後編は「GR Ⅳ HDF」「GR Ⅳ Monochrome」です
おカメラ好きは絶対買いたいコンパクトカメラ=「GR Ⅳ」三兄弟・徹底実写レビュー<後編>=「GR Ⅳ HDF」「GR Ⅳ Monochrome」
2026年07月17日 00時02分更新
リコー「GR」シリーズ最新モデル「GR Ⅳ」の基本的な機能や画質を紹介した前編に続き、今回は実際に撮影していて感じた印象と、派生モデルの「GR Ⅳ HDF」と「GR Ⅳ Monochrome」についてお伝えしていこう。
まずはノーマルモデル「GR Ⅳ」の作例を見ていこう。
コンパクトなので気軽に持ち歩け、気になる景色に出会ったらすぐに撮影できる。絞りF4.5・シャッタースピード1/800秒・ISO100。以下の画質設定は共通。イメージコントロール スタンダート・ダイナミックレンジオート・ホワイトバランスオート・JPEG L。
(作例はすべてクリックで拡大表示になります)
オートエリアAFでも画面タッチで即座に測距点を移動できるので、自販機から覗く人形にピントを合わせ撮影。画面ダブルタップで測距点を中央に戻せるのも便利。絞りF2.8・シャッタースピード1/50秒・ISO100。
スナップを得意とするカメラだけあって撮ってみて最初に感心するのが起動の素早さだ。公称では前モデルの約0.8秒(これでも十分素早い)から約0.6秒に短縮され、電源ボタンを押すと即座にレンズが繰り出し撮影可能状態になるのは快適だった。
AFも高速化されたとアナウンスされている。新開発のレンズでも画質重視なぶんAF速度では不利になる全群繰り出し方式を採用しているが、それでも光量のあるシーンではテキパキと合焦し、近距離から遠距離へのピント移動も申し分はなかった。
ただコントラストの低い被写体や暗いシーンでは従来モデルと同様にピントが迷うことも。そんな時は引き続きAF動作をせずに設定した距離でMF撮影する「フルプレススナップ」や「Snモード」(スナップ距離優先AE)を活用するといいだろう。
なお「Snモード」(スナップ距離優先AE)とは、前モデルのファームアップで追加された機能で、コマンドダイヤルで撮影距離と被写界深度(DOF)を設定することができる。
撮影距離をダイレクトに変更できるで、ピンチ位置のコントロールをしやすいのがメリット。被写界深度(DOF)は3段階から選択し、オートで露出を合わせてくれる。
また「Snモード」では画面をタッチすることでAFでのピント合わせも可能なので、つまりは「フルプレススナップ」の上位互換の機能と言える。そう考えると被写界深度(DOF)以外に絞り(もしくはシャッタースピード)をユーザーが選べると、より使い勝手がいい気もするので、今後の改良を検討して欲しい。
「Snモード」でスナップスナップ。撮影距離1m、DOF2で絞りはF5。距離設定で1mの下は0.3mなので少し迷ったが、思い切って0.3mでも良かったかもしれない。シャッタースピード1/30秒・ISO6400。
従来通りのレンズシャッターは静寂で上品なシャッター音や小気味よいメカらしい動作感が撮っていて心地いい。
シャッタースピード最高速は絞り値F2.8では1/2500秒、F5.6以降で1/4000秒で、NDフィルターも内蔵し、露出オーバーになりそうなときはオートで切り替わる。なお今年2月のファームアップでは高速時のみ最高1/16000秒の電子シャッターでの撮影も可能になっている。
電子シャッターはレンズシャッターの上限を超えた高速側のみになる。また電子シャッターもオンした場合はNDフィルターが無効になってしまう。ストロボでハイスピードシンクロをおこなう場合は、電子シャッターをオフにしておいたほうがいい。
コンパクトで常に携帯し写真を撮るというのなら、スマホのカメラでも十分と思う人もいるかもしれない。しかし俊敏なレスポンスやメカニカルな動作感はやはり別物で、シャッターを切るたびに高揚感を与えてくれた。今回試用させてもらい「GR」シリーズが長く愛され続けている理由がよくわかった。
「GR Ⅳ HDF」
ハイライト部がにじんだ写真が撮れる
次に派生モデルを紹介していこう。まずは「GR Ⅳ HDF」から。ノーマルモデル「GR Ⅳ」のNDフィルターをHDF(Highlight Diffusion Filter)に変更し、ハイライト部がにじんだソフトな写真が撮れるのが特徴で、それ以外のスペックや機能は共通だ。
外観もほぼ同じだが、シャッターボタンの塗装が異なり、背面の「Fn」ボタンにはHDFの文字が印字されている。まるで難易度の高い間違い探しのような微妙な違いだ。
実際にHDFで撮影してみると、ハイライトのにじみはもちろん輪郭も柔らかい描写になっている。ただ効果はシーンによって異なり、フラットな光では差を感じにくいことも。HDFのオンオフで撮影した作例をいくつか掲載するので、違いを確認してほしい。
HDFの効果が一番実感できるはやはり夜景だろう。ネオンなどの光源の周辺がにじみ、何気ない街並みも華やかに見えてくる。
HDFは光学フィルターによる効果なので、デジタル処理とは違い撮影後に取り消したり強弱を付けることはできない。このあたりの潔さも「GR」らしいと。
再三お伝えしたようにノーマルモデル「GR Ⅳ」との違いはNDフィルターかHDFフィルターかのみ。価格差も1万200円しかないので、HDFの描写に興味がある人にはオススメだ。
「GR Ⅳ Monochrome」
白黒写真の専用素子を搭載
続いてモノクロ専用モデル「GR Ⅳ Monochrome」だが、外観はわかりやすく前面ロゴが黒塗りになり、ボディーもマットの塗装になっている。さらに電源ボタン周りと背面のステータスランプが緑から白に変更した。
内蔵フィルターはNDではなく赤色フィルターを搭載している。モノクロ写真における色フィルターの効果を説明しておくと、例えが赤色では被写体の赤い部分は白く、相反する青い部分は黒くなる。銀塩時代のモノクロ写真では女性ポートレートで緑色のフィルターを使用し、相反する唇の赤色を濃く写すというテクニックもあった。
赤色フィルターを使うと青空が黒く写るので、コントラストを効かせた風景写真などに向いている。ただシーンによっては逆効果になることもあるので見極めは必要。またフィルターによる減光は2+2/3EV程度とかなりある。
赤色フィルターのオンオフも初期設定で「Fn」ボタンに割り当てられているので、「RedFilter」の印字がされている。また十字キー下はWB(ホワイトバランス)からイメージコントロールに。そういえばモノクロ専用モデルだからWBが無いのは当然か。
「イメージコントロール」は全6種類と、カラーのノーマルモデルよりは少なくなっているが、粒状感を強調した「グレイニー」などモノクロ写真向けの画像仕上げになっている。
モノクロ専用の撮像素子は色情報を取得するカラーフィルターが不要になり、すべての画素で輝度情報が得られるので、解像感や階調再現に優れると言われている。
実際にノーマルモデル「GR Ⅳ」でモノクロ撮影した写真と比べてみると、解像感はそれほど大きな差はないが、明暗差の微妙な調子が滑らかに再現され階調は豊富に感じられる。
ノーマルモデル「GR Ⅳ」(写真左)のイメージコントロールをモノトーンにして撮影した写真と、「GR Ⅳ Monochrome」(写真右)との比較。ノーマルモデル「GR Ⅳ」の解像力も高いので差はわかりにくいが、階調再現は「GR Ⅳ Monochrome」のほうが滑らかな気がする。
また画質的に違いがわかりやすいのが高感度だ。最低はISO100からISO160 に、最高感度はISO204800からISO49600にアップしている。色ノイズが発生しないせいか高感度ノイズ低減も弱めに設定され、そのおかげでISO102400を超える高感度でも解像感が保持されている。
当然ノイズによるザラツキはあるが、粒がそろっているので銀塩フィルムの粒状感のような雰囲気もある。この粒状感を活かすために、あえて高感度で撮影してみるのも面白そうだ。
感度別に撮影した写真の一部を拡大して比較。左上からISO3200・ISO6400・ISO12800・ISO25600・ISO51200・ISO102400・ISO204800・ISO409600。高感度ノイズ低減はオート。
モノクロ専用という敷居の高さはあるが、そのぶんより深くモノクロ写真と向き合うことができる。カメラマニアはもちろん、幅広く写真表現を探求したい人も注目してほしい。
「GR Ⅳ」の3モデルを紹介してきたが、いずれも個性的でどれを選ぶかは悩むところ。
現状も相変わらずの品薄で、オンラインストアでは抽選販売が続くが、そのぶんゆっくり考える時間があると前向きにとらえ、気長に待つことにしよう。
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