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テレビ業界2009年最大の衝撃!! 

「CELL REGZA」の産みの苦労とポテンシャルに迫る【前編】

2009年10月28日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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開発者も「ドギモを抜かれた」というCELL REGZAの高画質

 CELL REGZAの開発は、まずCELLプラットフォームありきだった。だから、薄型テレビのもうひとつの要である表示パネルについては、当初はLEDバックライト採用こそ決まっていたが、それ以外は一般的なパネルを使用する予定だったそうだ。

 試作レベルの話で言えば、LEDバックライトを初搭載した「ZX8000」シリーズ相当のパネルと「CELLプラットフォーム」を組み合わせて試してみたのだが、そこでわかったのは、一般的なパネルではまったく力不足ということだった。

「CELL REGZA」に採用される、「メガLEDパネル」の構造図。LEDバックライトおよびLEDドライブ回路部分が東芝の自社開発部分

「CELL REGZA」に採用される、「メガLEDパネル」の構造図。LEDバックライトおよびLEDドライブ回路部分が東芝の自社開発部分

 そこでLEDバックライトを自社開発することにした。その結果誕生したのが「メガLEDパネル」。最高輝度1250cd/m2、ダイナミックコントラスト500万:1のハイスペックパネルだ。LEDは従来のCCFL管よりも発光効率が高いので、消費電力を抑えながらも高輝度化が可能。しかも、CELL REGZAでは、エリア駆動(LEDを単独で明滅させることで、暗い部分は消灯、明るい部分だけ点灯させることでコントラストを大幅に向上させる技術)の分割数をZX8000シリーズの96分割から512分割に増やし、より高精度な輝度制御を行なっている。

 だから、一般的な液晶テレビの500cd/m2の2倍以上もの高輝度を実現できた。そうでなければ、1250cd/m2の明るいバックライトでは、液晶パネルの光漏れで黒が浮きまくりになってしまうだろう。こんな緻密な処理ができるのも、CELLの処理能力ゆえだ。しかも、CELLプラットフォームでは、2096分割で明るさを検出し、エリア駆動の精度を高めている。

LEDのエリア駆動は、512分割となり、明暗の差をより細かく再現できる。このため、ライトアップされた建物のような、黒と白がとなりあうような映像でも、光漏れで輪郭がぼけるようなことのない、キレの良い再現が可能になった

LEDのエリア駆動は、512分割となり、明暗の差をより細かく再現できる。このため、ライトアップされた建物のような、黒と白がとなりあうような映像でも、光漏れで輪郭がぼけるようなことのない、キレの良い再現が可能になった

 「その映像を見たときにはドギモを抜かれましたよ。これは誰が見ても違いのわかる高画質だと思いました」(本村氏)。正直なところ、液晶テレビでこれだけの映像が再現できるとはまったく予想できなかったという。だが、CELL REGZAで一番こだわったのは、やはり画質。高性能なCELLプラットフォームなら、高機能化はもともと得意。やはりテレビなら、画質が良くないといけない。その思いからパネルまで自社で開発したのだそうだ。

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