ネットワーク関連のイベント「NetWorld+Interop 2000 Tokyo」の展示会が、6月7日から9日まで3日間にわたって幕張メッセで開かれた。来場者数はのべ12万9836人と昨年の12万6131人と比較して増えており、出展社数も365社と過去最多だ。このイベントは、ネットワークインフラや最新のインターネット技術・サービスなどを紹介するもの。Linux関連製品を目玉に展示したブースは一部だけだったが、ターボリナックス ジャパンやデジタルファクトリというLinux企業がブースを構えたほか、Linuxを使用した製品がいろいろなところで見受けられた。その模様をレポートする。
ターボリナックス ジャパン(株)
ターボリナックスでは、「ハイパフォーマンスLinuxシアター」と題して、Linuxマシンによるクラスタリングのデモンストレーションなどを行なっていた。その内容は、Turbo Linux Cluster Serverを使用したサーバの負荷分散や、分散してレンダリングを行なうことによる高速なアニメーション作成などである。
デジタルファクトリ(株)
デジタルファクトリでは、8日に発売されたばかりのサーバ向け新製品「Kondara MNU/Linux Server 1.1」をメインに展示していた。
同製品は、Linuxカーネル2.2.15を搭載し、サーバ管理用のツール群「mph」を装備。サポートするアーキテクチャはx86とAlphaで、x86版には高速なジャーナリングファイルシステム「ReiserFS」を採用している。また、bindなどユーザーランドの対応はまだ行なわれていないものの、カーネルレベルではIPv6をサポートしている。なお、ReiserFSのフォーマットが、カーネル2.4から互換性のない形で変更されているのだが、この問題への対応は検討中とのこと。
(株)アクアリウムコンピューター
アクアリウムコンピューターのブースでは、小型のLinuxサーバ「blue grass」などを展示。写真の製品は「silver neon」で、Celeron-533MHz、メモリ128MB、高さ30cm弱の小型サーバだ。OSはTurboLinuxとRed Hat Linuxから選択可能。
(株)高岳製作所
高岳製作所のブースでは、Linuxを採用したディスクレスPCを参考出品。PCのスペックは、CPUがCeleron-500MHz (Pentium IIIも選択可)、メモリは128MB (最大768MB)、I/Oポートには10/100BASE-Tやシリアル・パラレル・USBなどを標準で装備。サイズは、幅300mm×奥行き325mm×高さ90mm。
ディスクレスPCのため、ROM化したLinuxカーネルから起動し、TurboLinuxをNFSでマウントして使用することになる。
日本ビクター(株)
日本ビクターでは、Linuxを採用したネットワーク端末「IPステーション」を参考出品。筐体内部はPCと同じ構成で、Pentium MMX-200MHz相当のCPU、メモリ64MB、シリアル/パラレルポートやUSBなどのインターフェイス、内蔵56kbpsモデムを装備している。
外見上目立つのはICカードスロットを備えている点で、このスロットはインターネットショッピングの際の認証などの用途を想定している。また、NTSC出力を備えているためテレビに接続することができ、付属する専用リモコンから操作することも可能になるという。
コンパックコンピュータ(株)
コンパックコンピュータのブースでは、Linuxに対応したAlpha CPUのマシンを展示していた。写真は1UサイズのAlphaラックマウントサーバ「AlphaServer DS10L」で、サポート対象のOSはLinuxのほかTru64 UNIXとOpenVMS。この製品のほかにも、デスクトップタイプのAlphaマシンが展示されていて、発売されたばかりのKondara MNU/Linux 1.1 Serverが動作していた。
日商エレクトロニクス(株)
日商エレクトロニクスのブースでは、米Cobalt NetworksのLinuxサーバ製品「Cobalt Qube 2J」を多数展示。Cobalt Cube 2Jは、CPUにMIPSを採用している。メモリは16MBから64MB(モデルによって異なる)。ネットワークインターフェイスとして10/100BASE-T×2を備え、オフライン状態でも背面に内蔵されたLCDパネルからIPアドレスなどの設定を行なうことができる。
同製品は、システム管理をWebページから行なうことのできる小型サーバで、メールサーバやファイルサーバなどが主な用途だ。次期製品では、(株)ネオジャパンのグループウェア「iOffice」をバンドルして出荷する可能性があるとのこと。
(株)エーピーシー・ジャパン
エーピーシー・ジャパンのブースでは、Linuxに対応したUPS(無停電電源装置)を「Smart-UPS」シリーズを展示。同社の電源管理ソフトウェア「PowerChute plus for Linux」により、シリアル接続されたUPSをモニタリングし、イベントの通知や電源障害時の自動シャットダウンを行なうことができる。
NetWorld+Interop 2000 Tokyoの展示会は、ネットワーク機器がメインのイベントという性格上、展示されているLinux関連の製品は少なかった。その中で、ターボリナックス ジャパンとデジタルファクトリ、アクアリウムコンピューターがLinux企業として出展しており、マーケティングへの力の入れ具合がうかがえた。また、Linuxを使ったインターネット端末のように、組み込み分野でのLinuxの利用が脚光を浴びており、今後このような用途でのLinuxの利用がますます進んでいくと思われた。