ミニ鍵盤のタッチが劇的に改善された理由
── 鍵盤のタッチが目茶苦茶にいいですよね。現状のミニ鍵盤の中では最高じゃないですか?
金森 いいですよね。
坂巻 絶対にいいです! 実際、鍵盤の開発に一番時間がかかっているんですよ。
── スコっと落ちる感じは今までにない感触です。何をどうするとこんなタッチになるんですか?
坂巻 通常のミニ鍵盤は支点までの距離が短いんですが、これはもう少し奥にある。それが押し心地には効くんです。
金森 何回も作り直しましたよね。黒鍵と白鍵の堅さを揃えたり、鍵盤の奥と手前の重さのバランスを取ったり。
坂巻 黒鍵と白鍵では違う構造になっているので、バランスさせる必要があるんですね
── 今回はどうしてここまでこだわったんですか?
坂巻 microKORGをピアノの上に置いて、ステージで弾いてくださるミュージシャンがいらっしゃったんですよ。ミニ鍵盤でもあんな風に弾くのか。だったらメーカーとしては良くする義務があるんじゃないかと。
── ミニ鍵盤ということで、本格的な演奏に使われることは想定していなかったと。
坂巻 これは鍵盤が上手じゃない人も同じだと思うんですが、タッチが良いと音も良く聴こえる。つまり鍵盤を良くすると製品の価値が上がる。だからミニ鍵でも、演奏感を大切にした開発をしようと。そういう社内的なコンセンサスが取れて、その思いで皆やってきたんです。
Denkitribe おおっ。いい話が出ましたよ。他のメーカーさんにも聞いてほしい(笑)。
── これだけキーボードがいいと、セッションに使われる場面も多いでしょうね。
坂巻 ルックスがバンド向きだと思うんですよ。レトロな感じで。今までキーボードをやっていなかったギタリストやベーシストにも、ぜひバンドの中で使ってほしいなと思いますね。
Denkitribe ギターより軽いですからね。バンドの中で一番軽い楽器がキーボードというのはすごい。
Baker 僕なんか学生時代は重くて大きいTRINITY(コルグのミュージックワークステーション。1995年発売)を持って自転車で走っていたのに……。