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インターネット広告推進協議会、“インターネットCM”の定義付けと市場規模を公表

2006年03月27日 19時31分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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インターネットにおける広告メディアの健全な活動を整備するために発足した任意団体のインターネット広告推進協議会(JIAA)は27日、東京・表参道の青山ダイヤモンドホールにプレス関係者を集め、配信事業者などによって呼称が異なる“インターネットCM”の定義付けと市場規模を公表した。

これは、同日同会場で行なわれたJIAAの活動内容を報告する勉強会“インターネットCMフォーラム”の一環として発表されたもの。会場には、会長で(株)電通の森 隆一(もりりゅういち)氏、同 映像広告部会部会長で同じく電通の峯川 卓(みねかわたく)氏が出席し、発表の背景などを説明した。

JIAA会長の森 隆一氏 映像広告部会部会長の峯川 卓氏
JIAA会長の森 隆一氏映像広告部会部会長の峯川 卓氏

最初に挨拶に立った森氏は、「昨年来、“通信と放送の融合”の動きが加速している。そんな状況でTV向けに製作された動画CMをどのようにインターネットで活用していいのか、未整理な部分が多い。JIAAではインターネットの進展スピードが落ちないように、かつ業界で混乱が起きないように、関係者同士が話し合いの場を作って、健全で秩序ある動画広告配信が、インターネット広告の世界でも行なわれるように、各種分科会を通じて研究を重ねてきた」とJIAAの活動を振り返った。

JIAAは27日現在で正会員127社/賛助会員15社の合計142社を会員に持ち、広告掲載基準など12のテーマについて調査研究やディスカッション、ガイドラインの策定を行なっている。

続いて峯川が、(株)USENの動画配信サービス“Gyao(ギャオ)”の映像本編の前後に流れる動画広告や、MSNのトップページに組み込まれた動画によるバナー広告などを例に挙げ、インターネットCMの定義とその目的を説明した。JIAAが今回定義付けした理由としては、

  • 呼称がさまざまあること
  • どの範囲をCMを呼ぶのか不明瞭であること
  • 使用範囲の解釈が判断しにくいこと
  • 出演者や楽曲の権利者に誤解や混乱を招くケースが増えていること

の4点を挙げ、特に権利関係のトラブルがJIAAに持ち込まれるケースが増えていることを受けて、定義付けの公表に至ったという背景を説明した。今回発表された定義は以下の4つ(原文ママ)。

  • インターネット、携帯電話を含む通信回線上のサービス(広告主が管理するウェブサイトを除く)の広告スペースにおいて、広告主の広告、マーケティング活動を目的として掲載されるものである。
  • 広告表現として映像および音声(音楽・ナレーション)を使用し時間軸で展開される広告である。
  • 映像技術、配信技術についての区別は特にしないが、配信方式は大きく分けてストリーミング方式(ユーザー側の端末にデータが残らない再生方式)とダウンロード方式(ユーザー側の端末にデータの複製を複製し再生する方式)があり、許諾の条件が違うために区別し、どちらであるか明記が必要である。
  • その他、地域限定配信の有無、あるいは範囲についても許諾の条件が違うため明記が必要である。

このうち定義の2にある“時間軸の展開”について記者から質問を受けると、「Flashを利用した単純な動きを付けただけのバナー広告はインターネットCMには含まれず、時間軸によってストーリー展開する映像表現で、テレビCMのイメージを持つもの」と曖昧な回答にとどまった。これは、定義付けの背景に、出演者や楽曲提供者の主張する権利と契約条項間の曖昧さを解消することが一番の目的で作られたためだと思われる。したがって、制作者や出演者がその配信方式に明確な条件を付けられるように、またその条件が配信業者などによって“解釈のぶれ”が生じないように、動画の形式を問わず配信方式や配信先などの明記を求めたのだろう。


なお、同時に公表された“インターネットCM”の市場規模は、2004年までさかのぼって試算され、2004年は約1億円、2005年は5億円程度と5倍に成長。2006年は広告付き無料動画配信サービスの新規参入が相次いでいることを背景に、前年の6倍にあたる約30億円に成長すると見込んでいる。これらの数字は会員各社から寄せられた情報のうち、広告媒体費のみを合算したもので、CM制作費/広告素材制作費/サイト制作費などは含まないという。分科会ではより詳細な内訳の数字なども試算しているが、現時点では公表に至る内容にはなっていないとのことで、公開を控えた。

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