社内140プロジェクトの実践を、顧客支援につなげる
AIの進化は、顧客だけでなく、ITベンダーにも大きな影響を与える。クリアン氏は、「NetAppは常に、破壊的な変化をチャンスに変えることを考えてきた」と話す。そうした考えの下で、社内でも積極的にAI活用を実践しているという。
同社のAI活用には明確な信念がある。「第1に、その破壊が顧客や事業に関係するものか、組織全体で理解を促進すること。第2に、関係があれば、チームが使用・試行・学習することを奨励すること」だと、クリアン氏は説明する。
具体的な成果として、約1年前に開始した140件のAIプロジェクトのうち、29件がすでに成功裏に実装済みで、13件が実装中だと紹介した。組織面でも、AI活用・導入の専門執行役員を置き、CEOのクリアン氏に直接報告する体制を敷いている。
こうした実践を通じて得た知見を、NetAppでは顧客の支援に結びつけている。我々のような組織が直面する具体的な問題を知ることで、顧客を支援する革新的ソリューションを構築できるのだと、クリアン氏は説明した。
このほか、メモリ価格高騰、データ主権などの話題にも触れた。ストレージの生産にも関わるメモリについては、「第1に、需要に応じた十分な供給を確保すること。第2に、競争力のあるコスト構造を維持すること。第3に、顧客が最も効率的にデータを管理できるツールを提供すること」が重要だと語る。
これを実現するために、複数の施策を講じている。供給とコスト面では、サプライヤーとの積極的な交渉に加え、多様なシリコンソース確保を進めることで、地政学リスク、サプライチェーンリスク、シリコン入手リスクの回避を図っている。また、顧客のデータ管理効率化については、ホットデータ/コールドデータの階層化、不要データの削除など、データライフサイクル全体にわたって適切なコストを実現するソフトウェアの提供を進めている。
データ主権については、NetApp自身の実践と顧客支援の両面で取り組んでいる。「当社の顧客・従業員データについては、データ主権規制を厳格に解釈している。例えばEUがSafe Harborを廃止した際も影響はなかった。元々依存していなかったからだ」と説明した。
顧客支援については、実践的なアプローチを取っている。「イノベーション・高度機能の必要性と、データ保護要件とのバランスを取りたいと考えている。そのため、顧客がハイブリッド環境を構築できるようにしている。データは国内データセンターに留まることができるが、国際的なプロバイダーであっても、世界で最も高度なツールを使用できる」とクリアン氏。
具体例として、日本を含む各国の国内クラウドプロバイダーへのクラウドインフラ提供、AWS German Sovereign Cloud等の主権クラウドリージョンへの参画を挙げた。「ドイツ政府・国内顧客向けデータ管理ソリューションのローンチパートナーであり、国家情報・安全保障・防衛向けの完全隔離型セキュアクラウドソリューションも提供している」と述べた。
日本市場でもAFX、AI Data Engineを提供、さらなる成長加速へ
日本法人社長の斉藤氏は、日本市場における戦略を説明した。新たなフラッグシップ製品であるAFXについては、サービスプロバイダー、大手金融機関、通信会社といった、大規模なAI顧客がメインターゲットだ。すでに日本でもAFXの実機を導入し、PoCをスタートした企業もあるという。
NetAppの企業としての進化については、「単に顧客が必要とする製品を提供する会社から、顧客の課題に向き合い、解決に必要な機能・ソリューションを提供する会社へと進化している」と述べた。
パートナー戦略では、NetAppが「製品販売ではなく顧客の事業展開や課題解決を最優先としている」ことから、各パートナーが持つAI戦略・ソリューションと連携し、顧客のゴールに最も近いパートナーと協力して、トータルソリューションとしてのAI提供を目指すとしている。
5月からの新年度に向けて、体制強化も進める。従業員の拡充を含むさまざまな投資を、グローバルおよびJAPACから獲得するプランを策定中だと述べた。「日本市場には大きな成長余地があり、攻略のための戦略的体制づくりをすでに開始している。2026年5月1日から新体制をスタートする予定だ」。
日本市場への取り組みについては、クリアン氏も「日本はアジア最大、世界第3位の市場。日本のリーダー企業の成功を支援するため最高のイノベーションを提供したい」と抱負を述べた。








