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マイクロソフト、“Microsoft Office System”の第3回テクニカルセミナーを開催――組織内情報ポータルを構築する“SharePoint”製品を解説

2003年07月31日 13時15分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフトは(株)は30日、今秋の発売を予定している次期Office製品群“Microsoft Office System”に関するプレス向けのテクニカルセミナーを新宿の本社オフィスにて開催した。3回目の開催となる今回は、イントラネット上のポータルサイトを核としたチームコラボレートを実現する『Microsoft Windows SharePoint Services』『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003』がテーマとして取り上げられた。

マイクロソフト(株)製品マーケティング本部オフィス製品部マネージャ、中野雅由氏

冒頭の挨拶に立ったマイクロソフト(株)製品マーケティング本部オフィス製品部マネージャの中野雅由氏は、現在のIT投資状況や、投資状況の変化に対するマイクロソフトのOffice製品の発展と“Microsoft Office System”の“社内ポータル”機能の概要について説明を行なった。

IT投資額の推移と今後のIT投資の方向性

IT投資は、景気の影響を受け2001年に一度大きく落ち込んだものの、2002年は落ち込み前と同水準の額に戻っているという。その内訳は、新規製品の導入が約31%、既存システム/インフラの維持と運用が69%となっており、1998年に比べると全体の投資額は増えているものの、比率としては新規製品の導入に対する投資の割合が落ちているとのことだ。また、IT投資に対する考え方も、“コスト”というよりも“資産”的な位置づけへと変化してきており、ITに対しては、単なるコスト削減よりも生産性の向上が求められているという。このような変化を受け、マイクロソフトはOffice製品群を利用することによる“生産性の向上”を大きなテーマとし、今回の“Microsoft Office System”への発展につながっているとし、アプリケーションスイートパッケージ“Microsoft Office”から、各アプリとサーバーまでをひと括りとした“Microsoft Office System”へブランド名を変更、デスクトップアプリケーションからクライアント/サーバーおよびサービスへの拡大、個人の生産性向上から個人、チーム、組織の生産性向上へとOffice製品群の役割を拡大したことを挙げている。

“Office”製品群の性質の変化を示すスライド
“SharePoint”関連製品の概要と役割

今回紹介された『Microsoft Windows SharePoint Services』『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003』は、前述した“個人、チーム、組織の生産性向上”のためのサーバー機能。『Microsoft Windows SharePoint Services』はチーム/部門のコラボレーションを進めるポータル機能で、現在『Microsoft Windows SharePoint Team Services』として提供されている機能の次期バージョン。これでは、ウェブベースのワークスペース提供や、.NETに対応した“Webパーツ”による情報収集/共有/発信が実現される。『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003』は、『Microsoft Windows SharePoint Services』のテクノロジーを踏襲した、チーム/部門を束ねる“企業全体”のポータルとなるサーバー機能。『Microsoft Windows SharePoint Services』で構築された各チーム/部門のサイトを統合/管理することが可能で、管理する全てのチーム/部門サイトの中からデータ検索や(“Active Directory”と連結したユーザー検索も可能)、チーム/部門を越えた情報の流通/共有が可能になるという。

マイクロソフト(株)製品マーケティング本部オフィス製品部シニアプロダクトマネージャ、昇塚淑子氏

続いては、製品マーケティング本部オフィス製品部シニアプロダクトマネージャの昇塚淑子氏が、『Microsoft Windows SharePoint Services』『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003』の具体的な構造や使い方をデモンストレーションを交えて解説した。

チーム/部門向けのポータルサイトサービス『Microsoft Windows SharePoint Services』のサイト構造チームサイトを束ね、さらに大きな組織のポータルとして機能するMicrosoft Office SharePoint Portal Server 2003』のサイト構造
『Microsoft Windows SharePoint Services』と『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003』のサイト構造

昇塚氏は『Microsoft Windows SharePoint Services』を、「チームのサイトを作るためのエンジン」と述べ、“リスト”と呼ばれるデータ構造とあらかじめ用意されたページやリストの雛形を組み合わせてチームサイトを作るものだと紹介した。一方『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003』は、単なる“情報の玄関としてのポータル”ではなく、さまざまな情報を元に組織が働く場所を作るものだとしている。

『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003』の機能構造。『Microsoft Windows SharePoint Services』のテクノロジーをベースに、“個人用サイト”や検索機能、“Active Directory”との連携などといった機能が拡張されている
トップページの基本的な構造。メニューバー、クイック機能バーによるメニュー部分と、“リスト”によるコンテンツで構成される“リスト”のデータ構造。見出しや数値/文字列などの列データで構成される“アイテム”の積み重ねで構成される

『Microsoft Windows SharePoint Services』や『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003』でポータルサイト上に表示するリストは、ユーザーの所属グループごとに設定でき、たとえば、一般社員向けの情報、役員向けの情報といったように、その情報の性質に従って、どこに表示するか、誰に表示するかが設定可能。また、『Outlook 2003』と連動した“会議ワークスペース”、プロジェクトに関連したOffice文書を組織/チームで共有して作業を行なう“ドキュメントワークスペース”といった、他のOfficeアプリと連携した共有スペース利用もこの2つの機能の特徴だ。なお、共有している文書は履歴管理が可能で、同時に複数のユーザーがアクセスして編集と保存を行なっても、誰かが変更した内容や過去のバージョンが失われることがない構造となっている。

“一般社員”グループ向けのトップページ“役員”グループ向けのトップページ。左と異なり、右サイドにグラフが表示されている
サンプルのポータルサイト。ユーザーのグループにより、表示される内容が異なる

『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003』では、ユーザー各個人がカスタマイズできる“個人用サイト”と呼ばれる個人用ポータルが装備されており、組織/チームのポータルサイトから自分の必要な情報を取捨選択して“個人用サイト”に集約したり、組織/チームに向けて情報を公開することで、個人の持っている情報を周囲に配布できる。

“Officeスプレッドシート”。データ入力はもちろん、『Excel』と同様に計算、集計などの操作が可能“Officeピボットグラフ”。ページ/サイト内に配置された“Officeスプレッドシート”や外部のデータベースに接続してグラフを作成する“Webパーツ”
表計算機能の“Webパーツ”を埋め込んだページの例

ポータルサイトには、列データで構成されるアイテムの集合である“リスト”(“リスト”のデータはXMLベースで記述されている)のほか、“Officeスプレッドシート”や“Officeピボットグラフ”などといった表計算や外部のウェブサイトのデータを直接取得して表示する“WebキャプチャWebバー”といった“Webパーツ”を設置できる。この“Webパーツ”は、前バージョンでは“Webコンポーネント”に代わるもので、従来はクライアントにインストールされていた『Excel』『Word』などのコンポーネントを呼び出していたが、今回はクライアント側のアプリケーション環境に依存せず、ダウンロードによって提供されるという。なお、現在のところ提供スケジュールは決定していないとのことだ。“Webパーツ”間、または外部のデータソースを接続してデータを表示することが可能で、たとえば、サイト内に配置した“Officeスプレッドシート”に入力したデータを“Officeピボットグラフ”でグラフ化するといった使い方ができる。

画面中央上部分の“MSN Japan”の枠内が“WebキャプチャWebバー”を使って別のウェブサイトからデータを取得してきたデータ。時間を設定し、データの自動再取得を行なわせることもできる

『Microsoft Windows SharePoint Services』は『Windows Server 2003』の追加サービスとして、無償配布される(現在はβ2が無償配布されている)。『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2003』については、正式なリリーススケジュールと価格は現在のところ未定。価格については「現行の『Microsoft Office SharePoint Portal Server 2001』と同等の価格帯、システム構成にもよるが、約70~80万円程度で提供したい」(昇塚氏)と述べた。

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