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【2001 CESレポートVol.12】マルチファンクションカードの発売で攻勢の年になるか──SDカード

2001年01月10日 19時05分更新

文● 編集部 佐々木千之

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SDカードの普及を図る目的で2000年のCESにおいて設立発表された非営利の業界団体“SDカードアソシエーション(SD Card Association)”は、今年もCES会場でプレス向け説明会を開催した。メモリーカードとしては今年、256/512MBバージョンの登場を予定しているほか、メモリー以外の機能を持った製品としてBluetoothモジュールなどが春以降に登場する見込み。

SDカードアソシエーションは、SDカードの中心企業である松下電器産業(株)、(株)東芝、米サンディスク社が中心となり、昨年70社ほどの参加企業を集めて設立された。先行するソニー(株)のメモリースティックに対し、SDカードは仕様策定を(1社でなく)共同で行なうなど“オープンな規格”であることや、フラッシュメモリー製造社(東芝)からメモリーカード専業メーカー(サンディスク)、大手家電メーカー(松下電器)までが加わるというトータルでのプラットフォーム供給能力をアピールして、これまでに150社を超える参加企業が集まったという。

東芝によるSDカードのロードマップ
東芝によるSDカードのロードマップ。今年はマルチファンクションカード登場の年となっている
サンディスクによる市場予測グラフ
サンディスクによる市場予測グラフ。2002年には最も多いメモリーカード規格になるという(ただし、SDカードとMMCを合わせた数)

6日(現地時間)に行なわれたプレス向け説明会では、先の3社に加えて、SDカードスロットを備えた製品の発表を予定している米パーム社もプレゼンテーションを行なった。各社のプレゼンテーションを総括すると、メモリー容量については現在発表済みの128MB製品に加え、2001年から2002年にかけ、256MBと512MB製品を、さらに2002年から2003年に賭けて1GB製品が登場する見込み。

松下電器が自社ブースに展示していたSDカード(メモリー)のロードマップ
松下電器が自社ブースに展示していたSDカード(メモリー)のロードマップ
東芝によるマルチファンクションカードの展示
東芝によるマルチファンクションカードの展示。(左上から時計回りに)デジタルカメラモジュール、Bluetoothモジュール、GPSモジュール、スキャナーモジュール

また、Bluetoothモジュール、GPSモジュール、デジタルカメラモジュールなどのマルチファンクションカード(SD I/O カードと呼んでいた)が予定されているという。このうちBluetoothモジュールは各社が計画しているが、東芝が計画している今年の春というのが最も速いスケジュールのようだ。各社とも、技術的にはいつでも作れるとはいうものの、マルチファンクションカードについて、動作するモデルはまったく展示されておらず、モックアップにとどまっている。

松下電器の、SDカード対応のインターネット電子レンジ
松下電器の、SDカード対応のインターネット電子レンジ
松下電器のSDカード対応カーステレオ
松下電器のSDカード対応カーステレオ

SDカードスロットを備えた製品側では、松下電器がMP3プレーヤー、ビデオカメラ、ノートパソコン、PHS、ボイスメモレコーダー、インターネット電子レンジ、ファクス、カーナビゲーションシステム(すべて発売ないし発表済み)と積極的に展開しており、他社がMP3プレーヤー程度にとどまっているのと比較して、実際の製品化においては突出している。この点について松下電器は「いまはSDカードの認知と普及を進めるために製品開発スピードを早めて積極的な展開を行なっている。他社の製品展開が通常の製品スケジュール」という。このあたりの製品展開は、メモリースティックにおいてソニーが率先して多くの製品を発表しているのと立場は同じというところか。

パームによるマルチファンクションカードの展示
パームによるマルチファンクションカードの展示。(上段左から)デジタルカメラモジュール、Bluetoothモジュール、モデムモジュール、(下段左から)GPSモジュール、スキャナーモジュール、MP3プレーヤーモジュール。右側にあるのはSDカードスロットを備えたPalmのモックアップ
パームによる、各メディア規格の比較表
パームによる、各メディア規格の比較表

PDA市場で大きなシェアを持つパームがSDカードスロットの製品を投入すれば、市場に対するインパクトはかなり大きいと考えられる。パームはプレゼンテーションや自社ブースで、メモリーカードでなくマルチファンクションカード(モックアップ)を展示していることからわかるように、機能拡張のためのプラットフォームと考えている。マルチファンクションカードが順調に開発、投入できるかどうかが今後のSDカードの普及のカギになりそうだ。そのためには、GPSモジュール、Bluetoothモジュールなどすでに数種類の動作モデルを発表しているソニーに追いつき追い越すような開発のスピードアップが必要とされている。

松下電器が自社ブースで展示していた、SDカード搭載電子メール端末のモックアップ
松下電器が自社ブースで展示していた、SDカード搭載電子メール端末のモックアップ

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