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年間8000万円の“見えないコスト”の排除を目指し、グループ全社のガバナンスを強化へ

乱立する文書管理をBoxに統合へ、オークネットは基盤整備で「AIをビジネスの武器にする」

2026年09月24日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

提供: Box Japan

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経営層を説得する鍵は、年間8000万円の“見えないコスト”!?

 これら3つの課題を解消するために、オークネットでは、ファイルサーバーからクラウドストレージへの移行と、個別に使われていたクラウドサービスの統合を進めることになった。坪田氏は「セキュリティ、見えないコスト、AI活用阻害という3つの課題が、同じタイミングで出そろったことで、クラウド統合の機運が高まりました」と振り返る。

 移行先のクラウドとしては、当初からBoxが最有力候補だったという。共有先や目的に応じてきめ細かなアクセス権が設定できること、中央集権型でガバナンスを効かせつつセルフサービス型で柔軟に利用でき運用効率が良いこと、脅威検知や監査/ログ機能が充実していること、サードパーティ製の関連ツールも充実していることなどがその理由だ。

 Boxではなく、これまで利用してきたGoogleドライブを活用するという選択肢も検討された。だが、セキュリティやガバナンスの機能を詳しく評価すると、「Boxのほうが、われわれのやりたいことをきちんと実現できると判断しました」と坪田氏は説明する。

 一方で段氏は、今後のAI活用やデータ活用を考えると、さまざまなクラウドサービスと連携できる“中立的な存在”であることが大切であり、そこでもBoxの優位性があったと話す。

 「もしも(GoogleのAIである)Geminiしか使わないのであれば、Geminiと親和性の高いGoogleドライブを選んだかもしれません。ですが、ご存じのとおりAIの世界は変化が激しく、われわれも将来的にどんなAIサービスを使うかは分かりません。そこでBoxを中心に置き、AIサービスのほうは進化に合わせて切り替えていこうと考えました」(段氏)

 もっとも、Boxの導入を経営層に上申するうえでは課題も残っていた。コストの高さだ。オークネットの場合、年間で数千万円のランニングコストがかかることになる。坪田氏も「一番のハードルは、やはりコスト面でした」と率直に語る。

 そこで坪田氏は、経営層への稟議上申にあたって、Boxの導入で前述した3つの課題や年間8000万円の“見えないコスト”が解消できること、既存のクラウドサービスを統廃合してコストを抑制できることなどを訴えた。

 「多額のコストをかけてでもBoxを導入すべき理由として、『セキュリティとAI』という答えが明解に出せたことで、コストというハードルを突破する意味づけができました」(坪田氏)

Boxに期待するものは「マスターストレージ」としての安心感

 オークネットでは、2026年1月にクラウド移行の検討を開始し、5月に現場部門メンバーも含めたBoxのPOCを実施、6月に経営層の承認を得た。今後は、社外へのファイル共有環境の移行、ファイルサーバーの移行と、段階的にBoxへの切り替えを進めていく。最終的には、2027年春をめどにBoxへの移行/統合を完了し、ファイルサーバーなどの旧環境を廃止する予定である。

 そして将来的には、Boxを中心に据えたAI活用を展開していく方針だ。

 「もっとも、社内のITリテラシーはまだまだ高めていく必要があるので、今年はBox導入と並行して、レベルアップのための社内勉強会を開催したり、業務現場での日常的な利用を促したりと、利用促進の取り組みを行っています。社員がAIを“自分の武器”として当たり前に使える、そんな会社にしていきたいですね」(坪田氏)

 こうした活用促進と並行して、法務部では安全なAI活用を促すルール整備を進めていると、吹田氏は説明した。

* * *

 最後に、今後のBoxに期待するのはどんなことかを、それぞれに尋ねてみた。

 「これからBoxは、オークネットグループのすべてが集約される『マスターストレージ』になります。まずは、サービスの可用性やセキュリティの維持向上と、さまざまなサービスとのコネクティビティ(接続性)の向上を期待しています」(坪田氏)

 「さまざまな機能が増えても、その根本にあるストレージとしての役割をきちんと果たし、そこに磨きをかけていく。そんな“変わらない”姿勢を期待します」(段氏)

 「海外拠点の重要情報、個人情報を扱うことになり、各国での監査にも対応しなければなりません。各国の規制やルールも変化していくでしょうから、それにも耐えうる環境を維持できるよう、ぜひ情報交換をさせていただけるとありがたいです」(吹田氏)

 40年以上にわたり、先進テクノロジーを取り入れながら挑戦を続けてきたオークネット。Boxという強力なパートナーとともに、いま、AI時代のさらなる飛躍に向けた基盤づくりに乗り出していくところだ。

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