米AMDは2026年7月23日、年次イベント「Advancing AI 2026」を開催し、自律型AI(エージェンティックAI)およびフィジカルAIの本格的な普及を見据えた包括的なAI計算プラットフォームを発表した。
AIの活用が大規模モデルの学習から高度な推論や自律型エージェントの運用へと移る中、同社はデータセンターからクライアントPC、エッジ、組込み分野に至るまで、全方位での計算基盤を強化する戦略を明確にした。
次世代ラックスケールAI基盤「AMD Helios」と次世代シリコンの投入
発表の核となるのが、同社初となるオープンラックスケールAIプラットフォーム「AMD Helios」だ。すでに生産段階に入っており、主要なAI企業によってギガワット規模での導入が進められている。
本ソリューションは、72基のAMD Instinct™ MI455X GPUと18基の第6世代 AMD EPYC™ CPUを統合した高度な設計を誇り、競合システムと比較して1ドルあたり最大30%多くの推論トークンを生成できる優れた投資対効果を実現した。
さらに同社は、年間アクセラレータロードマップに沿った開発を継続し、次世代のAMD Instinct™ MI400 シリーズ GPUおよび第6世代 AMD EPYC™ CPUを新たに発表することで、計算性能のさらなる飛躍を約束している。
統合ソフトウェア環境「ROCm.ai」とクライアントAIの拡張
ハードウェアの進化を支えるソフトウェア面では、新しく「ROCm.ai」が披露された。ROCm.aiは、AMDプラットフォーム全体における開発者の体験を統一するAIネイティブなソフトウェア環境だ。AIによるコード生成支援やインテリジェントなデプロイ、ソフトウェア全体の自動最適化機能を統合し、開発者がアイデア(インテント)から本番環境へ迅速に移行できるよう設計されている。
また、クライアントAI領域ではRyzen AIポートフォリオを拡充するとともに、Ciscoとの大規模なパートナーシップを発表した。AIを活用したエンタープライズ向けコラボレーションデバイスおよびスマートワークプレイスソリューションの実現に向け、強固な協業体制を築く考えだ。
エッジ・ロボティクスを加速する「フィジカルAI」への展開
現場で動作するリアルワールドAI(フィジカルAI)に向けたアプローチも大きく前進した。エッジ・産業機器向けとして「Ryzen™ AI Embedded X100 シリーズ」プロセッサを投入するほか、新しい「Kria™ AI SOM」および「ロボティクス ディベロッパー プラットフォーム」を発表した。これにより、自律走行ロボットや高度な産業用自動化機器の開発が加速する見込みだ。
主要ハイテク企業による採用実績
今回のイベントでは、世界のハイテク大手によるAMDテクノロジーの採用も相次いで明かされ、同社のエンドツーエンドAIポートフォリオの価値が改めて裏付けられた。
AnthropicはAMD Heliosをベースに最大2ギガワット規模のGPUを導入し、同社のAIモデルClaudeを活用したROCmのソフトウェア開発最適化でも長期提携を結んだ。
OpenAIはTritonとROCmを組み合わせ、GPTクラスのモデルをAMD Helios上で最適化して2026年第4四半期からの稼働開始を目指す。さらにMetaやAT&T、Cerebrasといった企業もAMDの技術を採用し、データセンターインフラの共同設計や超低遅延推論基盤の構築を推進している。
AMDはこれらの需要急増を背景に、2030年までに同社の獲得可能な最大市場規模(TAM)が約2兆ドルに達すると予測しており、今回発表されたプロダクト群はパートナー企業を通じて順次展開されていく見通しだ。
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