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モバイル、ブランチ、そしてデータセンターまで

リバーベッドが目指す3つの高速化領域

2009年04月17日 04時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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限られた帯域でアプリケーションを快適に使うために利用されているのが、WAN高速化装置である。このWAN高速化装置を専門で取り扱うのが、リバーベッド・テクノロジーである。国内での知名度や導入も増えてきた昨今、同社がどういった分野を狙っていくのだろうか?

 企業活動のグローバル化で国内のみに閉じていた拠点の通信が、ワールドワイドに展開されるようになった。ここで注目を集めるのが、限られた帯域でアプリケーションを快適に使うためのWAN高速化である。

 2000年以降、国内ではADSLがスタートし、光ファイバのインフラも普及。WANの帯域は一気に向上した。また、通信事業者同士の競合も激しくなっており、従来に比べてコストも安価になってきた。その結果として、WAN経由でのネットワークアプリケーションの利用はきわめて現実的なものとなった。

 この結果として進んだのが、サーバ統合である。これは今まで拠点に設置していたサーバをデータセンターに集約化し、ネットワークアプリケーションをWAN経由で利用するというソリューションだ。折しも2004年以降は情報漏えい事件への対応や個人情報の管理が大きなテーマとなっており、その点からも拠点のサーバを統合するという流れは大きな意味を持っていたのだ。また、企業のグローバル化が進行し、製造拠点や営業所を海外に持つ企業も増えてきた。

企業で進むサーバの統合化

 こうしたサーバ統合を検討していた多くのユーザーは、ブロードバンド化により、帯域不足という課題は解消され、アプリケーションは快適に利用できると考えていた。もちろん、伝送能力は引き上げられており、重いコンテンツも短時間に送受信できるのは確かだ。だが、実際は快適なレスポンスを実現するには至らない場合がほとんどである。この原因のほとんどは、遅延である。

 WAN高速化は、キャッシング、圧縮、プロトコル最適化など、いくつかの技術を用いて、この遅延を取り払い、アプリケーションのレスポンスを向上させる技術だ。具体的には、各拠点にWAN高速化装置を置き、アプリケーションを高速化するトンネルを構築する。これにより、たとえサーバが遠隔のデータセンターに設置されていても。まるでLAN内にサーバがあるかのようにアプリケーションを利用できる。

 リバーベッドはこうしたWAN高速化を専門に扱うベンダーである。専業ベンダーらしく、製品は基本的にWAN高速化アプライアンス「Steelheadアプライアンス」のみ。だが、SOHO向けからエンタープライズ/キャリア向けまで実に幅広い製品を展開している。

リバーベッドのWAN高速化装置「Steelheadアプライアンス」

 日本進出してからまだ3年ほどだが、国内シェアも41.9%(2007年 売上額マーケットシェア 富士キメラ総研調べ)と順調。2009年3月31日付けで前フォーティネットジャパン代表取締役社長を務めていた岡本吉光氏が、日本法人の社長に就任し、ますます多くの導入を目指している。

(次ページ、次世代のWAN高速化装置はWANだけじゃない」に続く)


 

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