クアルコムトップが「6G」を語る 「偶数世代は成功する」のモバイル業界の法則は再現されるか
2026年03月04日 18時00分更新
MWC 26において、クアルコムの社長兼CEOのクリスチアーノ・アモン氏が基調講演に登壇。アモン氏は2029年の商用化が見込まれる次世代通信規格「6G」に向けた同社のビジョンと具体的な取り組みを説明した。
モバイル通信によるトラフィックは8年後には3~7倍増加
そのトラフィックをさばくためのインフラに6Gは不可欠
アモン氏は、偶数世代の通信規格は歴史的に大きく普及するという業界の伝統に触れつつ、各世代にはそれぞれの目的があるとした。
現在のモバイル通信の世界では、従来のスマートフォンやアプリを中心としたエコシステムから、AIエージェントを中心としたエコシステムへの移行期にあたり、エージェントはユーザーの意図を解釈し、自律的に行動するようになる。これにともない、スマートグラスやコネクテッドカー、産業用ロボットなど、あらゆるデバイスが常時ネットワークに接続される世界が訪れる。
その結果、2034年までに世界のセルラートラフィックは3~7倍増加し、そのうち約30%をAIが占めると予測されている。この膨大なデータ処理と低遅延、および通信速度の大幅な向上の要求に応えるインフラとして、6Gが不可欠だと言う。
AIを活用しての信号処理で高周波数帯でのエリアの問題を克服
通信インフラ自体がAI処理能力を持つように
6Gのネットワーク要件として、アモン氏は「コネクティビティ」「コンピューティング」「センシング」の3つの技術要素を提示した。
第1の要素である「コネクティビティ」では、低・中周波数帯でのパフォーマンスを50~70%向上させる目標を掲げた。また、AIを用いて、無線周波数(RF)信号を直接処理する技術を導入。通信路の推定をAIによる予測に置き換えることで、微弱な信号でも通信が可能となり、高周波数帯におけるカバレッジの課題を克服できると説明。
さらに、デバイス側からのデータ送信(アップリンク)の性能向上も重視されるようになる。ユーザーがスマートグラスなどで見ている映像を、クラウド上のAIにリアルタイムで共有する用途などに対応するためだ。
第2の要素である「コンピューティング」では、通信インフラ自体がAI処理能力を持つようになる。基地局からエッジデータセンターに至るあらゆる段階に計算資源が統合される。これにより、通信ネットワーク自体が「AIデータセンターネットワーク」へと進化する。エッジで生成されたデータは、AIモデルの学習や継続的な進化のための重要な要素となる。
第3の要素であり、6Gのまったく新しい機能として強調されたのが「センシング」。RF信号をレーダーのように大規模に活用することで、都市や国全体の3Dマップを構築することが可能に。数センチからミリ単位の精度でドローンを検知して航空経済を管理したり、道路上の車両や歩行者をマッピングして自動運転を支援したりといった活用法が示された。
エンタープライズ領域においても、スマートグラスの映像を遠隔地の管制センターにリアルタイムで送信し、業務支援をするユースケースを想定。センシング機能により、ネットワークは単なる通信手段から、ユーザーの周囲の環境を把握し、AIエージェントにコンテキストを提供するインフラへと変化するわけだ。
2029年にも初期の商用展開を開始するスケジュール
実用化へのロードマップとして、アモン氏は2028年にデモンストレーションを実施し、2029年に初期の商用展開を開始するスケジュールを示した。
また、このビジョンを共有し実現に向けた開発を進めるため、すでに58社のパートナー企業からなるコアリションを形成していることを明らかにした。6Gは通信業界の枠組みを変え、新しいビジネスモデルを生み出す世代的な機会であるとの見方を示して講演を締めくくった。
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