AIで画質が大幅改善した「FSRフレーム生成」
FSR 2から3への進化において、最も大きな変更点といえるのがフレーム生成の実装だ。NVIDIAはRTX 40シリーズにおいていち早くDLSSフレーム生成を実装したが、その処理の中で「フレーム生成時に動かしていい部分とそうでない部分を見分ける」、いわゆる「オプティカルフロー」に専用回路(OFA)を必要とした。結果としてDLSSフレーム生成はRTX 40シリーズ以降が必須となったわけだ。
これに対しAMDは、FSR 3のフレーム生成を「特定ハードウェア非依存の汎用的実装」で実現した。2つの連続したフレームを比較し、どのように動いているか分析した上で正しく中間フレームを生成(ブレンド)する必要があるが、その処理はすべてGPUシェーダー内で実行される。
FSR 3のフレーム生成では、オプティカルフローの処理において8x8ブロック単位で解析している。これは処理効率を稼ぐためのトレードオフであるが、動きの激しいシーンではゴースト(残像)やアーティファクト(虚像)を生んでしまう。
一方DLSSフレーム生成はOFAやTensorコア(マルチフレーム生成の場合)で処理するため解析の精度がFSR 3のフレーム生成よりも高い。このギャップを埋めるためにAMDはFSRフレーム生成にAIを導入した。
このFSRフレーム生成もFSR 4へのアップグレードと同様にAMD Software上のスイッチ一つで有効化できる。ゲームに組み込まれているFSRのバージョンが3.1.4以降である必要があるが、ゲーム側に特別な対応は必要ない。
ただゲームによってはゲーム側のUIからFSR 4とFSR 3を選択可能になる場合もある(例:「Cyberpunk 2077」「Marvel Rivals」など)。その場合はAMD Software上のスイッチをオン→ゲームを起動し画質設定でFSR 4を選択という流れになる。
FSRフレーム生成におけるAIの有無に関しては今年1月に実例付きで解説済みだが、今回は別のシーンでサンプルをご覧いただこう。
F1 25:従来のFSRフレーム生成における例。タイヤの残像がうっすらと地面に出ている。走行スピードが遅いうちは問題ないが、速度が上がり地面のモーションベクターがある程度大きくなるとオプティカルフローの処理の許容範囲を超えてしまい、こうした残像が出る
F1 25:AIを利用したFSRフレーム生成を使用した例。同じような状況でも後輪の残像が出現しない。ただタイヤと地面の境界近くに白いラインが横に入っているが、これはブレンド処理のミスである。FSRフレーム生成も完璧ではないのだ
F1 25でもAIを使用したFSRフレーム生成使用時(グラフでは(AI)表記)と従来型のFSRフレーム生成使用時のフレームレートを比較した。解像度フルHD、画質「超高」、異方性フィルタリングは16x、FSRはFSR 4のクオリティー設定を選択。ゲーム内蔵ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。ベンチマークシーンの設定は「ラスベガス」「ウェット」に設定している。
ここでもAI処理が介在する分フレームレートが従来型よりも低下するが、ほぼ誤差のような結果になった。F1 25は従来型のFSRフレーム生成で動かすと残像が激しく出現するので、この程度の差であればAIを利用したFSRフレーム生成を選択したほうがずっと快適だ。




