歴史も未来も総ざらいした「Yamaha Network 30 Years」をレポート
実は“無謀な挑戦”だったルーター開発 ヤマハネットワーク製品の30年と2025年新製品を振り返る
クラウド利用を快適にする「RTX840」 小規模オフィス向けのオールインワン「NWR100」 基幹ネットワークを支える「SWX3220/2320xシリーズ」
ヤマハネットワークの30周年を振り返るイベントの後半では、2025年にリリースされた製品として、拠点用ルーターである「RTX840」、無線LANルーター「NWR100」、100ギガ/25ギガ対応スイッチ「SWX3220/2320xシリーズ」が紹介された。
まずは、8月にリリースされた拠点用ルーター「RTX840」だ。ベストセラーとなった「RTX830(2017年発売)」の待望の後継機である。数年先も安心して利用できるようスムーズな置き換えができること、そして、性能や機能を追うだけでなく、中小企業でも増加するクラウド利用を快適にすることをコンセプトとしている。
その特徴として、「従来モデルとの互換性を維持しながらの性能向上」と「ローカルブレイクアウトの手軽な運用」の2つが挙げられた。
インターフェイスはRTX830を踏襲しており、設定ファイルもそのまま引き継げる。見た目は変わらないが性能面は大きく改善しており、NATや動的フィルターの最大セッション数は6万5534から15万に向上、メモリ増設によりTCPコネクションの性能も30%向上している。
加えてクラウド利用を最適化するローカルブレイクアウトを標準搭載。Microsoft 365といった特定のクラウドサービスを拠点から直接接続することで、トラフィックの負荷を抑えられる。クラウドサービスの最新のIPアドレスやFQDNリストはヤマハの管理サーバーから自動取得可能だ。
続いては、9月にリリースされた小規模拠点向けの無線LANルーター「NWR100」だ。新しいコンセプト、型番のルーターで、小規模オフィスや店舗向けに無線LANやトラブルシューティング機能も搭載したオールインワンルーターである。ひとり情シスでも簡単に問題解決が可能で、誰でも迷わず導入設定ができ、企業利用として十分な性能を備えている。
同製品の開発にあたり、ネットワークエンジニアのイベントにて小型ルーターに対する生の声を収集したという。その結果、アクセスポイント一体型への需要が高く、無線LANのトラブル対応が多いことが判明。設定においては、GUIのみを利用するのが40%で、残り60%もCLIとGUIを併用する回答が多かった。
そこでNWR100では、ネットワークの状態や問題を可視化するGUIベースの「ウェルネスモニター」機能を搭載した。ルーターや回線の状態をみる「本体情報ボード」、無線LANの状態をみる「無線LAN情報ボード」、端末一つひとつの接続をみる「端末一覧ビュー」、切断シーケンスを確認できる「接続切断フロー」の4つの機能で、トラブルの早期解決を支援する(関連記事:初心者にも安心の使いやすさ ヤマハのスモールビジネスルーター「NWR100」を試用してみた)。
最後に紹介されたのは、12月にリリースしたばかりの100/25Gbps対応ネットワークスイッチ「SWX3220/2320xシリーズ」だ。特徴は、100Gbps/25Gbpsに対応したこと、耐障害性およびオーディオプロトコルに対応したこと、クラウド(YNO)からの直接管理が可能になったことの3つである(関連記事:スイッチはどれも同じなのか? ヤマハのスイッチを導入すべき10の理由)。
発売されたのは、インテリジェントL2スイッチ「SWX2320-30MC」とそのPoE給電対応モデル「SWX2322P-30MC」、スタンダードL3スイッチのRJ45多ポートモデル「SWX3220-30MC」とそのSFP+の複数ポートモデル「SWX3220-30TCs」の計4モデルだ。
インターフェイスでは共通して、25Gbpsに対応するSFP28端子ポート、100Gbpsに対応するQSPP28端子ポートを備える。L3スイッチの2モデルについては、ホットスワップ可能な電源の冗長化により高い耐障害性を実現した。
すべてのモデルで、音声・映像メディアなどの同期再生に必要となる高精度な時刻同期にも対応。さらに、さまざまなAVoIPネットワークに最適なプロファイルを、Web GUIとDIPスイッチで自動設定することができる。
また、今回のスイッチに加えて、既存のインテリL2、ライトL3、スタンダードL3スイッチシリーズがクラウド管理のYNOに対応した。ヤマハのルーターがなくても、クラウドからスイッチやAP、LANを統合管理できる。
これらの特徴をもって、企業や学校、医療機関、公共設備などの基幹ネットワークを支える上位モデルとして打ち出されたのが本スイッチシリーズだ。
イベントの最後には、Wi-Fi 7対応の無線LANアクセスポイントを、2026年夏の発売に向けて開発を進めていることもサプライズ発表されている(参考記事:ヤマハ、2026年夏にWi-Fi 7対応アクセスポイント投入 スケルトンモデルも追加で「見せたくなる」デザインに)。
閉会のあいさつとしてSCSKの執行役員 常務 ITインフラサービス事業グループ長である小峰正樹氏は、「ここまでの30年の実績を糧に、『やっぱり、ヤマハいいね』と感じてもらえる製品・サービスをこれらも届けていきたい。変化を恐れず技術を追求して、身近で信頼できるサービスを実現していく」とイベントを締めくくった。







