きが高じた結果かもです。

 そんなレトロ好きが最新デバイスのiPhone向けに開発するのはおかしいかと思いますが、古き良きものを形を変えて今に伝えることができれば楽しいんじゃないかと思います。

 「ElectroMaster」や私のリリースしている「Solid Dots - 立体ドット絵モデラー」(350円)もそんなものの1つなのです。活動のペースはあまり速くありませんが、期待していてください。また何か作りますので。

「Solid Dots」デモ動画(1. Camera Tool)

「Solid Dots」デモ動画(2. Knife and Blocks)

「Solid Dots」デモ動画(3. Painting Tools)

Solid Dots - 立体ドット絵モデラー
作者 xionchannel 価格350円
ファイル容量1.4MB カテゴリエンターテインメント
対応デバイスiPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OSiOS 2.2以降
Solid Dots Free -立体ドット絵モデラー-
作者 xionchannel 価格無料
ファイル容量1.6MB カテゴリエンターテインメント
対応デバイスiPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OSiOS 2.2以降

このテキストは電撃ゲームス 2010年07月29日発売号のために行なわれたメールインタビューの全文です。内容は、メールインタビュー実施時の情報に基づいています。アプリの内容など、現在のものと異なる部分があります。


筆者紹介──倉西誠一

石川県金沢市出身の元・電撃PlayStation編集長。著書は「モンスターハンター」シリーズのプレイログである「狩られ道」「狩られ道豪黒毛」(いずれもアスキー・メディアワークス)だが、最近はすっかりiPhoneゲーマー。Twitterアカウントはkararemichi

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