ALi/ULiチップセットの歴史 その2
AMDやATIまで手を広げるも、買収で終わったALi/ULi
2010年06月21日 12時00分更新
そんなわけでGPU内蔵型を諦めたULiは、GPUのないディスクリート型に専念する形で製品展開を進めてゆく。まずM1689に続き、2005年4月には「M1695」がリリースされる。この製品は2003年のロードマップには存在しなかったのだが、2004年に急遽追加された。
大きな特徴はPCI Express(PCIe)への対応。当初はM1689から、後述するワンチップ化された「M1697」にラインナップを進化させる予定だったようだが、「いきなりワンチップでPCI Expressまで統合するのは無理だ」と判断したようだ。まずは2チップ構成となるM1695をリリースしてから、同年12月にこれをワンチップ化したM1697をリリースした。
ところが、このM1697が発表された直後にNVIDIAはULiを買収。最終的にM1697は、NVIDIAからリリースされる形となった。
M1695はそんな理由もあって、HyperTransport PCIeトンネルとして動作することになった。そのため、例えばM1695とM1697をつなげることで、PCI Express x16レーンが2本出る構成のマザーボードを簡単に作れることになった。
また図には示していないが、この時期にULiは、「M1565/1566/1567」という3つのサウスブリッジをリリースしている。M1565が一番スタンダードであり、M1566はM1565にPCIe 1x4か4x1を追加したもの。そしてM1567は、M1565にAGP 8Xポートを追加したものとなっている。
この結果、例えば「M1685+M1657」とか「M1695+M1657」といった構成を取ると、PCI ExpressとAGP 8Xの両方を同時に使える変態マザーボードが構成できるし、事実そうしたマザーボードも販売されたりした(GPU側ドライバーの問題があるので、本当に両方を同時に使えるかはまた別の問題)。こうした多彩な展開も、NVIDIAによるULiの買収で終わることになってしまったのはちょっと残念である。
実はやってた
ATI向けとTransmeta向けチップセット
ところでULiはサウスブリッジに関して、ATI向けのほかに米Transmeta向けの製品もリリースしていた。
まずATI向けとしては、「RS250」の世代に「M1535D+」を供給し、RS400世代向けには「M1573」、RS480の世代向けに「M1575」を用意した。さらに、RS5xx世代向けの「M1577」もロードマップに上がっていた。
これらの製品は、ATIのノースブリッジにあわせてPCI Express x4で接続されるようになっており、その分若干機能を落としたものである(ダイサイズ的に厳しかったそうだ)。ただ、M1573はともかくM1575は生産中止になるかと思ったのだが、「PCIeでノースブリッジと接続できる」という汎用性が買われてか、Freescaleの「PowerPC」ベースのSoCのサウスブリッジとして供給されていて、まだ量産されているようだ。
また、Transmetaの「Crusoe」「Efficeon」のサウスブリッジとして、「M1527」とか「M1563M」が用意されていたが、こちらもTransmetaそのものがCPUビジネスから撤退したことでニーズがなくなり、消えることになった。
今回のまとめ
・1999年に「ALADDiN-Pro 2」を皮切りに、Socket 370世代のチップセットをラインナップしていく。しかし、独自のGPUコアを持たないALiは、GPU内蔵型の分野では苦戦する。
・2002年の「M1681」では、チップセット間接続にHyperTransport Linkを使用するようになる。しかし、その後のラインナップは続かず、「M1685」でインテル向け製品は終了する。
・AMD向けはSocket A世代ではパッとせず、K8向けの「M1687」でシェア奪回を目指すも、製品出荷の遅れが続き、機会を逃した。終盤には「PCI Express x16+AGP 8X」という変態的マザーボードを構成できるチップセットも供給していた。
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