LinuxWorld Expo/Tokyo '99初日の9月29日、「日本アイ・ビー・エムのLinux戦略」というテーマのカンファレンスが行なわれた。
そこでは、まずIBMのLinuxに対する認識として、「Linuxはオープンソースゆえに、さまざまな改良が施され、結果として質の高いものになっている。そして、現在Linuxの市場は伸びており、企業の使用に耐えうるOSとして成長を遂げつつある」という説明がなされた。そのためIBMでは、IBM製品をLinux環境下でも幅広く使えるように、全世界でのサポートを発表したという。
「日本アイ・ビー・エムのLinux戦略」について講演する日本アイ・ビー・エム Linuxサポートセンター担当新堀氏 |
そして、IBMとしての取り組みのポイントが5つ、あげられた。
1つめは、サポートアンドサービス。IBMでは全世界的なサポートメニューを提供しており、日本でも昨年「Linuxサポートセンター」を開設し、日本語環境を元に稼動検証を行なっている。そして、「Linuxサポートセンター」は「Windows NTサポートセンター」と同じ場所にあり、共存環境のテストも行なっている。今後は研修などのメニューも提供していく予定だという。
2つめは、ソフトウェアサポート。主要なソフトウェアのLinuxへのポーティングである。企業から1番要求が強いのは「ロータス・ドミノ」であり、これは来年年初に提供できるめどがついているという。他のサーバーサイドのアプリケーションとしては、データベースDB2を9月29日よりキャンペーン販売している。コンシュマー向けのものとしては、「インターネット翻訳の王様(発売中)」、「ホームページ・ビルダー(近日発表)」、「ViaVoice(発売未定)」がある、とした。
3つめは、ハードウェアサポート。Netfinity、IntelliStation、ThinkPadのシリーズを中心とし、公式に稼動確認を進めたものについてはWebには掲載しており、それ以外の製品についても稼動検証は進めているという。
4つめは、ディストリビューターとの協業。IBM自身としてはディストリビューションを出すつもりはなく、ディストリビューターと綿密な関係を維持しつつ、ユーザーの便宜を計りたいとした。サポートするディストリビューションとしては、全世界的には「Red Hat」、「TurboLinux」、「Caldera」、「SuSE」とし、国内では「レーザーファイブ」とも協力していくという。
5つめは、オープンソースコミュニティへの貢献。RAIDドライバなどGPLに準拠したソフトウェアを公開したり、Java関連のツールやソフトウェア・モジュール、コンパイラなどを公開している。また、関連団体への参加、サポートに関しても、積極的に行なっている、とした。
また、Linux戦略の一貫として、大塚商会、ドリームアーツと協力して「e-SWEET」というハード、ソフト、サービスを統合した商品を今回発表している。
最後に、IBMで出荷しているUNIXであるAIX、開発にかかわっているMonterayとLinuxとの関係について質問があったが、それに対しては「AIXは商用のOSとして今後も提供していく。Linuxはお客様が使う場合のサポートであり、最終的な法的な責任までは取ることができないものとして位置付けている。Montryに関しては最終的な位置付けは決定していないが、AIXと同じ方向性で行くのではないか」との回答がなされた。