Cyrix「6x86」「MII」、NexGen「Nx586」、Rise「mP6」など、一時期はやたらと存在したx86互換CPU。いまではAthlon/Duronだけが唯一強力なIntelの対抗馬である。しかし、以前は「WinChip C6」などを生み出してきたCentaur Technologyを買収して、地道に開発を続けているVIAの「C3」も、着実にクロックをアップさせ、新製品を出している。そして、新たに登場した最上位版がこの933AMHz版だ。
Socket370マザーに第2の選択肢
写真1 クロックあたりのパフォーマンスこそCeleronやDuronなどにはかなわないものの、最新の製造プロセスにより低消費電力を実現しているVIAのx86互換CPU「C3」。 | 写真2 裏面からの表示からもわかるように、動作電圧は1.35Vと他社のCPUと比べて、かなり低い。 |
まず、簡単にC3の仕様を解説しよう。この933AMHz版で採用するコアは「Ezra」と名付けられたもので、SamuelとSamuel2に続く第3世代に当たる。Samuel時代は2次キャッシュを持たなかったが、Samuel2からは64KBが内蔵され、本製品でも同様(1次キャッシュは128KB)である。製造プロセスはSamuel2の0.15μmに対し0.13μm。IntelはNorthwoodによって0.13μmプロセスに移行しているが、AMDは現時点でAthlon XPでも0.18μmプロセスなので、まさに最新技術を採用している。これにより動作電圧も1.35Vと低く(写真2)、消費電力はCoppermineコアを採用した同クラスのCeleronと比べ1/3以下である。製品に付属しているCPUクーラーも非常に小さい(写真4)。
写真3 今回入手したのは紙箱入りのパッケージだが、最近では並行輸入版、国内代理店版とも円筒型の缶入りパッケージとなっている。なお、C3の国内代理店はASUSTeK製マザーの取り扱いでよく知られるユニティ(http://www.unitycorp.co.jp/)である。 |
若干気になった点は、どうして933“A”MHzなのかという問題だが、これが実はよく分からない。700MHz台の製品からすでにEzraコアのみが用いられており、コアの違いを示す必要はないような気がする……。この辺のあいまいさもVIAらしいと言えばそうなのだが。
写真4 リテールパッケージゆえCPUクーラーも付属しているが、これがかなり小型、というかハッキリ書くとショボい。発熱量の少なさの表れとも言えよう。 |
ベンチマークテストの結果は以下のとおり。動画圧縮などマルチメディア系プログラムの動作については期待薄としか言いようがないが、3DMark 2000ではまずまず健闘しており、オフィスアプリを動かすぶんには十分なレベルの性能を持つ。低消費電力がとにかく魅力なので、ノートPCへの搭載など、自作向けとは違うかたちでの展開に期待したい。
各種ベンチマークテストの結果 グラフ1 TMPGEncとWMVによる動画圧縮&グラフ2 3DMark 2000 |
VIA C3-933AMHzの主なスペック | |
製品名 | VIA C3-933AMHz |
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FSB | 133MHz(7倍) |
動作電圧 | 1.35V |