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AMD、Zen 5採用の省電力・エッジ向けサーバーCPU「EPYC 8005」シリーズを発表

2026年05月20日 12時42分更新

文● ドリル北村

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 AMDは、スペースや電力の制約が厳しいエッジコンピューティング、通信、高密度クラウドストレージ向けの新世代サーバープロセッサー「AMD EPYC 8005」シリーズを発表した。

 AIや自動化のワークロードがデータセンターからエッジへとシフトするなか、設置スペースや電力制限を維持したまま、いかに処理能力を引き上げるかが課題となっている。同社は「EPYC 8005」を、高いパフォーマンス、低消費電力、小型フォームファクターを兼ね備えた「トリプル・スレット(3つの脅威)」として位置づけている。

Zen 5コアをシングルソケットに凝縮
TDPは70W〜225W

 「EPYC 8005」シリーズは、実績のある「Zen 5」アーキテクチャーを採用し、1CPU(シングルソケット)あたり8コアから最大84コアを搭載する。熱設計電力(TDP)は70Wから225Wと低く抑えられており、前世代(EPYC 8004シリーズ)と比較して性能と電力効率が大幅に向上している。

 最上位モデルとなる84コアの「EPYC 8635P」は、前世代の64コアモデル(EPYC 8534P)と比較して、整数演算性能で40%の向上、ワットパフォーマンスで9.5%の向上を達成したという。

仕様比較
  AMD EPYC 8635P Intel Xeon 6 6776P-B NVIDIA Grace CPU Superchip
最大コア/スレッド 84コア / 168スレッド
(Zen 5)
72コア / 144スレッド
(P-core)
144コア / 144スレッド
(Arm Neoverse N2)
最大TDP 225W 325W 500W
ワットパフォーマンス 24,408 ssj_ops/watt 21,433 ssj_ops/watt 13,218 ssj_ops/watt
拡張性 (I/O) PCIe Gen 5 96レーン
PCIe Gen 3 8レーン
Gen 5 32レーン
Gen 4 16レーン
PCIe Gen 5 128レーン
(シングル構成時)

 競合となるx86プロセッサーとの比較では、その差がさらに顕著になる。同じTDPクラスにおいて、「EPYC 8635P」(84コア)はインテルの「Xeon 6 6716P-B」(40コア)と比較して2倍以上のコア数を備えながら、TDPは10W低い(225W vs 235W)。これにより、整数演算性能で91%ものリードを奪うとしている。

 また、DDR5-6400(6チャンネル、最大3TB)メモリーやPCIe Gen 5(96レーン)をサポート。インテルのXeon 6 6776P-BやNVIDIAのGrace CPU Superchipといったエッジ向けプロセッサーの選択肢と比較しても、優れたワットパフォーマンスを発揮する。

エッジや通信環境への最適化
x86互換による容易な移行

 「EPYC 8005」シリーズは、空冷で静音性の高いシステム構築を可能にする広い動作温度範囲に対応する。さらに、過酷な環境での運用に求められる「NEBS(ネットワーク機器構築基準)」準拠の設計をOEMが認定しやすくなる機能を備えている。

 主力データセンター向けの「EPYC 9005」シリーズと同じエンタープライズグレードのx86基盤(AVX-512サポートを含む)を共有しているため、開発者はクラウドからエッジへ、コードの書き換えや再コンパイルをすることなく、シームレスにワークロードを移行・展開できるメリットがある。

 すでに早期導入企業では成果が出ており、Samsungが行なったマルチセルvRAN(仮想化無線アクセスネットワーク)の試験では、「EPYC 8635P」を搭載した1台のサーバー上で54セルのネットワークを展開し、下り9.5 Gbps / 上り2.0 Gbpsというスループットを実証した。

 なお、小売店舗向けの映像AIエージェントを提供するWobotAIは、「EPYC 8005」を搭載したコンパクトな店舗内空冷サーバーを使用。既存の防犯カメラなどのインフラを活用し、クラウドにデータを送ることなくエッジ側でリアルタイムな店舗分析(レイアウト最適化や業務効率化)を実現しているという。

 AMDは、メインストリームのデータセンター向けには「EPYC 9005」をフラグシップとしつつ、スペースや電力・熱設計に制限がある高密度ストレージ、専用ホスティング、そして急速に拡大するインテリジェントなエッジコンピューティング領域に対して、この「EPYC 8005」で攻勢をかける構えだ。

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