購入したコンテンツなのに、ずっとは観られない?
購入したはずのコンテンツが、ある日突然見られなくなる──。
楽天グループが提供する動画配信サービス「Rakuten TV」は、購入型コンテンツの販売を2025年12月25日で終了する。あわせて、すでに“購入済み”のコンテンツについても、「視聴可能期間は2026年12月まで」と発表した。
この案内を見て、「買ったのに見られなくなるのはおかしい」と感じた人もいるかもしれない。ここには、電子コンテンツの“購入”が抱えている、普段は意識しにくい構造がある。
結論から言えば、多くの電子書籍サービスや動画配信サービスにおいて、私たちがお金を支払っている対象は、「モノそのもの」というよりも「利用する権利」なのだ。
多くのデジタルコンテンツは、売買契約ではなく、事業者が定めた条件のもとで利用を許可する「利用許諾(ライセンス)」として提供されている。
そのため、サービスの終了、権利関係の変更、配信契約の打ち切りなどが起こった場合、「購入済み」であっても利用できなくなる可能性を持っている。Rakuten TVのケースは、まさにその事実を改めて示したと言えるだろう。
多くの電子コンテンツは、同様の構造を持つ
これは、Rakuten TVに限った話ではない。多くのサービスは同じ仕組みの上に成り立っており、支払い時に「購入」という言葉が使われていても、買っているのは「モノそのもの」ではない。「自分の所有物にするための支払い」ではなく、「一定条件下で使える状態にするための支払い」なのだ。
例えば、代表的な電子コンテンツ販売プラットフォームであるAmazonの「Kindle」ストア利用規約には、次のような一節が明記されている。
Kindleコンテンツのダウンロードまたはアクセスおよび当該料金(適用される税金を含む)の支払いが完了すると、当該コンテンツプロバイダーからお客様に対して、Kindleソフトウェアまたはその他本サービスの一部として許可される形で、Kindleストアより指定された台数の対象デバイス上でのみ、お客様個人の非営利の使用のみのために、該当のKindleコンテンツを閲覧、使用、および表示する非独占的な使用権が付与されます(定額購読コンテンツの場合は、お客様が定額購読プログラムの有効な会員である限り。)。Kindleコンテンツは、コンテンツプロバイダーからお客様にライセンスが提供されるものであり、販売されるものではありません。(後略)
「買った=自分のもの」というありふれた感覚は、電子コンテンツでは必ずしも成り立たないということだ。









