歴史も未来も総ざらいした「Yamaha Network 30 Years」をレポート
実は“無謀な挑戦”だったルーター開発 ヤマハネットワーク製品の30年と2025年新製品を振り返る
ヤマハが目指す「人が“管理”しないネットワーク」の世界
続いて披露されたのは、ヤマハネットワーク製品のビジョンやロードマップだ。こちらはヤマハの山本氏とSCSKのITインフラサービス事業グループ ネットワーク事業本部 シニアマネージャである角林史崇氏によって語られた。
まず触れられたのは、AI時代におけるネットワークの重要性である。加藤氏は、「すべてはネットワークがインフラとしてある大前提の上でAI活用が進んでいる」と強調する。
AIが当たり前に使えるようになった現在、ネットワークを使う人の数、ネットワークにつながるモノの数は増え続けている。一方で、人材やスキル不足により減少しているのがネットワークを触る人、つまり運用する人だ。このような現状では、ネットワークには「自律性」と「セキュリティ」が求められる。
こうした中でヤマハが目指すのが、「人が“管理しない”ネットワーク」だ。「ネットワークを管理する、もしくはネットワークに管理されることから現場のエンジニアを解放してく。自律性をもって運用され、顧客それぞれの環境に応じたセキュリティが担保されたネットワークを目指して、製品・サービスを開発していきたい」(山本氏)
また、ネットワークの導入サイクルも変化している。従来は、SIerへの見積発注、設計構築を経て、稼働までに1年ほどを要していた。しかし、顧客からはもっと早く導入したい、運用を効率化したいという要求が増えているという。
こうした現状を受け、ヤマハでは「検討・導入プロセスの短縮」と「運用管理の自立化・省力化」を進めている。ヤマハが30年間培ってきた技術力と知見・経験にAIの力を掛けあわせて、ネットワーク導入の支援および予兆管理や自動運用などによる統合管理の進化を図っていく。
ビジョンに加えて説明されたのが、各製品・サービスにおけるロードマップだ。
まずはルーターでは、10ギガ回線の普及を見据えた拠点用10Gルーターや、無線WAN対応モデルが予定されている。特に中堅・中小企業の標準機になるような製品を目指し、SCSKと企画を進めているという。
ハードウェアの拡充が進むスイッチでは、高速化に加え、管理性・信頼性の向上など満遍なく強化を図る方向性だ。今後、LANマップ拡張やYNOログ分析対応が控えている。
イベント最後に新製品情報も飛び出した無線LANアクセスポイントは、設定・運用の省力化を進めていく。設定自動調整やこちらもYNOのログ分析対応を予定する。
一方、クラウド管理サービスのYNOは、今後注力する自律的ネットワークの基盤としての役割を担う。今後は、外部サービスと連携する上での利便性を向上させていくとともに、自動運用のための機能を実装していく。セキュリティに関しては、中堅中小企業に最適なクラウド型セキュリティ機能を開発中であり、将来的には認証サービスに踏み込むことも視野に入れているという。





