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世界最大級のDJコンペティション「DMC World Championships」担当ディレクターに聞く

「数字では表せない評価も伝わる」 DJ世界大会のビデオ審査をDropbox Replayはどう変えたか

文●大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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(画像提供:DMC)

 「音楽、ダンス、映像、映画――。そうしたクリエイティブなコンテンツの評価には、必ず評価する人間の主観が伴います。だからこそ、評価の際には単にポイント(点数)を付けるだけでなく、審査員の間で議論ができることがとても大切で、有意義だと思います」(DMC World Championships アントリックス・マナウェットさん)

 世界最大級のDJバトル大会である「DMC World DJ Championships」。1985年から続く、世界で最も歴史があるDJコンペティションです。世界75カ国以上からトップクラスのDJがエントリーし、DJとしてのスキルと音楽性を競い合う同大会は、今年も各国で予選大会がスタートしており、各国代表のDJたちが集う世界大会(決勝大会)は11月、ロンドンで開催されます。

 このDMC World DJ Championshipsのオンライン審査で、2024年大会から採用されているクラウドツールが「Dropbox Replay」です。

 クラウドストレージにアップロードされたビデオ/音声コンテンツを、複数人のレビュワーで共有し、ブラウザ上で再生しながらコメントが付けられるDropbox Replay。DMCでは、応募者DJプレイビデオに審査員が世界中からアクセスし、評価やコメントを書き込むかたちで利用しています。

 前回は審査員のDJ Shortkutさんにインタビューをしましたが、今回は大会運営側であるディレクター、アントリックス・マナウェットさんに、Dropbox Replayの採用で審査がどう変わったのかをうかがいました。

DMC World DJ Championships グローバル・コンペティション・ディレクターのアントリックス・マナウェット(Antriks Manaoat)さん。かつては自身もバトルDJとして活動していたそうです

世界中のDJに門戸を開くオンライン予選、その審査の裏側

 DMC World DJ Championshipsにはいくつかのエントリー方法がありますが、DJプレイのビデオ応募で審査を受ける予選大会が「Wildcard」です。Dropbox Replayは、このWildcardのビデオエントリーやオンライン審査のプラットフォームとして採用されています。

 「日本や米国、英国などでは予選大会が開催されますが、予選が開催されない国のDJでも参加できるグローバルな予選大会として、3年前にWildcardをスタートさせました。毎年300~400名のエントリーがあり、これを勝ち抜けば、ほかの予選と同じようにDMC World DJ Championships(決勝大会)への出場権が得られます」

世界大会への出場権が得られるオンライン予選「DMC Wildcard」(画像出典:DMC)

どこの国からでもオンライン応募で参加できる、オープンな予選だ(画像出典:DMC)

 応募されたビデオを観てジャッジするのは、過去にDMCチャンピオンの座を勝ち取った世界のトップDJたち。プレイスタイルで分類された3つのカテゴリで、それぞれ5~9人の審査員が審査にあたり、優れたDJを選出します。

 マナウェットさんによると、DMCの審査では「基礎」「創造性」「テクニック」と並んで「選曲(音楽の選択)」が重要な評価基準となっています。DJカルチャーの原点である“観客を盛り上げ、楽しませる”ショーマンシップは、優れたDJにとって不可欠なものだからです。

 「難しいDJテクニックを披露するだけではだめです。技術的にも、音楽的にもオリジナリティがあり、完成度の高いDJが評価されます。音楽を通じてストーリーを表現し、とても表情豊かで、すばらしいショーマンシップも見せてくれるようなDJ――、それが審査員の印象に残るのです」

「ひどい混乱状態」だった審査プロセスを改善、審査期間を80~90%短縮

 こうして世界中のDJに世界大会への門戸を開いているWildcard部門ですが、Dropbox Replayが導入されるまでは、応募と審査のプロセスがとにかく複雑でした。マナウェットさんは「率直に言ってひどい混乱状態でした」と振り返ります。

 当時のプロセスはまず、応募者が自らYouTubeなどにDJプレイのビデオをアップし、そのURLとプロフィールを大会事務局にメールします。事務局では、大量に届く応募メールの内容を整理して、クラウド上のスプレッドシートにまとめ、審査員に共有します。ビデオを見た審査員たちは、審査結果とフィードバックのコメントを事務局にメールします。審査員からのメールも個別に届くので、事務局ではまたその内容をスプレッドシートにまとめ直します。

 「作業ミスも多発して、審査が完了するまでに数カ月もかかっていました。煩雑な手作業を行うわれわれ(事務局)も、効率の悪い作業をさせられる審査員も、なかなか審査結果が知らされない応募者も、全員がストレスを感じていたと思います」

 この問題を解決するべく、2024年にDropbox Replayを採用したことで、審査プロセスが整理され、審査時間も大幅に短縮されました。

 まず、事務局はDropboxのファイルリクエスト機能を使って、応募者からのビデオのアップロードを受け付けます。クラウド上の指定されたフォルダ(URL)に応募者がアップロードすると、そのファイルは事務局のDropboxストレージに保存されます。事務局は、このビデオをそのままDropbox Replayで審査員に共有します。審査員は、Replay上でビデオを視聴し、コメント欄にジャッジやフィードバックを書き込みます。担当の審査員全員がジャッジを書き終えれば、審査は完了です。

 応募者がアップロードするファイルは、ビデオだけでなくプロフィール資料などもありますが、ファイルリクエスト機能によってDropbox上で自動的に整理、集約されます。

 「大まかに言って、80~90%は審査時間を短縮できたと思います。以前は審査員に『2~4週間で審査を終えてほしい』とお願いしていましたが、実際には数カ月かかることさえありました。それが現在では、審査員のスケジュールが空いていれば3日以内に終わることもあります」

Dropbox Replayの画面イメージ。PCやスマホ/タブレットのブラウザを使って、ビデオ/音楽の共同レビューができる

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