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SCSI最速のUltra320対応カード、評価版が先行発売に

2002年04月06日 00時00分更新

文● Jo_Kubota

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パッケージ

 SCSIの最新規格Ultra320に対応したインターフェイスカード「LSI22320R-CTU」がLSI Logicから国内初登場。USER'S SIDE本店が限定1枚を入荷している。



Ultra320 SCSI

 Ultra ATAの立ち上がり以降、ATAPIの転送速度向上によりコンシューマではすっかりニッチへと追いやられてしまったSCSIだが、高速化は着実に進んでおり、Ultra320はその最新最速規格にあたるものだ。クロック80MHzで16bit転送を行い、DTモード(※1)をサポート。転送レートは 80MHz×16bit×DT=320MB/秒で、パラレル規格(※2)としては最大のパフォーマンスを持つ。ちなみにIDEのUltra ATA/133(133MB/秒)と比較すると、単純に約2.4倍の転送レートを誇ることになる。

※1 DTモード Double Transitionモード。メモリのDDRと同じようにタイミング信号の立ち上がりと立ち下がりでデータを転送するモードのこと。

※2 パラレル規格 現在SCSIはシリアル系とパラレル系がある。本来、単にSCSIと呼んだ場合はどちらも指すことになるが一般的にSCSIと言えばパラレルSCSIを指す。シルアルSCSIは名の通り1ビットのデータを高速なクロックで転送する方式。シリアルSCSIにはIEEE1394やFibreChannelなどがある。パラレルSCSIは8bitないし16bitのデータを同時に転送する方式。8bitをNarrowSCSI、16bitをWideSCSIとも言う。代表的なものにSCSI-2のFastSCSI、LVDをサポートするUltra2 SCSIなどがある。



LSI22320R-CTU

 LSI22320R-CTUはのUltra320 SCSIに対応する68ピンのWideタイプを2ch装備し、64bit/133MHzのPCI-Xに対応するハイエンドSCSIカードだ。2chあるコネクタが独立しているかどうか現時点では不明だが、外部コネクタも2つあることから独立していると推測される。ヒートシンクの下にあるSCSIチップは恐らくLSI Logic製のコントローラ“LS53C1030”だろう。
 インターフェイスはLVD/SEに対応しているが、LVDとSEを混在させた場合、すべてSEモードになるのはSCSI規格どおり。なおSCSI-2以降の規格とは完全な互換性が保たれている。



PCI-Xロゴ
PCI-Xロゴ
Customer Test Unit model

 なお、今回登場した製品はβ版とも評価版とも言える製品で、添付されているペーパーにも“Customer Test Unit model”“evaluation board”と書かれている。しかもドライバもマニュアルも付属していないため、現状ではほとんどのOSで使用できない。MS-DOS上で単なるCドライブとして使用するか、BIOS画面を眺めるしかなさそうだ。またβ版のためかどうかは分からないが、実際にテストしたUSER'S SIDE本店によると、ヒートシンクはかなり熱くなるとのこと。場合によっては別途ファンで風を当てる必要があるかもしれない。
 また、もうひとつの問題は対応するHDDが手に入るかどうか。IBMやSeagateからすでにUltra320 SCSIに対応した製品がアナウンスされているものの、現在出回っている製品がUltra320に対応しているかどうかは不明。当面はの入手にも一苦労しそうだ。


インターフェイスとチップに搭載するヒートシンク
インターフェイス&ヒートシンク外部インターフェイス

 価格は6万8800円。SCSIカード1枚でエントリーレベルのPC1台が楽に買えてしまう価格はコンシューマ向けではないが、この手の製品が好きなハイエンドユーザーにとっては十分予算内の製品だろう。衰退するSCSIと言われて久しいが、Ultra320を超えるストレージインターフェイスは出て来る気配は当面ないため、現時点ではまさしく“最速”のインターフェイスである。
 なお同店ではLSI Logicに対しドライバ提供の交渉をしており、ドライバが手に入る可能性も残されているほか、早ければ今月末にも製品版が入荷する予定があるという。

ニッチofニッチ?! HVD規格のSCSIカードが少量流通

AHA-3944AUWD

 なお、Adaptec製の「AHA-3944AUWD」という珍しいSCSIインターフェイスカードも今週アキバに登場している。このカードは、コンシューマ市場では対応デバイスを探すのも難しいHVD規格(※3)の製品で、同規格に対応した製品のみ接続可能。HVD SCSIカードの中でもAHA-3944AUWDはHVD最高スピードのUltaWide(転送速度40MB/秒)に対応し、なおかつ独立した2chのコネクタを持つほか、外部も2つコネクタが用意。さらに国内では単品製品として販売されていないレア中のレア・アイテムとなっている。SCSI好きならこ ちらも要チェックだ。入荷しているのは高速電脳で、価格は1万4800円。

※3 HVDはLVDが登場した際に区別するために付けられた名称で、LVDが登場する以前は単に“Differential”、日本語訳で“差動方式”と呼ばれていた。一般的なSE(SingleEnd)モードがGNDと5Vの電位差でビットを表現するのに対し、Differentialでは"+"と"-"の2本の信号線を使い、プラス側の電圧よりもマイナス側の電圧が低い場合を「1」、逆の場合を「0」としている。Differential方式はノイズに強く、HVD/LVDともデバイス1つまでなら最長25m、2デバイス以上なら12mというケーブル長をサポートするのが特徴だ。HVDは+5と-5V、LVDは+3Vと-3Vの電圧を使用している。なおHVDはSEモードともLVDとも互換性がないが、LVDはSEモードと互換性がある。



【取材協力】

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