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日本HP、写真画質でドラフト12秒/標準18秒の高速印刷を実現するインクジェットプリンター新製品を発表

2005年09月28日 18時58分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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2005年冬の日本HPプリンター新製品
家庭用プリンター7機種、ビジネス向けプリンター3機種の合計10機種を一斉に発表

日本ヒューレット・パッカード(株)は28日、東京・六本木の六本木ヒルズ内グランドハイアットにプレス関係者を集め、2005年冬のプリンター新製品10機種を本日および10月上旬以降に順次発売すると発表した。内訳は、家庭向けの複合機3機種、ダイレクト機1機種、単機能1機種、L判プリントに特化したコンパクト機2機種、SOHO/中小企業向けの単機能機3機種(うち1機種はコンパクトなモバイルプリンター)となる。



代表取締役社長の小田晋吾氏
代表取締役社長の小田晋吾氏

2005年冬のプリンター新製品について、同社では

  • “Design from Japanプロジェクト”(日本人スタッフによる日本市場のニーズを反映したデザイン・設計)による次世代インクジェットプリンティングプラットフォーム“SPT(スケーラブル・プリンティング・テクノロジー)”を開発し、新製品のうち5機種に搭載 ・世界最速のフォトクオリティー印刷を実現、最上位機種ではフォトドラフトモードで12秒、フォト標準モードで18秒の出力が可能
  • 世界最速のフォトクオリティー印刷を実現、最上位機種ではフォトドラフトモードで12秒、フォト標準モードで18秒の出力が可能
  • パソコンやサーバーで展開していた“eコマースビジネス”をプリンターにも展開し、高い価格性能比を追求

という3つの戦略で前年からのシェア倍増(15%以上)を目指すという。

インクジェットプリンターの世界シェアと日本シェアの流れ SPTの説明
インクジェットプリンターの世界シェアと日本シェアの流れ。全世界では40%以上を占めるトップシェアだが、日本では10%を切り苦戦しているSPTの説明。従来は用途に応じて個別に開発していたプリントヘッドを、スケーラブル=拡張性のある統一ヘッド技術で開発することにより、開発期間の短縮やトータルコストの削減が可能になるという

SPTは、プリンターのヘッド部分を従来は用途(家庭向け/SOHO・中小企業向け/業務用・大量印刷向けなど)に応じて個別に開発・生産してきたものを統合して、同じヘッド技術で家庭向けのフォトクオリティー出力から業務用の高速・大量印刷向けまで対応するというもの。具体的には、1インチあたり1200ノズル、1秒間に3万6000発のインク滴を吐出できる高密度ノズルをシリコン上に成型し、用途に応じてノズル長を変更することで多機種展開を行なう。これにより、Photosmart 3310/3210/8230の同社測定値でL判フォトプリント/ドラフトモードで12秒、同/標準モードで18秒の高速出力を実現した(1枚目を排出してから2枚目の排出までの時間)。

日本のユーザーの声を反映したプリント技術を確立 気泡の出たインクを循環するシステムの説明
高発色のインク“Vivera”、インクの無駄をなくす“新インク循環システム”、SPTによるプリントヘッドの改良などを組み合わせて、日本のユーザーの声を反映したプリント技術を確立したと説明気泡の出たインクを循環するシステムの説明。インクタンクからポンプでヘッドにインクを送るが、その際に気泡が混ざってヘッドから吐出できないインクは、破棄するものが一般的だという。対して、SPTでは気泡だけを消去するユニットを増設し、インクをヘッドに再循環させることで無駄なインクを最小限に減らし印刷コストを下げる工夫をしているという

このほか、ヘッドのインク詰まりを解消するために、不要なインクの吐出を行なわない独自のクリーニング方式を開発し、気泡の混ざったインク(そのままでは印刷には利用できない)についても排出するのではなく、気泡を消してインクを再度印刷に利用する“アクティブ・エアーマネジメント”機能を搭載する。これらの独自技術の開発には、5年間で1500億円の開発費用を投入したとしている。

『HP Photosmart 3310 All-in-One』の内部構造 インクを吸い上げるポンプと新開発のヘッド
『HP Photosmart 3310 All-in-One』の内部構造インクを吸い上げるポンプ(左の白いユニット)と、SPTによる新開発ヘッド(右のチューブが接続されたユニット)


家庭向け

複合機(スキャナー/コピー/プリンター/メモリーカードスロット)

『HP Photosmart 3310 All-in-One』 『HP Photosmart 3210 All-in-One』 『HP Photosmart 2575 All-in-One』
『HP Photosmart 3310 All-in-One』『HP Photosmart 3210 All-in-One』『HP Photosmart 2575 All-in-One』
Photosmart 3310 All-in-Oneの内部 Photosmart 3210 All-in-Oneの上部フラットベッドスキャナー Photosmart 2575 All-in-Oneの上部フラットベッドスキャナー
Photosmart 3310 All-in-Oneの内部。ヘッドとインクタンクが個別に配置され、インクも各色独立で交換できるPhotosmart 3210 All-in-Oneの上部フラットベッドスキャナーのカバーを開いたところ同じくPhotosmart 2575 All-in-Oneの上部フラットベッドスキャナーのカバーを開いたところ
HP Photosmart 3310 All-in-One
デザインを一新した複合機の最上位機種
SPT採用/3.6インチTFT液晶ディスプレー搭載(QVGA表示)/最小5plインク滴 染料系6色独立インク/最高解像度4800dpi/4800dpi CCDスキャナー内蔵/ファクス送受信機能内蔵/両面印刷標準対応/ダブル給紙トレイ/L判フチなし印刷で最速12秒(同社測定値)を実現
インターフェース:USB 2.0(Hi-Speed)/10/100BASE-TX準拠Ethernet/IEEE 802.11b/g準拠無線LAN
本体サイズ/重量:幅464×奥行き395×高さ220mm/約12.0kg
対応OS:Windows 98 SE/Me/2000/XP、Mac OS X 10.2.8/10.3/10.4以降
HP Directplus価格:4万2840円
HP Photosmart 3210 All-in-One
ファクス/無線LANを省略したコストパフォーマンス重視モデル
SPT採用/2.5インチTFT液晶ディスプレー搭載/最小5plインク滴 染料系6色独立インク/最高像度4800dpi/4800dpi CCDスキャナー内蔵/両面印刷はオプションで対応/ダブル給紙トレイ/L判フチなし印刷 最速12秒
インターフェース:USB 2.0(Hi-Speed)/10/100BASE-TX準拠Ethernet
本体サイズ/重量:幅464×奥行き395×高さ220mm/約11.9kg
対応OS:Windows 98 SE/Me/2000/XP、Mac OS X 10.2.8/10.3/10.4以降
HP Directplus価格:2万5830円
HP Photosmart 2575 All-in-One
小型軽量化した低価格普及モデル
2.5インチTFT液晶ディスプレー搭載/最小5plインク滴 染料系6色(4色)一体型インク+最小15pl 顔料系黒インク/最高像度4800dpi/2400dpi CISスキャナー内蔵/両面印刷非対応/シングル給紙トレイ/L判フチなし印刷 最速21秒
インターフェース:USB 2.0(Hi-Speed)/10/100BASE-TX準拠Ethernet
本体サイズ/重量:幅440×奥行き284×高さ172mm/約5.5kg
対応OS:Windows 98 SE/Me/2000/XP、Mac OS 9.2、Mac OS X 10.2.8/10.3/10.4以降
HP Directplus価格:1万6800円


ダイレクトプリント機

『HP Photosmart 8230』
『HP Photosmart 8230』
HP Photosmart 8230
SPTによる高速印刷対応のダイレクトプリンター
SPT採用/2.5インチTFT液晶ディスプレー搭載/最小5plインク滴 染料系6色独立インク/最高像度4800dpi/両面印刷 オプション対応/ダブル給紙トレイ/L判フチなし印刷 最速12秒
インターフェース:USB 2.0(Hi-Speed)
本体サイズ/重量:幅447×奥行き385×高さ160mm/約8.5kg
対応OS:Windows 98 SE/Me/2000/XP、Mac OS X 10.2.8/10.3/10.4以降
HP Directplus価格:1万6800円


単機能機

HP Photosmart 7830
直販価格で1万円を切る小型プリンター
SPT採用/2.5インチTFT液晶ディスプレー搭載/最小5plインク滴 染料系6色(4色)一体型インク+最小15pl 顔料系黒インク/最高像度4800dpi/両面印刷非対応/ダブル給紙トレイ(フォトカセット)/L判フチなし印刷 最速21秒
インターフェース:USB 2.0(Full-Speed)
本体サイズ/重量:幅447×奥行き385×高さ160mm/約8.5kg
対応OS:Windows 98 SE/Me/2000/XP、Mac OS X 10.2.8/10.3/10.4以降
HP Directplus価格:9870円


コンパクトフォトプリンター

『HP Photosmart 475』
L判の2倍のサイズの2L判にも対応するコンパクト機『HP Photosmart 475』。HDD内蔵で、デジタルカメラの画像を溜め込むことができるようになった
HP Photosmart 475
2L判サイズに対応するHDD内蔵コンパクトプリンター
2.5インチTFT液晶ディスプレー搭載/1.5GB HDD内蔵/最小5plインク滴 染料系3色一体型インク/最高像度4800dpi/バッテリー駆動対応/L判フチなし印刷(ダイレクトプリント時) 50秒
インターフェース:USB 2.0(Full-Speed)
本体サイズ/重量:幅250×奥行き114×高さ123mm/約1.5kg
対応OS:Windows 98 SE/Me/2000/XP、Mac OS X 10.2.8/10.3/10.4以降
HP Directplus価格:2万4990円
HP Photosmart 385
L判対応のコンパクトプリンター
2.5インチTFT液晶ディスプレー搭載/HDD非搭載/最小5plインク滴 染料系3色一体型インク/最高像度4800dpi/バッテリー駆動対応/L判フチなし印刷(ダイレクトプリント時) 50秒
インターフェース:USB 2.0(Full-Speed)
本体サイズ/重量:幅220×奥行き116×高さ116mm/約1.2kg
対応OS:Windows 98 SE/Me/2000/XP、Mac OS X 10.2.8/10.3/10.4以降
HP Directplus価格:1万9950円


SOHO/中小・中堅企業向け

ビジネスプリンター

『HP Officejet Pro K550』 『HP Deskjet 460c』
カラーレーザープリンターからの置き換えを狙うビジネスカラープリンター『HP Officejet Pro K550』バッテリー駆動も可能なA4プリンター『HP Deskjet 460c』。ビジネス向けのモバイルプリンターながら、個人ユーザーからも人気が出そうだ
HP Officejet Pro K550dtn
SPT採用のビジネス向け高速カラープリンター
SPT採用/最小5plインク滴 染料系3色独立インク+顔料系黒インク/最高像度4800dpi/両面印刷対応/ダブル給紙カセット/A4出力 モノクロ毎分37枚&カラー毎分33枚
インターフェース:USB 2.0(Hi-Speed)/10/100BASE-TX準拠Ethernet
本体サイズ/重量:幅496×奥行き504×高さ301mm/約12.9kg
対応OS:Windows 98 SE/Me/2000/XP、Mac OS X 10.2/10.3/10.4以降
HP Directplus価格:2万4990円
HP Officejet Pro K550
有線LANや両面印刷ユニットをオプションにしたコストパフォーマンス重視モデル
SPT採用/最小5plインク滴 染料系3色独立インク+顔料系黒インク/最高像度4800dpi/両面印刷 オプション対応/ダブル給紙カセット オプション対応/A4出力 モノクロ毎分37枚&カラー毎分33枚
インターフェース:USB 2.0(Hi-Speed)/Ethernet オプション対応
本体サイズ/重量:幅496×奥行き403×高さ212mm/約9.7kg
対応OS:Windows 98 SE/Me/2000/XP、Mac OS X 10.2/10.3/10.4以降
HP Directplus価格:1万7850円
HP Deskjet 460c
バッテリー駆動も可能なモバイルプリンター
SPT採用/最小5plインク滴 染料系4色一体型インク+最小15pl 顔料系黒インク/最高像度4800dpi/両面印刷非対応/シングル給紙カセット/バッテリー駆動対応/A4出力 モノクロ毎分17枚&カラー毎分16枚
インターフェース:USB 2.0(Hi-Speed)/無線LAN(IEEE 802.11b)オプション対応
本体サイズ/重量:幅340×奥行き164×高さ80.5mm/約2.0kg
対応OS:Windows 98 SE/Me/2000/XP、Mac OS X 10.2/10.3/10.4以降
HP Directplus価格:1万9950円


イメージング・プリンティング事業統括 マーケティング本部本部長の前田悦也氏 マーケティング本部コンシューマ・カテゴリ製品企画担当の黒沼進治氏
イメージング・プリンティング事業統括 マーケティング本部本部長の前田悦也氏マーケティング本部コンシューマ・カテゴリ製品企画担当の黒沼進治氏

発表会には、代表取締役社長の小田晋吾氏、イメージング・プリンティング事業統括 マーケティング本部本部長の前田悦也氏、マーケティング本部コンシューマ・カテゴリ製品企画担当の黒沼進治氏らが出席し、新製品に採用した独自技術や販売戦略などを説明した。

前田氏は、過去20年間で“同社のインクジェットプリンターのインクドロップ数が18ヵ月ごとに倍増する”という“インクジェット版ムーアの法則”を披露し、今回のパフォーマンス向上にSPTが欠かせない技術であったことを強調した。

また、黒沼氏は24枚分のデータを印刷するデモを行ないながら、「いまや解像度やドロップサイズでプリンターを選ぶ時代は終わった」と宣言し、ユーザーが求めるのはフォトクオリティーの出力がより高速に得られること、初期導入時や実用上のランニングコストが安く済むこと、運用の手間が軽減されることを求めていると説明。同社では、メモリーカードからのダイレクトプリント時に写真を自動的に補整する“RealLife技術”や、耐光性/耐水性を向上し色再現性を高めた高発色インク“Vivera(ビベラ)”インクを従来機種から引き続き採用するほか、新たに専用フォト用紙の背面にバーコードを印刷して、用紙種別をプリンターが自動的に検知、最適な設定に変更することを説明した。

執行役員イメージング・プリンティング事業統括の滝澤 敦氏 専用紙の裏面に用意されたバーコード
eコマースを中核にした販売戦略を説明する執行役員イメージング・プリンティング事業統括の滝澤 敦氏専用紙の裏面に用意されたバーコード。これをプリンターが読み取って、自動的に最適な印刷設定で出力されるという

また、今年6月に1万円を切るデジタル複合機『HP PSC 1510 All-in-One』を同社直販サイトなどeコマース専用で発売したところ、大きな反響を得てeコマースの売上が大きく伸びたことから、プリンター(および消耗品)についても店頭販売と合わせてeコマースに注力することを説明。具体的には、10月9日から最短翌日配送を実現する“HP Directplus エクスプレスサービス”にプリンターも追加することを発表した。

会見後のQ&Aで集まった記者から、「2年前と比べてシェアを落としているのではないか? その原因や対策は?」という厳しい質問を受けると、「複合機が出始めた2年前はエプソンやキヤノンと拮抗していたが、現在はエプソンが頭ひとつ抜けて、(日本HPは)キヤノンと並んでいると理解してる。これら2社は有名タレントを使った広告宣伝の影響が大きいと考える。(日本HPは)こうした広告宣伝費を本体の低価格化に回して、コストパフォーマンスを上げることでユーザーに還元していきたい」と答えた。

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