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ASCII Power Review 第245回

さすがのライカクオリティーでした

フルサイズ6000万画素超えの最強ミラーレスカメラ「ライカSL3」実写レビュー

2024年04月04日 10時00分更新

文● 写真 岡田清孝 + 編集● ASCII PowerReview軍団

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 ライカがフルサイズミラーレスカメラ「ライカSL3」を発売した。撮像素子が前モデル「ライカSL2」の4730万画素から、レンジファインダーの「ライカM11」や高級コンパクトの「ライカQ3」と同様の6030万画素にアップされたのが最大の向上ポイントである。

 価格はボディーのみ110万円と庶民には高嶺の花だが、ライカから試用機を借りたので撮り心地をお伝えしていこう。

ボディのみ110万円だが品薄中。試用したレンズは「ズミクロンSL f2/50mm ASPH.」(30万8000円)と「ズミクロンSL f2/35mm ASPH.」(35万2000円)(すべて量販店価格)。

背面液晶やスイッチが変更され
操作性は向上している

 直線的なデザインは前モデルと同様で、フルサイズミラーレスとしては重厚な部類に入り、ズシリとした金属の高品位な質感にも変わりない。ただサイズはわずかだが小型化され、重量も約71g軽量化された。手にしてみると確かに少し軽くなったように感じる。

ボディーサイズは141.2×108×84.6mmで重量はボディーのみ769g。なお前モデルは146×107×83mmで840gだった。

 操作系には改良がみられ、まず上面左側にダイヤルが追加されている。初期設定ではISO感度割り当てられているが当然カスタマイズは可能で、露出モードごとに設定もできる。

左側にダイヤルが追加された上面。表示のないシンプルなデザインに美学を感じる。

撮影情報を確認できる上面の液晶パネル。

起動時に製品ロゴも表示される。

上面左右ダイヤルと背面サムホイールには絞り/シャッタースピード、露出補正にISO感度が割り当てられる。

 ファインダー部の横にはストロボのシンクロ接点が増設された。実用的に使いやすい位置かといわれれば微妙だが、見た目がカッコイイから良しとしよう。

ファインダー部の横に配置されたシンクロ接点。この位置を見てキヤノン「T90」を思い出すカメラマニアも多いはず。

 背面左上に配置されていた電源はスイッチからボタンに変更され、もちろん電源オン時には点灯する。ボタンを押してから起動するまでの時間はスイッチと遜色はないが、電源オフはボタン長押しになるので、この点はスイッチよりわずかだがタイムロスを感じる。

デジカメでは珍しいボタン式の電源。

充電時は緑に点滅するものカッコイイ。

 背面液晶はチルト式に変更され、これにともないボタン類も右側に移動した。前モデルのように左側に並んでいるとどうしても両手での操作になるので、右側に配置したのは理にかなっている。

 さらに前モデルでは一部のメニュー画面では非対応だったタッチ操作が、全ての画面で行えるようになっていた。これは嬉しい進化だ。

背面もボタン類が少ないシンプルな配置。

十字キーを兼ねるジョイステックの手触りは相変わらず心地いい。

背面液晶は「ライカQ3」と同様に可動式に変更。もしかして将来的にはM型にも採用されるか?

 EVFのスペックは変わらず576万ドットの高精細で滑らかな視認性。大きく丸型のファインダー接眼部も何故か覗きやすく感じる。

丸窓信者が喜びそうなファインダー接眼部。視度補正目盛も大きく調整しやすい。

 バッテリーはお馴染みのレバー&プッシュによる着脱式。公称撮影可能枚数は260枚とかなり控えめだが、実際に撮影した感覚からするとRAW+JPEGで200カット程度撮影しても残量表示は半分を切ったくらいで、それほどスタミナ不足とは思わなかった。

バッテリーはロックレバーを動かすと少し飛び出し、それを押してあげるとロックが外れ着脱できる。

 メディアはCFexpressTypeBとSD(UHS-Ⅱ対応)のデュアルスロットに変更された。高速性重視のカメラではないので静止画だけならSDでも事足りそうだが、動画は8K30Pでの撮影にも対応したので、より高速なCFexpressTypeBの採用は必然だったのだろう。フルサイズのHDMIやUSB Type-C(Gen1)など側面端子には変更は無い。

メディアはCFexpressTypeBとSD(UHS-Ⅱ対応)を採用。欲を言えばスロットカバーにロック機能が欲しいところ。

側面の端子。Type-Cだけ端子カバーが独立しているのが何気に便利。

6000万画素を超えても
画質はしっかりライカクオリティー

 画質は6030万画素と高解像度だけあって拡大してみても精細感が高い。絵作りもシャープネスは控えめなのに細部はしっかりと解像され、発色やコントラストも滑らかで階調が豊富に再現されている。おかげで何気ない写真でも不思議と印象的に感じてしまうのは、ライカならではの魔法だろうか。

f2/35mm・絞りF8・シャッタースピード1/400秒・ISO100。(以下作例はクリックすると100%表示されます)

f2/50mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/100秒・ISO200。

f2/35mm・絞りF2・シャッタースピード1/5000秒・ISO100。

f2/50mm・絞りF2・シャッタースピード1/1000秒・ISO100。

f2/50mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/80秒・ISO100。

f2/50mm・絞りF2・シャッタースピード1/1600秒・ISO100。

f2/50mm・絞りF2・シャッタースピード1/125秒・ISO1600。

f2/50mm・絞りF2・シャッタースピード1/500秒・ISO100。

f2/50mm・絞りF2・シャッタースピード1/200秒・ISO100。

 試用した「ズミクロンSL f2/50mm ASPH.」と「ズミクロンSL f2/35mm ASPH.」もライカ製レンズのなかでは廉価(なにせ上位レンズの「アポ・ズミクロン」になると75万円前後と倍以上の価格)だが、画質的には申し分なく画素数に負けない描写力がありそうだ。

 「ライカM11」や「ライカQ3」と同じくRAWでも3650万画素(7404x4928ドット)と1860万画素(5288x3518ドット)にサイズダウンして記録することができる「トリプルレゾリューション」機能も搭載している。

 ただ解像度を下げても階調や高感度などに画質的な違いは見いだせず、個人的にはデータ容量軽減の必要が無いなら設定ミスを防ぐためにもフルの解像度で撮影したほうがいいと思う。

 ISO感度はISO50から10万となっている。国産機のように常用感度と拡張感度の区別はないが、最低感度の50は微小ではあるがコントラストが高めで、高感度側では5万を超えると画質低下が顕著なことから、実質的な常用感度は100~2万5000といったところだ。

 初期のノイズ処理は弱に設定され、解像感を重視する姿勢はライカらしい。実際ISO6400まではノイズは気にならず、1万2500からはザラつく感はあるが、解像が保持されているので、十分実用的な画質だ。

感度別に撮影した写真の一部を拡大して比較。左上からISO3200・6400・1万2500・2万5000・5万・10万。ノイズ処理弱。

ISO12500で撮影。f2/50mm・絞りF2・シャッタースピード1/50秒・ノイズ処理弱。

ISO25000で撮影。f2/35mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/60秒・ノイズ処理弱。

ISO50000で撮影。f2/35mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/100秒・ノイズ処理弱。

ISO100000で撮影。f2/35mm・絞りF5.6・シャッタースピード1/80秒・ノイズ処理弱。

ボディーデザインと写真クオリティーに
ライカのこだわりを強く感じる逸品だ

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