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SDカードは8月か9月に64MBまでの製品を発売する――サンディスクがプレスミーティングを開催

2000年05月24日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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サンディスク(株)は23日、都内のホテルでプレスミーティングを開催した。このミーティングには、同社の青木芳夫代表取締役社長、米サンディスク社のボー・エリクソン(Bo Ericsson)副社長が出席し、フラッシュメモリー市場の今後の見通しや、製品計画などについて説明が行なわれた。

サンディスクの青木芳夫社長
サンディスクの青木芳夫社長



米サンディスクのボー・エリクソン副社長
米サンディスクのボー・エリクソン副社長



エリクソン副社長によるとサンディスクは、'92年に業界で初めてATAインターフェースを持つPCカードタイプのフラッシュメモリーカードを発売し、その後'98年にはドイツのシーメンス社と“マルチメディアカード(MMC)”を発表、'99年には松下電器(株)、(株)東芝と“SDメモリーカード”を発表するなど、フラッシュメモリーカード市場において、リーダーシップを取っている。

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'99年のフラッシュメモリーカード世界市場のグラフ(売り上げベース。米International Data Corporation調べ)


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同社はコンパクトフラッシュ、MMCなどのフラッシュメモリーカードを、自社ブランドとOEMにより販売しているが、'99年のフラッシュメモリーカード世界市場においては28パーセントと、2位の東芝(19パーセント)、3位の韓国のサムスン電子社(10パーセント)を引き離してナンバー1の位置にあるという。また、フラッシュメモリーに関連するパテントを100以上保有している。このパテントでは、米インテル社、東芝、(株)日立製作所、シャープ(株)などとクロスライセンスを結んでおり、重要な収入源になっているという。

現在のフラッシュメモリーカード市場は、デジタルカメラの記録メディアとしての需要により活況となっているが、さらに今後、携帯電話へMMCやSDメモリーカードがストレージとして採用される見込みで、これからの3~5年で爆発的な需要を見込んでいるという。10年後には、35mmカメラのフィルム、ビデオカメラのビデオテープ、CD、MDといったメディアについてはフラッシュメモリーカードが取って代わり、さらに電子商取引や家電において巨大な市場が出現すると予測している。なお、同社のフラッシュメモリーカードの出荷数は、'98年に200万個、'99年に500万個、2000年の予測では1200~1500万個と、急激に市場が拡大していることを示している。

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サンディスクによる2010年のストレージ市場予測。市場規模においてHDDやDRAM/SRAMと肩を並べ、あるいは超えるという


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フラッシュメモリーカードの用途別の市場予測では、携帯用音楽プレーヤーと携帯電話の伸びが大きいとしており、市場全体として2000年から2005年にかけては毎年48パーセントという大幅増を続け、その結果、'99年では7億ドル強(約750億円)の市場が2005年には90億ドル弱(約9600億円)に成長すると見ている。

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サンディスク、東芝、松下によるフラッシュメモリーストレージ市場予測


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同社の今後の製品については、現在発売しているMMC、コンパクトフラッシュ、PCカードタイプのフラッシュメモリーカードに加えて、第3四半期の後半にSDメモリーカード、年末にはスマートメディアを発売する予定としている。なお、発売時のSDメモリーカード容量は8、16、32、64MB、年末には256MB製品を出荷する予定という。

フラッシュメモリーチップについては、現在1チップあたり256Mbit製品を生産しているが、2年以内には1Gbit製品を出荷するとしている。なお、現在のサンディスクの256Mbitチップは0.24μmプロセスルールで製造されるNORタイプのフラッシュメモリー。さらに2001年には0.18μm、2002年には0.16μm、2003年には0.13μmへと微細化される。また、現在のチップは1メモリーセルあたり2bitの情報を保持できるが、2001年には1セルあたり4bitの情報を保持できる技術を開発して、より一層高密度なチップとなるという。

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サンディスクのフラッシュメモリーテクノロジーロードマップ


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記者団からの、コンパクトフラッシュ、SDメモリーカード、MMCがお互いに競合しないのか、という質問に対しては、「規格サイズの違いから、SDメモリーカードはMMCの2倍の容量、コンパクトフラッシュはSDメモリーカードの2~3倍の容量となっており、利用する機器に許されるサイズと必要な機能、容量から、これらは共存すると考えている」と答えた。

さらに、ソニー(株)のメモリースティックに対する、SDメモリーカードの優位性はなにかという質問には、「SDメモリーカードはメモリースティックのように1社で決められた規格ではない。(1月に設立した)SDメモリーカードアソシエーションには世界で70社以上が参加している。(ソニーと違って)フラッシュメモリーチップから製造していることで技術上の優位点もある。サイズも小さく、ノキア、エリクソン、モトローラの携帯電話への採用も決まっている」とした。サイズ比較については、ソニーも小型の“メモリースティックDuo”を発表しているが、とのつっこみが入ったが、これには「確かにあれは小さい。微妙なサイズだ」と苦笑いするにとどまった。

メモリースティックに対するSDメモリーカードの優位点についての主張は、SDメモリーカードアソシエーション設立時のものと変わっていない。1月の時点でソニーは、サイズについてはとり扱いやすい大きさというものがあるし、フラッシュメモリーチップを製造する半導体メーカーは多く、それぞれに優れた技術を持っており、アライアンスに関しても参加企業の数が問題ではないなどと応じていた。

しかし、ソニーは4月に小型のメモリースティックDuo規格を発表、さらには23日に、台湾でメモリースティック対応製品の商品化を検討・推進する目的で“台湾メモリースティックフォーラム”の設立を発表、メモリースティックのライセンス契約企業は世界で55社に達したとし、ここに来てSDメモリーカード陣営のいう“優位点”との差を縮めつつある。また、対応する製品とカードをやっと発表したばかりのSDメモリーカードに比べ、商品の投入で先行し、'99年度末で累計200万台という対応機器を持つメモリースティックの優位性もかなりのものと見ることができる。

「これは1つの戦争だ。かつてのホームビデオ戦争と同様に我々が勝つ」と発言したのは、SDメモリーカード陣営の某企業の担当者だが、SDメモリーカードとメモリースティックの“戦争”は、文字通り世界を巻き込んだ戦いになりそうだ。

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