NECといえば日本を代表する携帯電話メーカー。ドコモを中心に「N」の型番の製品を多数送り出してきました。スマートフォンも2画面端末などアグレッシブな攻めを見せましたが、2013年を最後に撤退してしまっています。前回の記事に引き続き、NECのスマートフォンの歴史を振り返ります。
3キャリアを制覇、ワンピースモデルで話題をさらう
2012年はスマートフォン事業をさらに拡大するため、様々な製品を送り出していきます。1月にはソフトバンクにMEDIAS CH「SoftBank 101N」を投入し、ドコモ、KDDIに続き日本の3キャリア全てに端末を納入することになりました。2月にはドコモのLTEサービス「Xi」に対応するMEDIAS LTE「N-04D」を発売。新機種ごとに機能を次々と追加していき、時代の流れにしっかりと乗った製品を市場に投入していきます。参入からわずか1年でNECのスマートフォンはしっかりと日本の消費者の間で知られる存在になっていったのです。
とはいえスマートフォン市場参入の出遅れは深刻で、NECカシオモバイルコミュニケーションズは2月に全従業員の1/4にあたる約500人の人員削減を発表します。またスマートフォンは外部に製造委託し、自社工場では従来型のフィーチャーフォンのみを生産することも検討していると発表。海外大手メーカーですらiPhoneの前に苦戦を強いられている状況を考えると、NECの事業継続も先行きは不透明だったのです。
それでも日本独自機能には素早く対応し、2012年4月にサービスが始まったスマートフォン向けモバイル放送のNOTTV搭載機も6月/7月にMEDIAS X「N-06E」/MEDIAS X「N-07D」を発売しています。また、この2機種に先駆け3月にはタブレットのMEDIAS TAB「N-06D」にもNOTTVチューナーが搭載されました。しかし、NOTTVは開始から4年弱でサービスを終了しています。日本独自の機能に対応しなくてはならなかったことが、結果として日本のスマートフォンメーカー全体の体力を消耗させてしまったと言わざるを得ないかもしれません。
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