み。です。
9月7日から9月11日まで幕張で行なわれたWorld PC Expo 99ですが、私は一般公開日の初日である9月8日にぷらっとホームさんにお招きいただき、Linuxパビリオンにて約30分間、プレゼンテーションをさせていただきました。立ち見の方を含めて、たくさんの方に足を止めていただき、ありがとうございました。
さて、今回のWorld PC Expo 99の目玉が何だったかというと、アップルの「iBook」だったのではないでしょうか? Windows 2000なんかもマイクロソフトのブースをはじめ、いろいろなベンダーのブースで展示をしていたようです。しかし、このイベントの来場者というのはどちらかというとエンドユーザーというか、コンピュータそのものについてはそれほど興味のない「コンシューマ」と呼ばれる人が多いので、せっかくの日本国内一般向け初お披露目(?)のWindows 2000も、あまり注目を受けていなかったようです。個人的にはなんて間の悪いプロモーションなんだろうなあと思います。というかお金の無駄遣いですね。
さて、iBook。凄い注目度ですね。デモ機が8台ぐらい置いてあって、AirPortでインターネットに無線で繋がっていてネットサーフィンとかができたらしいのですが、全部で50人ぐらいの待ち行列ができていたので、あまり時間が無かったこともあって諦めました。こういう悔しさが購買意欲に繋がっちゃうのが怖いですよね。
で、iBookになぜ人が群がるかというと、そこには「iBookに触りたい」という欲求があるわけなんですよね。そこにはたとえば「MacOS 8.6を使いたい」とかいう欲求はほとんどないんじゃないかと。というか載っているのは本当にMacOS 8.6なのかな??
つまるところ、iBookという、かなり欲しくなるデザインのコンピュータがあって、それはスマートにネットワークに接続できて、ネットサーフィンできたり、電子メールできたりするわけです。とても抽象的かつ具体的な使われ方で、バージョン番号とかそういうのはどうでもいい世界がそこに広がっているわけです。もちろん、その裏側には当然Mac OSという洗練されたユーザーインターフェイスを持つOSがあるわけなんですけれども、大多数のユーザーにとってはそんなことはどうでもいいということなんですよね。
iBookに群がる人々を見て、「目的が達成できればOSなんてなんでもいい」という世界が確実に来つつあるなあと思いました。最近の例で私がよく引き合いに出すのは「ポケットボード」だったり「iモード」だったりするわけです。これらは技術的にはコンピュータ技術なわけですが、そこには「コンピュータリテラシー」は存在しないで単純な「コミュニケーションリテラシー」しかないわけです(本来的なコミュニケーションが取れているかどうかというのはまた別の議論ですが)。
これを実現するには作り手側の努力が必要なわけですが、そこで作り手の要求に応えることのできない技術はいずれ淘汰されていくのでしょうね。今のLinuxがしきりと組み込み系といった面で意識されているのも、そういう動きを見越してのことかもしれませんね。私がLinuxの方向性の正しさを感じる部分でもあるわけです。
さて、会場で一番私が欲しくなったのはG4+シネマディスプレーでした。これは一見の価値ありです。話を聞いたら、LinuxPPCはディスプレードライバの関係でうまく動かないんじゃないかということを言っていましたが、動くようになったら……。
しかし、日本円で80万円近いセット価格は久々に「借金トッシュ」という言葉を復活させるかもしれませんね。