リクルートMS、キャリア入社者のオンボーディングの課題や先進事例を解説
“キャリア人材=即戦力”は幻想 活躍の鍵は「1年以上の支援」と「正確な情報提示」
2026年03月16日 11時00分更新
三菱UFJ銀行とNTTドコモは“現状分析”から変革を進める
後半は、馬越氏より、キャリア入社者に対するオンボーディングの実態とオンボーディングの先進事例について紹介された。こちらは、2026年1月に実施された従業員500名以上の企業の人事担当939名を対象とした調査を基にしている。
まずは、キャリア入社者のオンボーディングにおける課題だ。最も多く挙がった悩みは「離職の多さ」であり、“目に見える課題”として優先度が高くなっている。そして、「成果が上げられない」「馴染まない」といった離職につながる悩みが続いた。
前半でも提言のあったオンボーディングの期間は、「3か月から6か月未満」が約3割(29.9%)と最も多く、やはり半数以上(59.5%)の企業がサポートを半年未満で支援を終了しているような状況だ。
こうした現状の中で、キャリア入社者のオンボーディング施策に取り組む2つの先進企業が紹介された。
1社目が、三菱UFJ銀行だ。同行は、2019年頃からキャリア採用を強化しており、2022年には全行150以上のポジションで採用活動を実施。一方で、キャリア入行者の受け入れは部店任せであったのを変革しようとしていた。
同行はまず、現状把握からスタート。入行1~3年目の100名以上を対象に調査やSPI分析、インタビューを実施した。こうして把握した、キャリア入行者の悩みや“三菱UFJ銀行あるある”とも言える独自のつまずきをまとめた「ハンドブック」を作成し、各施策で活用している。
人事側では、キャリア入行者同士でつながりをつくる「入行時オリエンテーション」を、受入部店側では、ハンドブックを利用した「オンボーディングガイダンス」を展開。他にも、キャリア入行者の先輩をメンターとして組成する仕組みや、コミュニティも立ち上げている。
これらの取り組みはコロナ禍に始まったが、今では、対面での手厚いフォローに進化している。例えば、入行時オリエンテーションは、eラーニングから対面形式の導入研修に変わり、メンター制度は、月1回の対面相談の場を増やし、同制度は希望制ではあるものの7~8割が利用するほどになっている。
2社目として紹介されたのが、NTTドコモのコンシューマサービスカンパニーにおける事例だ。同カンパニー単体でも年間200名ほどのキャリア採用を継続しているという。
同組織では、キャリア採用者1年~2年目を対象に、採用経路や採用部署、採用した役職などを分析して、「入社後のギャップ」が大きい属性を分析。例えば、ベンチャー出身のキャリア入社者が社風のギャップに苦戦していることなどを特定している。
こうした結果を受けて、入社後のギャップの大きい層に対して特別なオリエンテーションを実施するほか、定着・活躍レベルの高い採用経路からの採用を強化する取り組みなどを始めている。
最後に馬越氏は、オンボーディングのポイントを2つ挙げる。ひとつは、離職などが顕在化する前に、「中長期的」に取り組むことだ。「いざ離職が増えてきた際に、受け入れ体制が十分ではない状態でキャリア採用を重ねると悪循環になりかねない。課題が顕在化する前に、オンボーディングに取り組み、早期の成功体験を積ませ、戦力化を目指して欲しい」と呼びかけた。
2つ目は、「入社後の実態を採用活動にもつなげる」ことだ。 「入社前の認識とのギャップは、入社後の立ち上がりの壁になる。だからこそ何がギャップになっているかを特定して、正確な情報を入社前に伝えていく。 そのためにも、入社後の実態を把握することが第一歩」と語り、締めくくった。











