ジャーナリストの松村太郎さんによる人気連載「西海岸から見る"it"トレンド」。記念すべき第200回は「itトレンド」のなれの果てとしての「スマホを握りしめて身構える」姿は滑稽か?という記事でした。
アメリカで暮らす松村さんは、ヘリコプターが近所の空を飛んだら、「まずTwitterを開いて、それが交通事故なのか、カーチェイスなのか、強盗なのか、銃撃事件なのか、デモなのか、テロなのかを確認する」癖がついたといいます。
「どこに近づいてはならないのか」をまず把握し、家族や、必要であれば隣人にシェアして注意を促す。日本ではちょっと考えにくいかもしれませんが、テロ事件もある(日本はまったくない、というわけではないものの)、銃社会でもあるアメリカにおいては、危機から身を守る情報源として、スマートフォンが役に立つわけです。
スマホは自分の身を守る情報を与えてくれるアイテムではあるものの、一方でフェイクニュースに代表されるような、「ウソの情報」「デマ」を拡散するのに向いてしまうツールでもあります。
実際、TwitterやFacebookなどを眺めていると、「本当かな?」と思うような投稿が散見されますし、それらは実のところ、やはり間違った情報だったりするものです。誰しもが発信者になり、怒りや驚きなどの感情を気軽にシェアできるようになったことの弊害ともいえるかもしれません。
テレビやラジオ、新聞などと違い、公開前にチェックする人がいない。「なんだって!」と感情の赴くままに情報を拡散できるのですが、その間に冷静になって真偽をチェックする余裕がなかなか生まれにくい。
リスクを少なくするために、スマホを利用する際に何が必要なのか。単に情報を受け取るだけでなく、SNSなどで情報を広める側のリテラシーも問われる時代である……と、えらそうに言うことは簡単です。しかし、この事実はメディアにいる人間だからこそ(筆者もそうですね)、深く肝に銘じなければなりません。
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