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クリエイター・ビジネスパーソン・マーケターを支える“相棒”としての進化

アドビのAIツール“現在地” Fireflyのモデル戦略からAcrobatのプレゼン生成、GEO対策まで

2026年03月31日 10時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 様々なツールに組み込まれ始めている生成AI機能。その進化は日進月歩であり、アドビの製品においても同様だ。

 アドビは、2026年3月27日、各製品におけるAI戦略や最新のAI機能に関する説明会を開催。新ミッション「Empowering Everyone to Create」のもと、クリエイターやビジネスパーソン、マーケターを支えるアドビAIの進化について進捗を共有した。

新ミッション「Empowering Everyone to Create」

あらゆる創造者をサポートする事業体制に

 AI時代において、アドビは企業としての姿を大きく変えようとしている。ミッションを「Empowering Everyone to Create」に刷新し、創造に携わるあらゆる人を支援することを軸に、事業体制やAI戦略を整備する。

 事業体制においては、クラウド製品ごとの組織を、3つの顧客ターゲットに基づき再編した。ビジネスパーソンや個人向けの「Business Professionals & Consumers」では、Acrobat Studio+Adobe Expressを軸に展開。クリエイターを対象とする「Creators & Creative Professionals」では、Creative Cloud Proに加え、生成AIサービスAdobe Fireflyを提供。そして、マーケター向けの「Marketing Professionals」では、顧客エンゲージメントとブランド可視化のソリューションに注力する。

 さらに、クリエイティブとマーケティングをGenStudio(コンテンツサプライチェーン)がつなげ、製品全体をAI基盤が支えるというのが、現在のAdobeプラットフォームの全体像である。

Adobeプラットフォームの全体像

単一のプラン・場所で統合されたの3層のモデル

 まずは、Creators & Creative Professionals領域におけるAIの現状だ。アドビのマーケティングマネージャー 轟啓介氏は、「AIの進展でクリエイターには、ビジョンや品質のコントロールが求められるようになった。アドビは、AIを単なる自動化ツールではなく、クリエイターのビジョンを具現化する“優秀なアシスタント”であることを目指している」と前置きする。

アドビ マーケティングマネージャー 轟啓介氏

 今回、語られたのが、クリエイティブ特化の生成AIサービス「Adobe Firefly」のAIモデル戦略だ。その最大の特徴は、アドビ独自のモデル(アドビモデル)やパートナーのモデル、ユーザー独自のカスタマイズモデルを、自由に組み合わせて利用できる点にある。

 ひとつ目のアドビモデルには、画像からベクター、デザイン、動画、音声、効果音、アバターに至るまで、用途別のモデルが用意されている。「これらのモデルはすべて透明性を確保して学習されており、安心して商用利用できる」と轟氏。

Adobe FireflyのAIモデル

 2026年3月11日には、最新の画像生成モデル「Firefly Image Model 5」がリリースされている。その特徴は、画像生成にとどまらず、プロンプトでの編集が可能な点だ。例えば人物の画像であれば、テキストによる指示で、笑顔や右向きにしたり、シャツの色を変えたりすることができる。

Firefly Image Model 5によるテキストプロンプトでの編集例

 続いては、パートナーモデルだ。FireflyのWeb版やPhotoshopなど主要製品からは、アドビモデルだけではなく、提携する他社のAIモデルも呼び出すことができる。例えば、Gemini 3.1(Nano Banana 2)を選択して、Adobe Stockの画像をベースに画像を生成することも可能だ。パートナーモデルの商用利用が不安な場合に、ベースとなる素材をアドビモデルで生成するという使い分けも有効だという。

パートナーモデルの一覧

 最後のカスタマイズモデルは、3月19日に追加されたばかりだ。アドビモデルに独自のアットセットで追加学習させることで、ユーザーや企業固有のスタイルを反映させる。誰が利用しても一貫性のあるアウトプットを生成できるため、ブランド価値の維持・向上につなげることが可能だ。

 「このように一つのプラン、一つの場所で統合された様々なモデルをクリエイティブプロセスの中で自由に組み合わせられるのがFireflyの強み」(轟氏)

クリエイティブ系ブレストツールと主要アプリへのAI統合

 また、Firefly自体の機能も拡充されており、その中から2025年秋に登場した「Adobe Fireflyボード」がピックアップされた。

 同ツールのヘビーユーザーであるアートディレクター/ デザイナーのコネクリ氏は、“ムードボード”の作成ツールだといい、「生成AIの力でアイデア出しや発想の拡張ができ、 プロジェクトの初速を上げるのに最適」と評している。ムードボードとは、プロジェクトやデザインのコンセプトや方向性を視覚的に共有するためツールだ。

ゲスト登壇したアートディレクター/ デザイナーのコネクリ氏

 使い方としては、まず、 Fireflyボードのキャンバス上に、AI生成画像や既存素材、Adobe Stockなどでビジュアル要素を収集する。次に、集めた素材に対して、Fireflyのスタイル参照や構成参照、パートナーモデルなどを活用してアイデアを広げていく。

 そして、テキストやシェイプの追加・編集やアートボード機能でのアイデアの整理を経て、プロジェクトのメンバーと共有と連携するという流れだ。説明会では、コネクリ氏により、「Wip Coffee」という手書き風のロゴを制作する過程が披露されている。

Fireflyボードのキャンバス

気になった素材からロゴタイプ・シンボルマークを生成

 Fireflyと連携する主要アプリケーションのAI統合も進んでいる。

 現在、PhotoshopのWebおよびモバイル版でパブリックべータ中なのが「AIアシスタント」機能だ。対話形式で「こうしたい」と伝えるだけで、不要物の削除や背景の変更、色調補正などを実行してくれる。デザインの相談をしながら、AIと協働して編集作業を進められるのが特徴だ。

 Web版では、変更箇所の指示ができる「AIマークアップ」の機能も搭載。モバイル版では専用のUIが実装され、音声で対話することも可能だ。

AIマークアップの機能

モバイル版のAIアシスタント

 さらに、デスクトップ版でも、新たな視点を生み出すAI機能がパブリックベータとして実装された。Illustratorには1枚のイラストから多方向のバリエーションやアニメーションを生成できる「ターンテーブル」機能、Photoshopには画像の対象物を任意の角度へと回転できる「オブジェクト回転」機能が加わっている。

Illustratorのターンテーブル

Photoshopのオブジェクト回転

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