米アップルコンピュータ社は7日(現地時間)、同社の携帯型オーディオプレーヤー“iPod”シリーズに、厚さ6.9mmと薄型の新モデル『iPod nano』を追加。即日出荷した。容量4GB(約1000曲)と2GB(約500曲)の2モデルがあり、国内での価格は2万7800円と2万1800円となる。
驚異の薄型“iPod”『iPod nano』 |
“超”が付くほど薄型の『iPod nano』登場
iPod nanoは『iPod mini』の後継という位置づけ。記録媒体を1インチのHDDからフラッシュメモリーに変更した。カラーバリエーションはホワイトとブラックの2色で、本体の厚さは約1/3となり、容積も62%小さくなった(初代iPodと比べると80%小さい)。厚さ6.9mmは『iPod Shuffle』の8.5mmを下回る数字。なお、iPod miniの生産は終了する見込みで、今後は店頭在庫のみの販売となる。
初代iPodとの比較。保存できる曲数は同じだがここまで小さくなった(左)。ブラックバージョンをオプションのアームバンドで装着したところ(右) |
iPod nanoは前面にiPod miniと同じ“クリックホール”を搭載。底面にある30ピンの“Dock”コネクターは、HDD搭載の従来機と互換性を持つ。液晶パネルのサイズは1.5インチ、解像度は176×132ドットで、透過型のカラー液晶となった。CDジャケットなどの表示のほか、『iPod Photo』のように静止画の表示を行なえる。ヘッドホンコネクターは上部から底部に移動した。
再生可能なファイル形式は、音声ファイルがAAC(16~320kbps、著作権保護対応)、MP3(32~320kbps、VBR対応)、Audible(フォーマット2、3、4)、Apple Lossless、WAVE、AIFF。静止画がJPEG、BMP、GIF、TIFF、PNG、PSD(Macintosh版)。PNGの画像はiPodで表示可能なサイズに変換する必要がある。インターフェースはUSB 2.0のみで、USBバスパワーによる充電にも対応する。本体サイズは幅40×奥行き6.9×高さ90mmで、重量は42g。本体にはステレオヘッドホン、USB 2.0ケーブル、Dockアダプター、WindowsとMac OS X対応の『iTunes 4.9』などが付属する。
また、オプション品も追加。4週間以内に順次出荷する。首掛け可能な『iPod nano Lanyardヘッドフォン』(型番:MA093G/A)が4500円。グレー/ブルー/ピンク/グリーン/レッドの5色が選べる『iPod nano アームバンド』(型番:MA094G/A、MA193G/A、MA184G/A、MA185G/A、MA186G/A)が各3400円、5色セットの保護カバー『iPod nano チューブ』(型番MA241G/A)が3400円。専用の『ドック』(型番:MA072G/A)が3400円。
iTunesもバージョン5に進化
アップルのジュークボックスソフト『iTunes』もバージョンアップし、『iTunes 5』となった。
iTunes 5 |
改良のポイントは、プレイリストをフォルダーに入れ階層構造で管理できるようになったほか、ウィンドウの上部に検索バーを追加し、検索結果を種類ごとにワンクリックで切り替えられるようになった。この検索機能は、iTunes Music Store上でも利用できる。
プレイリストはフォルダ管理できるようになった |
また、シャッフル機能に関しては、曲のランダムさを自由に変更することも可能になった。本日国内で行なわれた製品発表のビデオ上映会では、米アップルコンピュータCEOのスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏によると「従来のシャッフルはランダムだったが、ランダムゆえに同じアーチストが重なるなど、必ずしもユーザーの期待している並びにならなかった」とビデオの中でコメント。そこでiTunes 5ランダムさの度合いをスライドバーで変更することで、ユーザーの感覚にあったシャッフルを実現できるようにしたという。
シャッフルする際のランダムさの度合いを変更できるようになった |
Windowsユーザー向けの機能追加としては、OutlookやOutlook Expressとの同期機能が挙げられる。Mac版では、OS標準の『Calender』や『Contact』などとiPodを同期させる機能がすでに実装されていたが、WindowsユーザーもiPodでPIM機能が活用できるようになる。
このほかペアレンタル機能を追加し、子供がiTunes Music Storeで購入できるデータやダウンロードできるPodcastを親が決められるようになった。
iTunes 5は、アップルのウェブサイトから無償ダウンロードすることが可能。Windows XP/2000に対応したWindows版と、Mac OS X v10.2.8以降に対応したMacintosh版の2種類が用意されている。
銀座アップルストアはすでに長蛇の列
東京・銀座の直営店“Apple Store,Ginza”では、すでに本日の開店と同時にiPod nanoの販売が始まっており、店頭で自由に体験することができる。
店員の話では、開店当初はまばらな客だったが、ニュースを聞きつけたのか昼ごろから客が押しかけ、次から次へと売れていく状態だという。在庫に関しては十分に確保しているが、「この調子だともしかしたら、すぐに売り切れてしまうかもしれない」とも話していた。「次回の入荷に関しては未定」だという。
客層は20~30代の男性が多いが、2~3割は女性客で「これはヤバイ」「すごいいい」などと話している声が聞こえた。声を掛けた女性客の一人は、「ふらっと店に足を運んだだけですが、魅力的。iPodはもう2台持ってるけど、買っちゃうかも」と記者に答えた。
レジから店の入り口にはレジ待ちの客が並んでいたが、その長さは店内を1往復するほど。12時~13時ごろまで店頭取材をしていたが、その列は途切れることはなかった。
店頭はすでに長蛇の列。数十人の列が途切れることがない状態だった |
直営店だけに、潤沢な在庫があったが、ものすごい勢いで売れており、完売してもおかしくない勢いだという |