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ゆる~いネットワークで広が「みんなの経済新聞」

足で稼いだ“街ネタ”でウェブ2.0なんてどこ吹く風

2008年01月15日 20時55分更新

文● 中西祥智(編集部)

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月刊アスキー 2008年2月号掲載記事

みんなの経済新聞ネットワーク

ヤフーニュースで面白い地域情報を見つけたとき、提供元が“○○経済新聞”となっていることが多い。

シブヤ経済新聞

「シブヤ経済新聞」。ファッションでも若者文化でもなく、ビジネスという視点で見た渋谷を伝えるメディア。身近な“街ネタ”の宝庫だ。

シブヤ経済新聞

流行りのマッシュアップでも、CGMでもなく、足で稼いだコンテンツで好評を博しているのが、「シブヤ経済新聞」をはじめとするニュースサイト「みんなの経済新聞ネットワーク」(みん経)だ。国内と海外合わせて36の“○○経済新聞”が、地域の情報をネットで全国に発信する。

面白いことに、この36サイトの運営会社はほぼすべて異なる。みん経は、2000年に花形商品研究所がシブヤ経済新聞(シブ経)をスタートしたのが発端だった。

その後各地に広がったわけだが、花形商品研究所は本部として、サーバやサイト制作システムといったプラットフォームをほぼ一手に手がけるが、各社へコマンドを出す司令塔ではない。36紙30社が並列に、緩やかなネットワークを組む不思議な構造になっている。

このような構造になっているのは、シブ経のいわば“ファン”だった人々が、シブ経に習って地元の○○経済新聞を立ち上げるかたちで拡大してきたからだ。

サイト広告が主な収益源だが、シブ経を始めた花形商品研究所の西 樹代表取締役によると、広告による収益は「実費の一部が回収できる程度」。参入各社は大きな利益を上げているわけではない。

西 樹氏

花形商品研究所代表取締役の西 樹氏。PR会社勤務を経て、'88年に同社を起業。シブ経を始めてからは日々街ネタを探し、「上を見て街を歩くようになった」。

西 樹氏

それでも参入する企業が相次ぐ理由は、もちろん地域への貢献という面も大きいが、「取材で縁を作っていく。僕らは結局、地域との縁を毎日作っている。長い目で見れば、それは必ずメリットになる」という西氏の想いに賛同する企業が多いからだ。

必要なコストも大きなものではない。シブ経も、2000年4月にスタートしてからしばらくは西氏が1人で渋谷を歩き、ネタを拾って記事を書いていた。現在でもシブ経の編集部には3名しかいない。テリトリーを限定することで、少人数でも情報を集められる。

みん経で取り上げたある地域の“街ネタ”が、ネットで全国的な話題になることも多い。「ウェブ2.0ではなく、人と会って、取材して、記事を書くウェットなところが面白い。小さくてもがんばっている企業を情報で、記事という形で応援していきたい」(西氏)。

※CGMとはConsumer Generated Mediaの略で、SNSやQ&Aコミュニティのように、ユーザー側の発信する情報によって内容が構成されるメディア、あるいはそのしくみのこと。YouTubeやWikipedia、ミクシィなどがCGMの代表例だが、以前からある掲示板なども、CGMの一種と言える。

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