ネットワーク機器の設定や管理を行なうプロトコルとしてはSNMPがよく知られているが、バイナリベースのため拡張性が乏しいという弱点がある。これを解消するのが、XMLベースの新プロトコル「NETCONF」である。
SNMPを置き換えるXMLプロトコル「NETCONF」
NETCONFは、HTTPやSOAPを用いたXMLベースのネットワーク管理用のプロトコルだ。XMLのテキストベースであるため軽量であり、Webサービスとも親和性が高い。独自のSNMPクライアント/サーバを使わなくとも、Webブラウザからネットワーク管理を行なえるようになる。
日本では、ルータ・スイッチベンダーのアラクサラネットワークスがNETCONFに積極的に取り組んでおり、同社のスイッチやルータにいち早く実装。また、OAN(Open Autonomic Networking)という取り組みにより、APIと開発キットを提供している。これにより、サードパーティからもアラクサラ製品のVLANやポート、フィルタの設定や機器の構成情報の収集できるようにしている。もちろん同社もNETCONFをベースにした設定管理ツール「AX-Config-Master」を提供しており、設定や動作の「見える化」や運用の自動化などを可能にしている。

NETCONFによるネットワーク管理に対応したアラクサラの「AX3630S」
こうした同社のNETCONFの実装は、昨年末にRFCとして策定された。現在はJavaによるSOAPでの実装を有用なRFC(Informational RFC)として提供する予定になっているという。また、SNMPで管理するデータを定義する「MIB(Management Information Base)」をベースにした策定がより進む予定。海外ではジュニパーとエリクソンが中心になって積極的に取り組んでいるので、将来的には相互運用できる可能性もあるという。
「すでにSDKも数十社・団体で使ってもらって、対応のツールもあります。今後はOANをベースに開発していただいている方々同士の交流を深めていく予定です」(製品開発本部 先端技術企画部 技師 飯島智之氏)ということだ。
小回りの効く運用管理ツールも提供
また、同社はAX-Config-Masterのほか、2008 年12月に「AX Networker's Utility」というツール集を発売開始した。これはAX-Cofig-Masterでは大きすぎる、もっと小回りの効くツールがほしいという顧客の声を活かしたもの。社内では「小ネタツール」と呼ばれているものだという。コンフィグを定期的に収集する「コンフィグ収集」、ソフトウェアを自動的に更新する「ソフトウェア更新」、レイヤ2でのループを検出する「L2ループ監視」という単機能に絞ったツールが提供される。
「弊社のボックス型製品が入っているような会社では、統合型のAX-Config-Masterが入っているところが少ないんです。ですから、現地の作業員が手軽に作業できるようなツールを目指しました」(製品開発本部 先端技術企画部 GL 主任技師 樋口秀光氏)というものだ。AX-Config-Masterはネットワーク構成を描いて把握できるというかなり本格的なツールだが、細かい保守作業には向かないので、AX Networker's Utilityで補うという。
現状では、前述の通りVLANやポート構成、フィルタなどのAPIを公開しているが、2008年は認証系のAPIを拡充した。こうしたAPIを組み合わせることで、ネットワーク機器もプログラマブルなデバイスとして扱うことができるため、より運用管理の自動化が推進できる。
