Jolla(ヨラ)はスマートフォンOS「Sailfish OS」を手掛ける企業。元をたどればノキアからスピンアウトした企業です。同OSはXperiaなどのAndroid OS端末向けのパッケージも提供していますが、Jolla自らもスマートフォンを手掛けていました。スマートフォンOSの第三勢力でもあるJollaの歴史を振り返ります。
ノキアとインテルが生み出したOSを引き継ぐ
Jollaは2011年にフィンランドで生まれた企業です。Jollaの設立はノキアでMeeGoプロジェクトを手掛けていたスタッフたちによるものでした。Jollaが手掛けるスマートフォンOS「Sailfish OS」も、元をたどればノキアが開発していたものです。
ノキアは2005年にインターネットタブレット「Nokia 770」を発売します。携帯電話回線は内蔵せずWi-Fiのみを搭載し、4.13型の大型ディスプレーを搭載。スタイラスペンによるタッチ操作が可能で、Linuxベースのモバイルデバイス向けの次世代OS「Internet Tablet OS」を搭載しました。当時ノキアがスマートフォンに採用していた「Symbian OS」を将来は置き換えるものとして開発されたのでしょう。このOSはその後「Maemo」と名を改められ、2009年には携帯電話回線を内蔵するスマートフォンとして「N900」が発表されます。iPhoneとAndroidデバイスが次々と登場する中、Maemo は当時スマートフォンシェアNo.1のノキアが反撃できる端末になるはずでした。
2010年2月にはインテルがモバイル向けに開発していた「Mobilin」とノキアのMaemoの統合が発表され、新たに「MeeGo」となりました。ノキア・インテル連合のMeeGoでアップル、グーグルへの対決を明確なものとしたのです。特にスマートフォンへの本格的な参入をうかがっていたPCメーカーにとっても、MeeGoは救世主になるはずでした。
ところが翌2011年2月にノキアはマイクロソフトとの提携を電撃的に発表。スマートフォンOSをSymbianから「Windows Phone」へ移行することを決定します。これによりMeeGoのプロジェクトは結果を出す前に終了してしまいました。
お詫びと訂正:記事初出時、記載の一部に誤りがありました。訂正してお詫びします。(2018年8月15日)
この連載の記事
- 第129回 マイクロソフトと喧嘩別れか イギリスのスマホメーカー・Sendoの歴史
- 第128回 韓国スマホ市場でたった2年だけ圧倒的な人気を博した「LUNA」
- 第127回 ウォークマンと肩を並べた音楽プレーヤーIriverはかつてスマホも作っていた
- 第126回 実は日本ブランド・パイオニアのスマホが中国で脚光を浴びていた
- 第125回 LGのスマホ事業はどうなる? 5G対応モデルでライバルたちを追い抜けるか
- 第124回 ポルトガルの特産品コルクを使ったぬくもりあふれるスマートフォン・IKI Mobile
- 第123回 世界初の折れ曲がるスマホ「FlexPai」はこうして生まれた
- 第122回 カメラ機能無しスマホで地位を確立したシンガポール・iNO mobile
- 第121回 世界最強の強度を誇るスマホは中国で生まれた BlackViewの一貫した製品展開
- 第120回 表も裏側もスマートフォン 両面端末に夢を託したメーカー・Siswoo
- この連載の一覧へ