「単なる契約の電子化」から「契約データの利活用」へ 新社長が語るビジネス戦略
契約管理プラットフォーマーとして“第2フェーズ”を加速させるドキュサイン レビューAIやAIエージェントを投入
2026年09月14日 07時30分更新
電子署名ソリューションからビジネスをスタートし、コロナ禍で急成長したドキュサイン(Docusign)。現在は製品群を拡充し、AIを搭載した契約管理プラットフォームを軸に“第2フェーズ”を迎えている。
ドキュサイン・ジャパンは、2026年9月8日、事業戦略説明会を開催。同年6月に取締役社長へ就任した吉田浩生氏は、「プラットフォームベンダーとなり、新たなカテゴリを確立していく」と強調。加えて、同基盤で提供予定の3つのAI機能についても披露した。
契約プロセス全体をカバーする「Docusign IAM」は既に4万社が導入
吉田氏は冒頭、「契約」はあらゆるビジネスの基盤である一方、リードタイムの遅れや重要事項の見落としなどが企業価値の損失に直結すると指摘。こうした問題の背景には、企業に根付く「分断」があるという。
この分断とは、部門最適の結果生じた「プロセスのサイロ化」や「連携しない無数のツール」、そして「活用されない契約データ」を指す。「電子化を達成した企業も、紙をなくしただけで、データ利活用が可能な“デジタル化”にまで至っていない」(吉田氏)
こうした課題に対して、ドキュサインが2024年より展開しているのが、AIを活用した契約管理プラットフォーム「Docusign IAM」だ。
元々、eSignature(電子署名)で存在感を示していたドキュサインだが、企業のニーズに応えながら製品の拡充を進め、1100以上の業務ツールと接続するエコシステムを整備。そして、契約の「準備」からレビューや承認、電子署名による「締結」、その後の「データ活用」まで、契約プロセス全体を支援するプラットフォームを提供するに至っている。
このDocusign IAMは、既にグローバルで4万社以上に導入され、年間売上に占める割合も15%を超えている。吉田氏は、「特に日本市場は、グローバルと比べても導入が進んでいる」と語る。
契約業務に特化したAI機能を拡充 契約データ活用を促すMCPサーバーも
こうした基盤に、独自のAIエンジン「Docusign Iris」が搭載されている点もDocusign IAMの特徴だ。Irisは、多種多様な契約データの学習によって高い専門性を備え、契約プロセスの各フェーズを支援。かつガバナンス遵守と生産性向上を両立する設計となっている。
今回、このIrisをベースとした契約業務を支援するAI機能として「Docusign AIアシストレビュー(AI-Assisted Review)」と「Docusign AIエージェント(Docusign Agents)」、さらに普段利用するAIツールと契約情報をつなぐ「Docusign MCPサーバー」の3つの新機能を発表した。
これらの新機能の位置付けについて、ソリューション・コンサルティング 執行役員の細田博氏は、「失敗が許されない契約関連の専門業務は、ドキュサイン内で高度にチューニングされたIrisで自動化。一方で、一般社員が日常業務をこなす中で、ドキュサインを開いて情報を取得する手間をなくす仕組みをMCPサーバーで提供する」と説明する。
まず、Docusign AIアシストレビューは、時間と専門性を要する契約レビュー業務をサポートするチャット型アシスタントである。契約書のリスクや注意すべきポイントをAIが検出して、修正案まで提示してくれる。ただし、最終判断はあくまで人が行う設計になっているのがポイントだ。
レビューは、あらかじめ設定したプレイブックに沿って実行される。本機能は、既に国内企業数社でパイロット利用が進んでおり、2026年内に国内での一般提供を開始する予定だ。
一方、Docusign AIエージェントは、契約ワークフローを自動実行するエージェント機能だ。契約内容の確認、条件の照合や承認依頼といった契約業務の各ステップを、あらかじめ設定したルールに基づき複数のエージェントが実行する。本機能は、2026年度内(2027年3月まで)の国内一般提供開始が予定されている。
公式のMCPサーバーも2026年内に提供開始予定だ。業務で利用するAIツールに「送付中の署名依頼は返っているか」「半年以内に終了する契約があるか」と確認したり、「契約書の期間を更新して取引先にメール送付して」と依頼したりできる、外部のAIとドキュサイン上の契約データを安全につなぐ仕組みを提供する。現時点で対応予定のプラットフォームは、Anthropic Claude Desktop、GitHub Copilot、Google Gemini CLI、Microsoft Copilot Studio、Slackbotとなっている。
細田氏は、「これらのAI機能が契約ライフサイクルの中でつながることで、蓄積するだけだった契約情報を業務やビジネスの判断に活用できるようになる」と強調した。
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