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「ゲームキューブは究極のゲーム機、多機能AV機器ではない」――任天堂新製品発表会

2000年08月25日 22時06分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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任天堂(株)の家庭用次世代テレビゲーム機『ニンテンドー ゲームキューブ』の発表会は、“NINTENDO SPACEWORLD 2000”開始日の前日となる8月24日、NINTENDO SPACEWORLD 2000会場内に設けられた特別スペースで行なわれた。

発表会ステージ上に登場した5色の『ニンテンドー ゲームキューブ』

ゲームボーイアドバンスでは3Dを追い求めない

ステージ壇上に登場した同社代表取締役副社長の浅田篤氏は、まず『ゲームボーイアドバンス』の説明から開始した。浅田氏は、実際にゲームボーイアドバンスを手にし、「ゲームボーイアドバンスは高性能で画面も美しく、すばらしいサウンドを実現する。仕様やゲームの処理速度等を考慮すると、現行機の数10倍の性能アップとなる」と語った。

ゲームボーイアドバンスを紹介する竹田副社長

ゲーム機の市場動向について浅田氏は、「'98年の携帯型ゲーム機と据置型ゲーム機の出荷比率は3対7だったが、'99年には5対5となり、'99年末にはゲームボーイが据置型ゲーム機全体を上回った」と語り、市場の流れは携帯型ゲーム機に向いていると強調した。

ゲームボーイアドバンスでは複雑な3次元画像は追い求めず、ゲームシステムもシンプルにするという。浅田氏は「スーパーファミコンとゲームボーイの利点を統合した究極の2次元ゲームマシンだ」と語った。

ゲームボーイアドバンスは2001年3月21日発売で、価格は9800円。発売月に100万台を出荷する予定という。同時発売の対応ゲームソフトは10タイトル。

主役登場に歓声の沸く会場

ゲームボーイアドバンスに続いて、来場者が待ち望んでいた次世代ゲーム機“Dolphin”(コードネーム)こと、『ニンテンドー ゲームキューブ』が披露された。

大量のスモークの中、5色のゲームキューブが登場。来場者席の一部(おそらく海外プレス席)から、「ワー」「ウォー」「ヒュー」等々、ものすごい歓声が上がった。一方、記者のいた国内プレス席はとても静か。ノリが違う……

ゲームキューブという名称は、本体デザインの立方体からきているという。ゲームキューブの説明を行なった同社総合開発本部の竹田本部長は、「ゲームキューブは多機能情報AV機器ではなく、かつてない最高傑作のテレビゲーム機。われわれは別分野で覇権を目指そうとは思っていない」と強調した。

片手にゲームキューブを持ち、製品説明を行なう竹田本部長

ゲームキューブの開発背景には、高性能だがソフト開発に特殊なチューニングを要するNINTENDO64のゲーム開発の難しさへの反省があるという。竹田氏は「ハードウェアの性能アップに伴い、ソフト開発が複雑化し、それがゲームを重厚長大化した。クリエイター側から、開発コストが上昇し、ゲーム市場が崩壊しかねないという声が寄せられた」と説明した。

ゲームキューブは、ゲーム開発向けに、ハードのピーク性能よりも持続性能を重視して開発したという。竹田氏は「瞬間最大性能は、クリエイターとっては役に立たないということを64で学んだ」としている。

メディアには、直径8cmの光ディスクを採用している。既存のゲームメディアのディスクよりひと回り小さいサイズについて竹田氏は「近い将来に実現されるであろう、テレビと携帯端末の遊びの融合を考えたとき、これがゲームのデファクトスタンダードサイズになるだろう」と説明した。

ゲームキューブの周辺機器には、専用メモリーカードやコントローラーのほか、モデムアダプターやブロードバンド対応アダプター、D端子対応デジタルビデオケーブルが用意されている。竹田氏は「われわれは、ITやブロードバンド、ホームネットワーク、Bluetooth、SDメモリーカード、BSデジタル放送にも貪欲だが、これらのテクノロジーは楽しい遊びを実現させるための裏方に過ぎない」とし、ゲームキューブが“究極のゲーム機”であることを強調した。

デモ画面で128人のマリオが動き回る

続いて情報開発部の宮本本部長が登場、専用コントローラーとゲームキューブのゲーム画面が披露された。コントローラーについて宮本氏は「コンパクトに手の中に収まる。基本的に、左側の3Dスティックと右側中央のAボタンだけでゲームを遊べたらいいなと思う」と説明した。

ゲームキューブのコントローラーポートに、ゲームボーイアドバンスを接続して、コントローラーとして利用することも可能

ハードウェア性能を説明するため、宮本氏はゲームキューブの実機を使ったデモゲーム『マリオ128』を披露した。128人のマリオが画面を動き回るというもので、1人ひとりが一斉に異なる動作をする様子がステージ上のスクリーンに映し出された。マリオたちが動く地形をさまざまに変形させたり、ライティングや透明効果、モーフィングなどをマリオに付加させるといった処理もリアルタイムで行なわれた。

宮本本部長が披露したデモ用ゲーム『マリオ128』。画面上にマリオが1人、2人と増えていき、最後は128人のマリオがそれぞれ動き回るユニークなプログラムだ

対応タイトル発表は来春までおあずけ

最後に浅田氏がゲームキューブの発売時期を発表した。発売は7月で価格は未定。同時発売の対応ゲームソフトは5タイトルだが、タイトルの詳細については明らかにされなかった。浅田氏は、「64発表時、タイトルも同時に紹介したところ、そのタイトル発売の前に、他から内容を模倣したタイトルが出てしまったので、今回のゲームキューブ対応タイトルは発売直前まで見せない」としている。対応タイトルのお披露目は、2001年5月に米国で開催される“E3(Electronic Entertainment Expo)”で行なわれるという。

発表会終了後は、NINTENDO SPACEWORLD 2000展示スペースのうち、ゲームボーイアドバンス体験コーナーと、『ポケットモンスター クリスタル』(仮称)のステージが公開され、発表会に来場した関係者であふれかえっていた。なお、ゲームキューブはNINTENDO SPACEWORLD 2000では出品されない。

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