以前この連載で、松屋が事前メニューQRコード発行システム「松券セレクト」を全国の松屋(一部店舗のぞく)にて開始したことに触れました。
パソコンやスマートフォンから松屋のメニューを来店前に選んでQRコードを発行し、来店した際に店舗の券売機でQRコードを読み取らせることで、オーダーが完了するというもの。持ち帰りのメニューにも対応。
会計は店舗で、現金または交通系電子マネーにて支払います。なお、QRコードを発行しただけでは店舗にオーダーは入らないほか、QRコード発行後から24時間を過ぎると無効となります。
お昼時など、券売機の前で迷っていると、後ろに並んでいる人の視線が気になることもありますから、これは便利……と書きましたが、そもそも、なぜ松券セレクトが導入されたのか?
邪推になりますが、タッチパネル式の券売機が使いづらいという声があったのではないでしょうか。筆者としてもかなり不満があります。以前はボタン式の券売機でしたが、タッチパネル式のものを導入した。これが、率直に言ってしまうと、使いづらい。
しかし、これは松屋だけが悪いのかというと、そういうわけでもないと思うのですね。そもそも、メニューが多いファーストフード店と、タッチパネル式のUIの相性が悪いのではいないかと。
肝心なのはタッチパネルそのものが悪いのではないことです。触ったときの反応が悪いのであれば「タッチパネルがダメ」といえるのですが、そういうことではない。問題はUIにあります。
たとえば松屋の券売機はメニューが多いために、券売機の画面ではタブ分けがしてあるわけです。「プレミアム牛めし」とか「カレー」とか「サイドメニュー」とか。
問題はこの「タブから選ぶ」方式によって、どうしても注文に時間がかかってしまうことです。たとえば松屋は6月6日から「ごろごろ煮込みチキンカレー」(愛しています)を提供していました。このメニューを注文するとして、「カレー」タブにあると思うでしょう。ところが、ない。どこにあるかというと、新発売のメニューなので「期間限定メニュー」タブにあったりするんですよ。
それはそうかもしれませんが、「期間限定メニュー」タブだけでなく、「カレー」タブから選べるようにしてもいいのではないか。いずれにしても、「まずタブを選んで、そこからメニューを……あ、ない。別タブか」。これでタイムロスが生じてしまう。
タブの話でいえば、松屋の看板メニュー「牛めし」(もしくは「プレミアム牛めし」)と「丼」のタブが分かれているのも、ちょっと困ったなと。一応説明すると、前者は牛めしシリーズを、後者は「ビビン丼」「キムカル丼」などを注文するためのタブなのですが、たとえば「キムカル丼はどちらなのだろう」と迷うことがある。キムチを乗せた牛肉の丼ですから……。
この「お目当てのメニューがどこにあるのか」がパッとわかりにくいのは、多くのタッチパネル式券売機で直面する問題です。ボタン式の券売機にあった一覧性がなくなってしまった。
この連載の記事
- 第360回 日清がカップヌードルのアレを「謎肉」と自ら言い出した理由
- 第359回 格安SIMの速度に安定を求めるのは間違っているだろうか
- 第358回 (PRODUCT)REDが出た、iPhone SE2はどうなった?
- 第357回 4月からの格安SIMはUQ mobileとY!mobileが強い?
- 第356回 スタバのフラペチーノを「しゃらくさい」と思ってしまった
- 第355回 松屋「ごろごろ煮込みチキンカレー」という魔術的リアリズム
- 第354回 横浜スタジアムにドローンが飛んだ日
- 第353回 お金がないのに高級コンデジ買いました
- 第352回 バルミューダのトースターはジブリ好きな人にオススメかも
- 第351回 確定申告で考える「締切を守らない問題」
- この連載の一覧へ