今月7日、データベースソフト「FileMaker Pro 11」の国内発売が始まった。新バージョンの見どころは何か。また4月頭に発表したiPad向けデータベースソフト「Bento for iPad」は、iPhone/iPod touch版と何が違うのか。
米ファイルメーカー社長のドミニク・グピール氏と、3月30日にファイルメーカー代表取締役社長に就任した石井元(いしい はじめ)氏に話を聞いた。
初心者と開発者のニーズを満たしたい
── 今回、ぜひ使ってほしいという機能は何ですか?
グピール氏 FileMakerの中で円/棒/面/線のグラフが作れる「グラフ&レポート」と、iTunesのようなスタイルで全フィールドを検索できる「クイック検索」です。
もうひとつ選ぶとしたら、何かを検索して、その結果のレイアウトや表示形式、ソート順をファイルとして保存できる「スナップショットリンク」ですね。この機能で書き出したファイルをほかのユーザーにメールすれば、自分が見せたい状態でレコードが表示されます。
データベースの中に含まれている情報は、共有することで初めて価値が出てくるものもあるので、ぜひスナップショットは積極的に使ってほしいです。
── 毎回、数多くの機能を追加していますが、そもそもソフトをアップデートする際、何を念頭に開発されていますか?
グピール氏 FileMakerでは、初心者と開発者の両方が使えるということを重視しています。例えば、グラフ機能は開発者から長年、欲しいという声が上がっていたものですが、初心者の方でも簡単に使えるインターフェースにしています。
クイック検索では、iTunesを使うような感覚でキーワードを入力できるので初心者でも簡単ですし、開発者もこの機能を含んだソリューションを作れます。
当然、FileMakerが成功するためには、新規の方に使っていただく必要があります。その初心者もFileMakerを使っていくうちに、知識が加わって、ニーズや想像力が湧いてくるようになるでしょう。われわれはユーザーの成長に沿った形で新製品を出していかなければなりません。
毎回バージョンアップするたびに、どうやったら新規ユーザーに触ってもらえるのか、どうすれば既存のユーザーにパワーと使いやすさを提供できるのかということを考えています。
── 細かい話ですが、パッケージデザインについて教えてください。今回、色は大きく変わりましたが、フォルダーのアイコンは同じですよね?
グピール氏 パッケージでも長い間使ってきたので、FileMakerと言えば、このフォルダーだというイメージがみなさんの頭の中にあると思います。
ソフトウェアはやっぱり無形ですから、現実の世界にある有形のものとして考えるのは難しい。だからダウンロード販売をやっていても、シンボルとしてパッケージも残しているんです。これを見れば、「FileMakerという会社がある」と思っていただける。一方でバージョンアップで変わってるということを示すために、パッケージデザインは変えています。
変化といえば、ひとつだけ2004年のバージョン7から変えていないものがあります。ファイル形式です。バージョンアップで色々な部分をアップデートしてきましたが、ファイル形式は変えていないんですよ。