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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第139回

AIフェイクはここまで来た 自分の顔で試して分かった“違和感”と恐怖

2026年01月12日 07時00分更新

文● 新清士

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 今年、ディープフェイクは確実に増えていくと感じられます。「Nano Banana Pro」に代表される画像生成AIの性能が極めて高くなっていること、Xに統合された「Grok Imagine」に見られる手軽さは、その広がりを急速に推し進めているためです。今回は筆者自身を利用して、どこまでディープフェイクを作り出せるのかを検証してみました。その上で、現在、国がどのような方針で動いているのかを見ていきます。

※記事配信先の設定によっては図版や動画等が正しく表示されないことがあります。その場合はASCII.jpをご覧ください

“写真から一発出し”では微妙に違う

 この連載では、過去に、架空の人物のAI作例モデルの明日来子さんや田中さんというキャラクターでNano Banana Proを使った一貫性の強力さについて紹介しました(参考:実在感が恐ろしいレベル 画像生成AIの常識をひっくり返した「Nano Banana Pro」)。ただ、何枚も生成していると、意外と微妙に違うという顔が出てくることが少なくありません。

 まず、筆者自身の画像を4枚参照させて、作ってみたらどうなるかを試してみることにしました。そうすると「似てはいるのですが、なんだか雰囲気が違う」という顔が出てきます。何枚も作成してみたのですが、なかなか似た感じの人物が出てきません。筆者が受け持つ大学院の学生に見せたところ、「こういう表情はしない」とか、「微妙に違う顔がある」という評価になりました。うまく言えないのですが、自分のような、かなり違う人という印象を受けます。

筆者を参照画像4枚で、Nano Banana Proで生成させたもの。プロンプトは「この男性の様々なカットを作ってください。4つに画面分割して」

筆者の参照画像とした4枚。Webカメラで撮影したものや記事等で使われた写真

プロンプト追加でかなり似た顔に

 Nano Banana Proは、参照する画像を入力することで、それに似た画像を出すことができるのですが、完璧ではありません。それをプロンプトで補足してやると、より似せることができます。そこで作成した画像を、筆者本人の画像と比較させ、追加のプロンプトを作らせてみることにしました。

 分析は、Gemini 3 Proと、ChatGPT 5.2の両方に行わせてみたのですが、結果としては、ChatGPTの方が精度が高い印象です。提案された追加プロンプトは以下のものです。

 <プロンプト>頬はややふっくら、顎は広め、目は小さく上瞼が重い、軽度の非対称、眉は低く、口角はやや下がり気味、乱れたウェーブヘアで一筋が額にかかり、顔の皺や影が増え、少し疲れているが優しい表情

 これをプロンプトとして追記し、何枚か生成したところ、以下の画像が出てきました。そのうち1枚は、若干本人より、まだ美男子気味だと感じはするものの、仮に自己紹介用の画像として使っても、第三者がAI画像だと見抜くのはかなり難しい、と感じるほど似た顔が作れています。

 AI画像は、放っておくと左右対称の平均顔に寄りがちで、また「整った顔立ち」や「若々しい肌」という補正として現れます。それをプロンプトでは、「軽度の非対称」が入ることでAIぽさが減少し、「少し疲れている」という要素で筆者の年齢に近い画像が生み出せたようです。人間が似ているかどうかを感じるには「目元」まわりが非常に重要で、そこがうまく再現されています。

 参照画像だけでなく、画像を分析してプロンプトで補足してやることで、かなり似た顔が再現可能であることがわかります。

Nano Banana Proで作成した筆者のディープフェイク画像

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