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ALSI、米MobileWebSurfのモバイル向けウェブコンテンツ変換ソフト『WorldCruiser』発表

2002年01月30日 22時42分更新

文● 編集部 佐々木千之

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アルプス システム インテグレーション(株)(ALSI:アルシー)は30日、都内で事業戦略発表会を開催し、2001年11月に発表した米MobileWebSurf社への資本参加・業務提携に基づき、モバイル向けウェブコンテンツリアルタイム変換ソフト『WorldCruiser(ワールドクルーザー)』を3月20日に発売すると発表した。価格は28万円から(同時接続ユーザー数10の場合。契約内容により異なる)。

ALSI代表取締役社長大喜多晃氏。米MobileWebSurfと協力して、日本市場向けに商品やサービスを提供していくという
ALSI代表取締役社長大喜多晃氏。米MobileWebSurfと協力して、日本市場向けに商品やサービスを提供していくという

米MobileWebSurfは、1999年11月設立のウェブコンテンツ変換ソフトメーカー。ALSIは、電子部品メーカーであるアルプス電気(株)のシステムインテグレーション事業を行なう子会社で1990年に設立。2001年11月に米MobileWebSurfに対して、25万ドル(約3300万円)を出資するとともに、同社製品の日本国内での独占販売権を得た。なお、ALSIの米MobileWebSurfに対する出資比率は2月末で1.4%の見込みとしている。

米MobileWebSurfの社長兼CEOのサンジェイ・シンハ氏
米MobileWebSurfの社長兼CEOのサンジェイ・シンハ氏

発表会では米MobileWebSurfの社長兼CEOのサンジェイ・シンハ(Sanjay Sinha)氏が挨拶し「WorldCruiserを利用すれば、特定のデバイスに依存することなく、インターネットの情報を共有できる。世界的に見てモバイルマーケットは、(日本を含む)アジア太平洋地域が先頭を進んでおり、ヨーロッパと北米がそれを追いかけている状況。ALSIと組むことで、日本で製品を提供できた。今後は日本向けの機能なども開発していきたい」などと述べた。

WorldCruiserは、ウェブコンテンツを、Palm機、Pocket PCといったPDAや携帯電話など、表示能力が限られた端末でも表示できるように、自動的にリアルタイムでフォーマット変換を行なうソフトウェア。具体的には、HTML、cHTML(compact HTML)、Dynamic HTML、拡張HTML(XHTML)、XMLで書かれたウェブページを、各種端末の表示能力に合わせ、HTML、cHTML、WML、XMLによるページに変換するというもの。その際、画像ファイル(BMP、JPEG、GIF、PNG)のサイズや色数、フォーマットの変更もできる。端末の判定は、端末がサーバーにアクセスする際にサーバーに対して発行するXMLタグによって行なう仕組みで、新しい端末が登場した場合などはALSIがそれらに対応した定義ファイルを作成し、WorldCruiserホストに対して自動的に配信するという。

WorldCruiserの概要
WorldCruiserの概要

また、テーブルタグを使ったページなどオリジナルの構成によっては、単純に変換しただけでは利用しづらくなる場合があるが、WorldCruiserではXPath(※1)を利用した構造解析技術によって、1つのウェブページを複数のページに分割するなど、閲覧しやすい形に変換できるとしている。パソコン向けコンテンツから携帯端末向けの変換だけでなく、例えばiモード用のコンテンツに、EZwebやJ-SKY対応端末でアクセスするといったことも可能(iモード公式サイトは除く)。

※1 XPath(XML Path language:XMLパス言語):ウェブ技術の標準化団体であるW3Cが1999年に勧告した、XMLで書かれたドキュメント/データの一部をアドレッシングするための規定。アンカータグなしで、XMLの任意の位置を指定できる。

発表会で行なわれたデモ。Pocket PCで、パソコン用のウェブページをそのまま閲覧したところ
発表会で行なわれたデモ。Pocket PCで、パソコン用のウェブページをそのまま閲覧したところ
こちらはWorldCruiserで変換してから閲覧したところ。ページの情報がコンパクトにまとめられているこちらはWorldCruiserで変換してから閲覧したところ。ページの情報がコンパクトにまとめられている

また、Microsoft Word、Microsoft Excel、Microsoft PowerPoint、PDFなどのドキュメントを、携帯端末で見られるよう変換する機能も備える。WordやExcelの表示では、文字を抽出して表示するほか、グラフィックスやグラフなどは画像ファイルに変換して表示する仕組みという。SSL、Cookieを使用するウェブサイトの閲覧も可能(※2)。JavaScriptを使ってHTMLを生成するようなウェブページにも対応しているという。

※2 SSL、Cookieに関するサポートは、WorldCruiserと目的のウェブサイト間に限られる。WorldCruiserと携帯端末間の通信はSSLには対応していない。また、Cookieのサポートは、そのサイトにアクセスしている間だけで、切断後は削除される。

そのほか、WorldCruiserのオプションとして、変換後のコンテンツをカスタマイズできる『Customizer』や、大量のアクセスがあるシステム向けの負荷分散ソフト『Load Balancer』も用意するとしている。Customizerを使うと、ある端末で見たときにリンク/データの表示順序を入れ替えたり、リンク/データを見えなくしたりできる。

Customizerを使うと、変換後の表示内容のカスタマイズが可能になる
Customizerを使うと、変換後の表示内容のカスタマイズが可能になる

ALSIでは、現状では各種の端末に対してそれぞれ専用のコンテンツを用意しなくてはならないが、WorldCruiserを利用することで、1つのサイトを用意すればさまざまな端末に一度に対応させることができるとしている。また、WordやExcelなどのファイルを携帯電話で直接見られるので、企業内情報システムとしての利用も考えられるとしている。ALSIでは本日のWorldCruiser発表に合わせて、WorldCruiser販売パートナーや、WorldCruiserを使ったシステム構築のためのSIパートナーなどの募集も開始した。現時点ですでに何件か問い合わせが入っているが、まだ契約には至っていないという。

WorldCruiserのようなコンテンツ変換ツールは、日本IBM(株)やインプローブ・ネットワークス(株)など、すでに数社から提供されているが、これらとの差別化については、SSLやJavaScriptへの対応といった点でWorldCruiserのほうが勝っており、十分に対抗できるとしている。

WorldCruiserの売り上げ目標は初年度5億円(500ライセンス)。ALSIの大喜多社長は、今後急速な成長が期待されるモバイル通信サービス分野において、米MobileWebSurfと協力して積極的にビジネスを行なっていきたいとしており、ソフトウェアの販売のみにとどまらず、教育分野や地方自治体などに向けたモバイル端末を利用したサービスなど広く事業を展開をしていく姿勢を見せた。

iモード端末でWorldCruiserを通じて変換したALSIのウェブサイトを閲覧しているところ
iモード端末でWorldCruiserを通じて変換したALSIのウェブサイトを閲覧しているところ
上と同様に、Palm機(CLIE)でALSIのウェブサイトを閲覧しているところ上と同様に、Palm機(CLIE)でALSIのウェブサイトを閲覧しているところ

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