ユーザーインターフェースは妥協していないか?
操作性に関わる入力関係を見てみる。IdeaPad S10eの日本語キーボードは、レノボによるとノート用フルファンクションキーボードの85%の面積を確保したものだという。キーピッチは最長部分で約17mmで、キーストロークは約2mm。配列はThinkPadシリーズのそれを踏襲したものとなっており、右側の記号キーなどがやや小さい。
さすがにThinkPadの縦7列キーボードではなく、上部のファンクションキーを重複させた6列仕様ではあるが。他社のNetbookでは、キー配置に戸惑うこともあったのだが、ThinkPadに慣れていたためか自然な指運びでキーを押すことができた。キーボード底面には剛性が感じられ、強くキーを叩いても入力感がある。
ポインティングデバイスは、ThinkPad特有の赤いトラックポイントではなくタッチパッドだ。初期状態ではパッド右端部分(青線)がホイールとして機能する。
かなり高感度の静電センサーを使っているようで、触れる程度でも快適に操作できた。タッチパッドはNetbookで手を抜かれやすいためか、チープな部品が使われているものも多く、強くこすりつけないとカーソルが反応しないこともあった。IdeaPad S10eではそのようなことはなかった。
欲を言うなら、漢字キーを下げてファンクションキーのF4~F5間にスキマを開けるとか、矢印キーを下げるなどの工夫もほしい。IdeaPadブランド+低価格志向のNetbookでは、本機種だけに特別仕様を持たせるのは困難か。
入力の次は出力。液晶ディスプレーは光沢パネルとLEDバックライトを採用しており、視認性および発色は良好だ。斜めから見ても明度や色合いが保たれており、手を抜いていないことが見てとれる。表示解像度は10型ワイド液晶クラスで一般的な1024×600ドット表示ではなく、国内向けのS10eはアスペクト比16:9の1024×576ドット。ちなみに本海外モデルであるS10では1024×600ドットだ。この24ライン分の不足は意外と響くようで、800×600ドット表示を前提に作成されたアプリケーションの下側が表示できないといった実害もある。例えばカーソル移動で画面全体をスクロールするなど、ソフト面でのサポートがほしいところだ。
本体前面にステレオスピーカーを内蔵する。サイズゆえに低音が出ないのは仕方がないのだが、悲観するような音質ではなく実用に耐えるものだ。「Netbookにステレオスピーカーは必要なのか?」と疑問に思うが、ノートパソコン開発に妥協を許さないというLenovoの考え方なのだろう。
ユーザーサイドでのカスタマイズの可能性を残す
ハードウェア面での特徴としては、本体右側面にExpress Cardスロットを装備するなど一定の拡張性を確保していることがあげられる。それ以外のIdeaPad S10eのメリットについて、もう一点触れておきたい。それは本体底面のカバーを開けると、内蔵HDDやメモリースロットに容易にアクセスできることだ。
小型/低コストが売りのNetbookでは、ユーザーの手によるパーツ交換やメモリー増設などは行なわないものとして、メンテナンス性を割愛し、また強度の関係からモノコック成型で筐体を設計するため、内部アクセスが困難なものが多い。しかしIdeaPad S10eでは本体底面に比較的容易に開閉できるカバーがあり、そこを開けるとHDDやメモリモジュールが見える。HDD/メモリーモジュールとも一般的なものを使っているので、ユーザーによるSSDへの換装なども容易だろう。
バッテリーの駆動時間は、JEITA測定法で約5.3時間。今回、特に連続駆動試験はしていないが、バッテリの残り容量が50%の時点で、3時間以上の残り時間と表示されていた(出荷時設定にて)。設定次第では、6時間以上持たせるのも難しくないだろう。
