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Windows NTをベースにしたUnPBXタイプのコールセンターシステムを構築

ヤマトシステム開発

1999年12月06日 00時00分更新

文● 榎本

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 ヤマトシステム開発は、システム開発やコンサルティングを行なっており、さまざまなアプリケーションなども開発している。同社が開発した通信販売システム「産直くん」、「リピートくん」(右のコラム参照)もそのうちの1つだ。この産直くん/リピートくんを導入した顧客からのユーザーサポートは、従来ヤマトシステム開発内の電話を利用して行なってきた。このサポートは、製品を導入したユーザーに対して無料で行なっており、社内にいる要員がそれぞれのサポートを行なっていたが、この4月からCTIを利用したコールセンターを構築/運営している。

 同社の粟飯島氏によると「年末の繁忙期になると、産直くん/リピートくんのサポートにかかる電話の件数も大幅に増え、土日の休みもない状態だったために、これはなんとかしなければということになりました」とのことで、CTIを利用した専用のサポートセンターを開設することを検討し始めたという。

 まずは、すでに実施されていたナンバーディスプレイサービスを試すために、試験的にナンバー表示用のアダプタを導入して、CTIシステムがどれくらい実用的かという実験を行なったそうだ。ユーザーからの問い合わせの電話を利用して約1カ月間行なったテストにより分かったのは、同社の顧客のうち、ナンバー非表示の顧客が6%であり、残りの94%が電話番号を表示する契約になっていたということである。これであればCTIのシステムを導入しても十分実用的ということで、実際の導入に踏み切った。

コールセンター写真
写真1 コールセンターには、常時2人の専任担当者がおり、ユーザーからの問い合わせに対応している

 そして今年の4月から、沖電気工業(http://www.oki.co.jp/OKI/Cng/CTI/JIS/)で開発しているCTIパッケージ、CTstage Version2.0(以下CTstage)を利用した(※3)UnPBXタイプのスモールコールセンター(写真1)を構築し、運用を開始している。

ヤマトシステム開発の産直くん、リピートくんとは?

 ヤマトシステム開発は、全国に営業所を設けており、これらの営業所は、親会社である「クロネコヤマトの宅急便」でお馴染みのヤマト運輸の支店内を間借りして作る場合が多いそうだ。実際、'88年に設立された長野営業所もその1つだった。長野営業所の前にはリンゴ畑が見渡す限り広がっていた。そのような土地柄から、ヤマト運輸長野支店の顧客の大半が、リンゴ畑を営んでいる農家であり、リンゴを注文した顧客に対して宅配便を利用するというものだったということだ。さらに、営業所の宅配便を利用している顧客に対してアンケートを行なったところ、彼らが困っていることとして「多くの伝票を手書きするのがたいへんだ」ということや、「顧客や売り上げを簡単に管理できる方法はないか?」という意見が多く見受けられたという。

 これを解決するために、発送と顧客管理をメインにした通信販売支援システムとして開発されたのが、産地直送便を扱うためのシステム「産直くん」である。ヤマト運輸の宅急便伝票のイメージをそのまま使い、コンピュータに不慣れなユーザーでも簡単に入力ができるように工夫されている。その入力を元に伝票や請求書をプリントアウトし、DM発送などのための顧客情報も管理できるようなシステムとなっており、PC/プリンタ/ソフトウェアが一体となったシステムである。

 産直くんがリリースされたあとに、これをベースにした「リピートくん」も開発された。これは、産直くんよりも顧客管理のシステムを強化したもので、産直くんが「発送」をメインに考えているものだとすると、リピートくんは、通販には重要な(※4)リピートオーダーを獲得するために「顧客管理」をメインに考えたものと言える。価格は、基本構成で、産直くんのMS_DOS版が54万円から、Windows版は49万5000円から、リピートくんは79万円からとなっている。

※3 従来から企業などで利用されているPBX(Private Branch Exchange:構内電話交換機)での処理を、PCサーバだけで実現しようというモデル。PCサーバに、回線制御を行なうためのテレフォニーボードを実装することにより実現される。中小規模のコールセンターで利用され、ACDやIVRなどの処理を1台のPCサーバで行なうことができる。

※4 通販業界では、ビジネスが成功するサイクルとして「顧客作り」、「顧客繋ぎ」、「顧客続き」というコトバがある。通信販売の場合、新規に顧客を獲得することも重要だが、それには膨大な労力と費用がかかる。よってそれ以上に重視されるのが「1度購入してくれた顧客を繋ぎ止めること」であり、繋ぎ止めた顧客から何度も注文をもらうことをリピートオーダーという

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