「Ultrastar 146Z10」。日本製だ |
SeagateとMaxtorに続き、SCSI HDDベンダの老舗であるIBMからもUltra320 SCSI対応のHDD「Ultrastar 146Z10」(型番:IC35L146UWDY10)が登場した。Ultrastar 146Z10は、同社従来製品でUltra160 SCSI対応となるUltrastar 73LZXシリーズ後継となる新設計の製品。MaxtorやSeagateとは違い、ただインターフェイスをUltra160からUltra320へ拡張したわけではないということだ。
最大の特徴は、内部転送速度が825Mbps(103MB/秒)となり、はじめて毎秒100MBを突破した点。もちろん、これまで最速の座に君臨していたSeagateのCheetah X15(ST318452)の706Mbps(88MB/秒)を大きく上回るわけだが、これにはUltrastar 146Z10で新たに搭載した“RVS”(Revolutional Vibration Safeguard)と呼ばれる技術が寄与しているようだ。RVSとは、搭載する回転振動センサによって、RAIDアレイなどで複数台のHDDを同一フレーム上で運用した際、振動による性能低下を防ぐサーボ技術のこと。これまでは振動によりシークエラーなどが発生した場合、エラー訂正もしくは再シークによってデータを読み出していたわけだが、RVSによってこれを回避することで性能を向上させるというわけだ。IBMの発表によると、RVSを採用するUltrastar 146Z10はUltrastar 73LZXに比べてデータスループットで15%以上のパフォーマンス向上が得られるという。
このほかスペックを見てみると、容量は146GB。Ultra320 SCSI対応HDDとしてはじめて100GBの大台を突破した製品でもある。ディスク枚数/ヘッド数は6/12で、単純計算すると1プラッタは24.33GB相当ということになる。回転数は10000rpm、平均シークタイムは4.7ms、平均待ち時間は3msで、キャッシュ容量は8MBとなっており、回転数以外のスペックがすべて従来製品を上回っているのも見逃せないところ。Ultrastar 146Z10シリーズには73/36/18GBもラインアップされており、これらも順次登場する予定だ。なお、従来製品並びに他社製Ultra320 SCSI対応HDDとの違いは以下のとおり。
シリーズ名 | IBM「Ultrastar 146Z10」 | IBM「Ultrastar 73LZX」 | Seagate「Cheetah X15 36LP」 | Maxtor「Atlas 10K III-U320」 |
---|---|---|---|---|
最大容量 | 146GB | 73GB | 36GB | 73GB |
インターフェイス | Ultra320 | Ultra160 | Ultra320 | Ultra320 |
回転数 | 10,000 | 10,000 | 15,000 | 10,000 |
ディスク枚数 | 6 | 6 | 4 | 4 |
最大内部転送速度 | 805Mbps(103MB/秒) | 690Mbps(86MB/秒) | 706Mbps(88MB/秒) | 622Mbps(78MB/秒) |
キャッシュ容量 | 8MB | 4MB | 8MB | 8MB |
平均シークタイム | 4.7ms | 4.9ms | 3.7ms※ | 4.5ms※ |
価格はコムサテライト3号店にて15万6800円。衝撃の値段である。160GBのIDE HDDは3万円切る価格で販売されており、価格差はおよそ5倍。単純な金額の比較ではとても手が出るものではないが、パフォーマンスは現在手に入るHDDの中で最も高く、所有した場合の優越感はかなり高そうだ。
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