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ソニー・コンピュータエンタテインメント、次世代ゲーム機『プレイステーション3』のデモ映像を公開

2005年06月17日 23時45分更新

文● 編集部 小西利明

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『プレイステーション3』の本体と付属のワイヤレスコントローラー『プレイステーション3』の本体と付属のワイヤレスコントローラー(以下の映像はすべて開発中のものです)

ソニー・コンピュータエンタテインメント(株)は17日、報道関係者限定の“プレイステーション3デモ映像試写会”を開催。5月17日に米国で行なわれたプレイステーション3(以下PS3)のプレスカンファレンスで公開された、PS3のデモ映像を報道陣に公開した。PS3の発売は2006年春の予定である。

PS3はソニーグループ、米IBM社、(株)東芝の3社共同開発のマルチコアCPU“Cellプロセッサー”(3.2GHz)と、ソニーグループと米エヌビディア社(NVIDIA)が共同開発したグラフィックスチップ(GPU)“RSX”を搭載。さらに米ラムバス社の高速メモリー規格“XDRメモリー”や大容量の“ブルーレイディスクROM”を使うBD-ROMドライブなど、多くの最新技術を盛り込んだ家庭用ゲーム機として開発されている。先に米国で行なわれた発表では、本体外観や仕様の詳細などの発表と合わせて、PS3のテクノロジーデモや、各ゲームメーカーによるPS3向けゲームのイメージビデオが上映された。今回の試写会はそのダイジェスト版を公開することで、PS3の潜在能力をアピールするものである。

PS3版グランツーリスモ?“VISION GRAN TURISMO”の映像。フルHD解像度でレンダリングされた映像は驚くほど緻密で、高価なデジタルTVが思わず欲しくなるほどだ

まずビデオの冒頭では、バスタブに浮かべたアヒルのおもちゃや帆船のおもちゃを動かす、Cellによる物理シミュレーションのデモが披露された。水面に浮かんだおもちゃの動きに合わせて水面が動くだけでなく、水しぶきやコップにくんだ水、帆船の帆や大砲の砲弾など、それぞれが物理シミュレーションによって動きをリアルタイムに計算して動いている。コップの動きはプレイステーション2用のUSBカメラ“EyeToy:Play”で手の動きを取り込み、デモソフト内部で処理している。

『EYEDENTIFY』というゲームのビデオでは、EyeToyで取り込んだと思われるプレイヤーの顔が随所に登場し、ゲームのヒロインたちとビデオチャット風に会話するという一風変わった映像が披露された。EyeToyの活用はゲームの新しい楽しみ方として期待される

また数十万の木の葉が竜巻状に舞うデモでは、5.1チャンネルのオーディオストリームをCellで演算処理を行ない、Cellをオーディオプロセッサーとしても利用できることを示した。また現在のパソコンにとっても高負荷処理であるHD解像度のビデオ再生を、PS3なら同時に12ストリーム表示できるというデモも披露した。

GPUを共同開発したNVIDIAによるデモでは、GeForce FXシリーズの頃から使われているガソリンスタンドを爆破するデモを披露し、爆発による煙や破片の動きに物理シミュレーションを応用した例を示した。また衛星写真の2次元画像と、航空機による3次元レーザー測量で作った地形データを組み合わせて、リアルな地形をリアルタイム生成するデモや、強烈な光が周囲をぼやかしたりする表現“ハイダイナミックレンジレンダリング”などのデモを披露し、PS3の優れたグラフィック能力をアピールした。特に興味深かったのは、映画『スパイダーマン』の映像と、人気レースゲーム“グランツーリスモ”シリーズの次世代版をイメージした映像を合成したビデオ映像だ。映画の世界をリアルタイムのゲームに取り込むことで、新しいゲームの可能性を感じさせるものだった。

また日本や欧米の大手ゲームメーカーが、PS3で発売を予定しているゲームや、PS2の人気タイトルの次世代版をイメージするムービー映像が多数披露された。いずれもHD解像度による非常に緻密な映像であったが、実際のゲームシーンに比較的近いと思われるものから、単なるイメージ映像というものまであり、また実際にリアルタイムにPS3開発環境上で動いているのか、単にプリレンダリングされたムービーなのかは分からなかった。

人気のF1レーシングゲームのPS3版『Formula 1』。実際のレースの写真、と言われたら信じてしまいそうなクオリティーは、素直にすごい 近未来を舞台にしたファーストパーソンシューティング『Killzone』。「映画のよう」というよりも、本物の戦場のような臨場感のある映像を実現
人気のF1レーシングゲームのPS3版『Formula 1』。実際のレースの写真、と言われたら信じてしまいそうなクオリティーは、素直にすごい近未来を舞台にしたファーストパーソンシューティング『Killzone』。「映画のよう」というよりも、本物の戦場のような臨場感のある映像を実現

PS3自体の発売時期が2006年春とまだ先であるため、現時点でPS3用のゲームタイトルが、どのような内容やグラフィックになるかは分からない。ビデオで披露されたゲームの多くは、既存タイトルの続編や既存タイトルのテイスト、システムをベースにしたものが多く、その意味では次世代ゲーム機のグラフィックスパワーは感じられても、次世代ゲーム機ならではの新しい面白さを感じさせるものはなかったのが少々残念である。より実際のゲームに近い情報は追々公開されていくだろうから、そちらに期待したいところだ。

ただひとつ言えるのは、PS3のゲームの品質を損なわずに楽しむには、HD解像度(最低でも720p)を表示できるデジタルTVが必要になるだろうということだ。マイクロソフト(株)の次世代ゲーム機『Xbox 360』もHD映像出力に対応しているなど、次世代ゲーム機にデジタルTVの組み合わせは、事実上必須のものとなるだろう。

赤い髪の女戦士が無数の敵を相手に壮絶な戦いを繰り広げるアクションゲーム『Heavenly Sword』 ジャンルは不明の『Warhawk』。山の上空を進む空中空母の艦隊の間を、数え切れないほどの戦闘機が飛んでいく、印象的な映像を披露した
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